【2017.09.02(土)-03(日)】
先週に続き、今週末も北アでは好天予報が出た。
アルプスシーズン前半は悪天続きだったが
後半になってからはいい感じ。
晴れるとあらば
じっとしていられない貧乏性な我々。
どこぞへ行こうか?
なんて悩むことはない。
これまで北鎌尾根、源次郎尾根と
岩稜バリエーションをやってきたので
次は前穂北尾根!ってストーリーが前々から出来ている。
前穂北尾根はアルパインクライミングの入門コース。
昨年チビさんに連れて行ってもらい
アルパインクライミングの面白さを知ることとなったルート。
クライミングレベル的にも我々に丁度良くて
気持ちよくロープクライミングを楽しめる。
三週前、槍ヶ岳北鎌尾根から見た前穂北尾根
この週末は、
天候的には日曜の朝が狙い目。
なので土曜は涸沢までの移動日とし
日曜の朝に北アの大パノラマを楽しみながら
北尾根にアタックしようって計画。
ロープクライミングギアを車に詰め込み
土曜の朝
チビさんと沢渡へ向かった。
初日は涸沢までなので急ぐことはない。
のんびり観光っぽく
上高地を楽しみながら涸沢へ。
徳沢で、山に登る前からアイス。
この日は涸沢ヒュッテに宿泊する。
夏のトップシーズンも終わり
小屋も空いてて快適。
おでんを突っつきながら夕飯をいただき
19時には夢の中へ。
翌朝は4時に起床し5時に出発。
先ずは
北尾根稜線の5,6のコルへと向かう。
北尾根は八つの峰からなっているが
クライミング的に面白いのは5峰から。
ということで
我々も毎度5峰からの取り付き。
美しい穂高のモルゲンロートを楽しみながら
1時間で5,6のコルに到着。
快晴無風のグッドコンディション
コルでは
登攀準備中のパーティがふた組み、
既に5峰に取り付いているパーティが数組。
やはりここは人気のルート。
この天気とあらばハイカーも多い。
5峰
コルでハーネスやガチャ類を装着。
アルパインクライミングってことで
カムやらヌンチャクやら登降器などなど
張り切って色んなギアを持ってきた。
ガチャガチャ色々着けてると
いっぱしのクライマー気分を味わえる、
なんて思ってるところが
いかにも素人。
実際には過剰装備になって重いだけ。
ガチャガチャと色々着けちゃった。
でもまあそんなこと気にせず
気持ち良くクライマー気分に浸ってスタート。
先ずは5峰に取り付く。
前穂北尾根の楽しみは
五つの急峻な岩峰登り。
クライミングとして難しさはないが
迫力ある高度感が
この登攀の難度を高めている。
更にルートファインディングの要素もあり
冒険的で面白い。
右か左か、この岩かあの岩か、ルートは自分で決める。
我々のような初級者でも
アルパインクライミングの醍醐味を味わえる
抜群のルート。
この高度感、シビれる。
最初の5峰は足慣しにはちょうど良く
手足を使って軽快に登り進んだ。
5峰ピーク手前には
ピークを巻くように薄い踏み跡がついている。
殆どのパーティはピークを巻くが
我々は登れるピークにはできる限り立つ。
岩好きの我々、
登れる岩をやり過ごすわけにはいかない。
それに、ピークに立ってこそ
アルパインクライミング。
5峰ピーク
一旦4,5のコルに下り、お次は4峰。
ここはルーファイが面白いところ。
ざっくりとしたルートは決まっているので
そのルート上に目標となる岩を定め
それに向かって登り進む。
どの岩壁をどう登るか。
決められたルートはないので
人それぞれ。
自分が見定めたルートを登っていく。
これが楽しくてたまらない。
そして4峰ピーク。
快晴の北アでのクライミング、
この大パノラマの中で味わうスリル。
ほんと泣けるほど最高!
4峰ピーク
その後3,4のコルへ下る。
3峰は北尾根の中で一番の難所且つ
お楽しみ処。
心臓がバクバクするほど
迫力ある高度感とスリルを味わえる
リスキーコース。
ここはロープで確保しながら慎重に。
遠目には全く登れる気がしない岩尾根
ロープを使ったクライミングを楽しめるのも
ここ3峰の魅力。
一般的に3峰では
50mロープを使って3ピッチほど。
だが我々は20mロープで
小刻みにピッチを切って進む手段を採る。
3峰は毎度渋滞するところなので
小刻みにピッチを切ったほうがスムーズだし
マルチピッチロープワークの練習にもなる。
先行者が登り進み
いよいよ我々の番。
気合を入れて登攀スタート。
一歩目から気持ち良いクライミング。
だが、10mも登り進むと
先行者が渋滞で停滞中。
これも想定内。
適当な岩棚でピッチを切って
チビさんに上がってきてもらう。
前穂北尾根が三度目となるチビさんは余裕、
軽快に上がってくる。
上のルートが空いたら再び登攀を開始し
先行者に追いついた所で
再びピッチを切る。
ビレイ解除、ロープアップ、
確保器セット、登攀コール。
これをスピーディ且つ確実にこなす。
これまでマルチピッチロープワークを
二子山中央稜などで練習し
頭の中でも散々イメトレしてきた。
その成果をフルに発揮することができ
嬉しいやら楽しいやら
最高の気分。
クライミング的には二子山中央稜よりイージー
ただ一つ難を言えば
今日はクライミングしてる時間より
順番待ちしてる時間の方が長いってこと。
ハイカーが多くて
バリエーション的雰囲気が薄れているのは
ちょいと残念。
人気ルートなので仕方ない。
ただ、渋滞のおかげで北アの大展望を
たっぷり楽しむことが出来た。
気合の登攀とのんびり北ア鑑賞、
この繰り返しが結構面白い。
北尾根から見る奥穂
少しずつ登り進んで3峰ピークに到着し
そのすぐ先にある2峰のピークも続けて制覇。
2峰ピーク
最後の1,2のコルへは懸垂下降で下り
そこからひと登りで前穂山頂に到達。
2峰の下りはクライムダウンも可能だが、
懸垂下降した方が楽しい。
4時間半かかってようやく登頂。
渋滞を含めて4時間と予想していたので
ほぼ予定どおり。
ガスに巻かれる前に頂に立つことができた。
渋滞で待ち時間が多かったが
それを差し引いても
前穂北尾根は痛快クライミングを楽しめる
極上のルート。
可能であれば5,6のコルに戻って
もう一度登り返したいって思うほど。
5峰から全ピークを踏んで山頂到達
北尾根登攀の余韻に浸りつつ
ガスが湧き始めた前穂山頂でしばし休憩。
山頂から見た2峰
その後
たっぷりの充実感に浸りながら
重太郎新道を下っていった。
明神へ続く尾根、登ってみたい!
一気に上高地まで下ったら
先ずはお決まりのアイス。
梓川のほとりで
泣けるほど美味しいアイスをいただく。
アイス買うのにヘルメットはいらん...
アイスの後は
梓川で疲れた足をクールダウン。
梓川もヘルメットは不用...
秋の気配漂い始めた上高地を楽しんで
15時には沢渡駐車場へと戻った。
今年はこれまで北鎌、源次郎尾根、前穂北尾根と
三つの岩稜バリエーションをクリア。
三つの尾根ともそれぞれに特徴があり
どの尾根も抜群に楽しかった。
特に今回の前穂北尾根は
アプローチも楽だし
クライミング要素が他の尾根より多くて
ホントいいルート。
やっぱ岩登りは楽しいわ。
さてさて
お次はどこの岩稜ルートに挑もうか。
北アの岩稜ルートへの挑戦は
まだまだ続く。