【2017.08.18(金)-21(月)】

 

十勝岳、富良野岳登山を終えた翌朝、

車で平取の町へ向かった。

 

四日間の北海道遠征登山のうち

後半二日を使って幌尻岳に挑む。

 

幌尻岳といえば糠平ルートの渡渉。

 

十数回もの渡渉点があるこのルートは

他の山では味わうことのできない面白さがある。

 

チビさんは2年前に幌尻岳に登っており

その時は糠平ルートを日帰りしている。

 

なので

今回も日帰りでやろうかと考えたが、

あいにく今日は天気予報が良くない。

 

予報では晴れるのは明日の午前中とのこと。

 

遠く北海道の山に登るからには

是非とも晴れた山頂で絶景をいただきたい。

 

ということで、今回もテント泊登山とし

二日目朝の晴天の山頂を狙う。

 

幌尻山頂を超えて1時間程下ったところには

七つ沼テン場があるので、

そこでテン泊しようと考えた。

 

二日目は朝三時にテン場を出発し

晴天の山頂で朝日を浴びながら大展望をいただき

その後サクッと下山し

夕方の便で成田に戻るという計画。

 

さて、うまくいくか?

 

 

先ずは初日の朝6時すぎ、

車で「とよぬか荘」へ向かった。

 ここが登山者用林道バスの出発点。

 

 

 

 

車が入れるのはここまで。

 

ここから登山者用の林道バスで

登山口へ向かう。

 

7時のバスに乗り、

ダート道をガタゴト走ること一時間で

登山口に到着。

 

バスを降りると

とんでもない山奥に放り出されてしまったような感じで

ちょいとビビる。

 登山者を見送ってくれる運転手さん

 

 

 

 

バスの運転手さんが

「今は水量が少ないから渡渉も楽しめるよ。

気をつけてね」って。

 

バスを降りた登山者の心細さを読んで

優しげな声をかけ背中を押してくれた。

 

気合を入れて8時にスタート。

先ずは7.5kmの林道歩き 

 

 

 

 

長い林道を一時間半ほど歩き

やっと登山道入口に到着。

 

この先いよいよ渡渉が始まるので

ここで渡渉用の靴に履き替えた。

チビさんは沢靴、私はトレランシューズ。

 

 

 

 

今のところ天気も良くて暑いので

水の中の沢歩きが楽しみ。

 

しばらく進むと一本目の渡渉点が現れた。

ゆっくりと水の中へ。

 

水深はひざ下程度。

 

足がクールダウンされる感じで

これが気持ちいいのなんの。

 

 

 

 

水の中をジャブジャブ進むのって面白い!

ずっと水の中を歩いて行きたい気分。

 

バスの運転手さんが言ってたとおり、

こりゃ楽しいわ。

 

 

 

 

その後も何度も渡渉を楽しみながら

軽快に糠平川沿いを遡っていく。

 

水量が少ないので

渡渉は楽しいアトラクションとなった。

 

 

 

 

渡渉開始から一時間ちょっとで

幌尻山荘に到着。

 

楽しかったのでここまであっという間。

 

 

 

 

山荘で一休みしたあと

テン泊用の水を3L補給し

ずっしりと重くなったザックを背負って

再スタート。

 

 

 

 

ここからは急傾斜。

 

14kgの荷を背負って大汗かきつつ登り進む。

 

これがきついのなんの。

幌尻登山の核心はこの急登にあり。

 

しばらくすると

幌尻山頂を見渡せるカールの淵に到着。

 

 

 

 

 

けど、予報どおりガスで真っ白。

山頂なんて見えないし。

 

ここから山頂を眺めながら

カールの淵を登り進んでいくのが

このルートの見所なのに、

思いっきりガス。

 

まあいい。

お楽しみは明日だ。

 

ガスの稜線を黙々と進み

スタートしてから6時間で幌尻山頂に到達。

 

 

 

 

ガスで真っ白。

 

百名山98座目制覇の喜びは明日にとっておき

テン場に向け更に先へと進む。

 

 

 

 

ここから一時間、

戸蔦別岳方面へ稜線を下っていけば

七つ沼カールが見えるはず。

 

カールの底は沼と緑の美しい平地で、

そこがテン場となっているとのこと。

 

テン場といってもただ平地があるだけで

小屋やトイレなどの設備は何も無い。

 

だが

ヒグマは沢山いるらしい。

 

ヒグマの生息地でもあるので

このテン場を利用する人は殆どいないようだ。

 

ヒグマがいるといわれても

他にテン場がないので仕方ない。

 

稜線を一時間程下ると七つ沼が見えた。

 

沼は干上がり土砂溜まりのようになっていて

噂に聞く美しさは全く感じられず

ちょっと残念。

 

 

 

 

稜線を外れカールへ下る道を降りた。

ここはかなりの急坂。

 

しかも、

途中から踏み跡無くなるし。

 

 

 

 

北アの岩稜やバリエーションを経験している我々にしてみれば

このような急坂は何でもないのだが

ルートが不明瞭ということは

ちょいと問題だった。

カール底の草原地帯はほとんど踏み跡がない。

 

 

 

明るいうちは目指すポイントが見えるので

道がなくても進むことができるが

夜、ここを歩いて稜線に戻ることは

不可能に感じられた。

 

明日は11時の林道バスに乗って

戻らなければならない。

 

そのためには朝3時に

ここを出発する必要があった。

 

これまで

何度かナイトハイクを経験してきてはいるが

明確なルートやマーカーが有ったからこそ

歩けたのであって

真っ暗な道なき広いカールの中を歩くことは

不可能だと思った。

 

とりあえずテン場まで降りては来たが

明日の戻りのことを考えると

ここでのテン泊は諦めざるをえない。

ルート無いし。こりゃ無理かな・・・

 

 

 

色々と検討した結果 

幌尻山頂から下ってくる稜線の途中に

ビバークスペースがあったので

そこまで戻って

今夜はそこでビバークすることに。

 

一時間かけて下ってきた道、

これを登り返さなければならないのは大変だが

体力的には問題ない。

 

普段のトレーニングは

こういった時にも役立つ。

 

気を取り直してカールを登り返した。

 

ところがカールの急斜面を登っているうちに

道を見失ってしまった。

 

岩場をしばらく登り、

途中から草付きの筋に入らなければならなかったのだが

岩登り好きの我々は

軽快に岩を登り進んでしまい

草付きへの分岐を通り越してしまったのだ。

 

二人して岩登りを楽しみすぎたっていうミス。

 岩壁が面白くて・・・

 

 

 

 

傾斜が急なのでルートをもどることはせず

ハイマツの中を無理やり登り進み

なんとか稜線に戻ることができた。

 

 

 

 

明るい時で良かったって

つくづく思った。

 

その後、稜線をさらに登り返し

やっとの思いでビバークポイントに到着。

 

 

 

今日一日

テン泊装備で9時間(CT12時間)の山行は

流石に応えた。

 

 

 

 

だが、夕方になるとガスが消え

周囲の峰々を見渡すことができた。

 

いいぞ!

明日の朝が楽しみ。

300名山中最難関のカムエクが見えた。

 

 

 

 

簡単な夕食を済ませ

シュラフに潜り込むと数秒で夢の中へ。

 

 夜中にテントの周りを何かが歩き回っていた。

きっとキツネとかタヌキなどの小動物だろう。

そうじゃないと困る。

 

しばらくテント周りでガサゴソしていたが

やがて去って行ったようで一安心。

再び眠りについた。

 

 

翌朝は4時に起床。

 

テントから顔を出すと快晴!

 

眼下には雲海が広がり

峰々が雲の上に頭を出している。

 

 

 

 

素晴らしい朝。

早速荷をまとめて山頂へ。

 

 

 

でもって、朝日を浴びながら

改めて百名山98座目の幌尻岳山頂制覇を喜ぶ。

 

いや、これ最高!

 

 

 

百名山も秒読み段階になると

一座一座の登頂がホント嬉しいし

その喜びに値する美しさを

どの山も持っている。

 

 

 

 

残り二座は斜里岳と羅臼岳。

 

どんな山なのか、どれほど美しいのか、

百名山チャレンジには

未踏の山に挑む楽しさがある。

 

来年の登頂が楽しみ。

 

 

 

百名山最難関の幌尻岳を制し

充実感たっぷりに山を降りていった。

山頂からの稜線は極上のルート

 

 

 

幌尻山荘まで下り、

渡渉のためのトレランシューズに履き替え

川の中をジャブジャブと。

 

 

 

11時のバス時間には余裕があったので

途中、日当たりの良い河原で一休み。

 

顔を洗い、頭を荒い、体も洗った。

いやこれほんと気持ちいい。

 

 

 

2年前のJMT踏破の時は

毎日川や湖でこんなことしてたのを思い出した。

 

水辺のハイクって、やっぱりいいね。

 

その後、長く辛い林道歩きをこなし

11時のバスでとよぬかへと戻った。

 

車で鵡川まで行って温泉で汗を流し

千歳空港へ。

 

真っ先に向かったのは

松尾ジンギスカン!

 

 

やっぱこれっしょ!

 

なまら美味いし!

 

 

 

 

こうして北海道の山旅は終わった。

 

と同時に、

長かった夏休みも終了。

 

北鎌に挑み、

孫ちゃんと遊び

北海道の山を旅した。

 

ガッツリ遊び切った

いい夏休みだった。

 

 

 

お次は
いずこの山へ・・・