【2017.4.22(土)-23(日)】

 
 
晴天予報が出たこの週末は、
残雪の北アルプス 黒部五郎岳へ。
 
 
先月、日帰りで北アの北ノ俣岳を狙い
行程の半分もいかない所でド敗退したので、
そのリベンジ。
 
今回は二日がかりで北ノ俣岳及び
更にその先の黒部五郎岳までも狙う欲張り計画。
 
トータルCT23時間の長丁場。
 
残雪期のテント泊装備でこのCTは、
我々にとってはかなり難度が高い。
 
だが、こういうチャレンジ的要素のある山行は
ワクワクしてたまらない。
 
数日前から準備を進め
金曜夕方のヤマテンで晴天予報が出ると
一気に気持ちが盛り上がった。
 
鼻息を荒げながらチビさんと飛騨へ向かう。
 
今回のルートは前回同様、
県道484のどん詰まりの神岡町の打保(うつぼ)集落からスタートし、
神岡新道を上がる。
 
北ノ俣に登るには神岡新道と飛越新道の2つのコースがある。
 
飛越新道を登るのが一般的だが
登山口までの林道はどちらも除雪されていないので、
歩いた経験のある神岡新道を選択。
 
土曜朝5時40分、
テン泊用の重い荷を背負って打保を出発。
 集落から先の林道は除雪されていない。
 
 
 
 
今日の荷の重さは16キロ。
 
アイゼン、ピッケル、
スノーシューにスコップなどなど、
雪山装備は
他のUL製品の軽量効果なんて吹っ飛ばしてくれる。
 
夕方には稜線にテント張って
珈琲飲みながら優雅に北アの大展望を眺めてる、
そんな光景を頭に思い浮かべ
頑張ってこの重い荷を担ぐ。
 
4時間半で、前回敗退した飛越新道との分岐点を通過。
ここまで順調。更に先へ。
 
ガスっているが無風なので汗ダク。
アウター脱いで歩くって、やっぱり春山だ。
 
予報では夕方から晴れて、
明日は一日快晴とのこと。
 
初日の道中は曇りで
稜線に上がってテント立てたら晴れるっていうのがベスト。
 
そんな調子のいい天気を期待しながら
北ノ俣岳の大斜面を登っていく。
 
 
 
 
でもって、稜線が近付くと青空が。
 
いいぞ!

 

 

振り向けば眼下に雲海。
雲の上まで歩いて登ったんだって、
ちょっと感動。
 
 
 
 
だが、ここにきて足が進まなくなった。
 
目指す稜線は目の前だが
既に10時間以上歩き続けているので
疲労はピーク。
 
荷をおろして休みたいが
山頂下の斜面は傾斜がきつく平らな場所がない。
 
チビさんに先に行ってもらう。
持久力はチビさんには敵わない。
 
テン泊装備を担いで10時間以上登り続けても
スタートから変わらず淡々と登り進んでいく。
 
あの小さい体の
どこにそんなパワーがあるのか不思議。
 
 
 
 
チビさんの後に頑張って続き
スタートしてから10時間半で稜線に到着。
 
でもってダウン。
参った。
 
 
 
 
そのまま寝てしまいたい気持ちを抑え
体が冷える前にテントを設営。
 
稜線上なので風を受けやすいことを考慮し
イグルーのような防風壁を作ろうと考えた。
 
が、出来上がったのは
子供の砂遊び程度の貧弱な雪壁。
 
まあいいか。
だいたいイグルーの作り方なんて知らない。
 
 
 
 
テントの中はポカポカと暖かかった。
熱いコーヒーを飲みながら一休み。
 
外を見るとガスが晴れて
北アの名峰どもが目の前にドカン。
 
 
夕方から晴れるってヤマテン予報、ビンゴ!
 
薬師やら水晶やら黒部やら、
見事なウェルカムビュー。
 
 
 
これぞ北アルプス。
 
北アの稜線にいるってことを
思いっきり感じさせてくれる。
 
 
 
 
全く風はなく、我々以外誰もいない。
 
雪の防風壁は貧弱だが
こん畜生なくらい最高のテン場。
 
頑張って重い荷を担いできて良かった。
 
10分ほど先にある
北ノ俣岳の頂に上がってみた。
 
 
 
 
夕暮れ時の北アの大展望の中に
目標の黒五。
 
明日はあの頂に立つ。
 
興奮気味にテントに戻り
カップ麺を腹に流し込んで明日に備え早めの就寝。
 
 
 
 
翌朝3時過ぎに起床。
 
風が強く、テントがバタバタ揺れている。
夕べ作った防風壁の効果は全くない。
 
風は強いが空には満天の星空。
天の川を見たのはいつ以来か記憶にない。
 
 
ヘッデンが不要なほどに空が明るくなったのを見計らい
4時40分に黒五を目指してスタート。
Good morning Alps.
 
 
 
風は強いがここは残雪期の北アルプス。
これくらいは微風微風。
 
 
 
 
日の出が近づくにつれ
周囲の色がどんどん変わっていく。
 
これぞテント泊登山の醍醐味。
 
 
 
 
 
やがて水晶岳から朝陽が現れ
空は青く、雪面はオレンジ色に。
 
 
 
 
 
 
朝日を浴び、
周囲の景色が一気に華やいだ。
 
山深き北アの大自然の中に我々だけ。
こういうシチュエーションは大好き。
 
 
 
 
北ノ俣から黒五までのたおやかな稜線は
雪の状態も良く危険なところがないので
散歩気分で楽しめるところがいい。
 
 
 
赤木岳を越えて。
 
こういう広々とした雪原を歩くのって
ほんと楽しい。
 
 
  
 
 
大小様々なピークを乗り越え
いよいよ黒五の基部へ。
 
山頂まではきつい傾斜が長く続くので
ちょいと緊張。
 
 
 
 
 
気合いを入れて最後の登り。
頑張れ、ふくらはぎ!
 
 
 
標高差300mの雪の傾斜を
一気に山頂まで。
 
 
 
 
 
スタートしてから2時間半、
山頂に到達。
 
残雪の黒五を制した。
 
 
 
 
真っ青な空の下、360度ぐるりの大展望。
 
感動的な頂だった。
 
 
 
 
景色の素晴らしさは勿論
雪の黒五の頂に立てたこと
誰もいない山に二人だけということ
厳しい山行をやり切ったこと
そんなことが重なり合い、充実感は最高。
 
 
 
 
だが、風が強くて寒い。
なので15分ほどで下山開始。
 
山頂滞在時間は短かったが
達成感は十分。
 
 
今度は急傾斜300mの長い下り。
高度感があって迫力満点。
ってか、正直怖い。
 
 
雪面はアイゼンがよく効く硬さなので助かる。
これ以上硬かったり、逆に柔らかすぎたら
登ってきてはいない。
 
 
 
アイゼンの引掛けに注意し、
集中して集中して一歩ずつ下る。
 
基部まで下ってひと安心。
 
 
 
この先はまたお散歩気分で
赤木岳へ登り返す。
 
 
 
 
赤木岳を越えたらまた下って、
最後は北ノ俣への登り返し。
 
 
 
 
下山してるのに登ってばかり。
これには本当に応えた。
 
 
 
北ノ俣の頂きに着いた時には
かなりバテバテ。
 
 
 
 
結局北ノ俣から黒五の山頂まで
登り二時間半、下りも二時間半。
  
 
 
テントに戻って休む暇なく撤収作業。
そして下山開始。
 
これから7時間かけて下山しなければならない。
黒五は本当に遠い山だ。
 
 
 
昼を過ぎると疲れと暑さで意識はフラフラ。
 
そのせいで、
分岐を誤ったり下る尾根を間違ったり
何度もルートロス。
 
精も魂も尽き果てて
やっとの思いで登山口に降り立った。
 
あとは林道を下り、
17時過ぎに打保集落に無事帰還。
 
初日10時間半、二日目12時間半
トータル23時間の山行を終えた。
 
 
今回の残雪期黒部五郎登山は
稜線上での極上のテント泊や
たおやかな雪の稜線歩き
黒五山頂からの大展望など
かなり満足度の高い山行となった。
 
山行がハードだからこそ喜びも深い。
 
山でテント泊すると
やっぱりテント泊登山はいいなって
つくづく思う。
 
52歳、まだまだ担げる。
 
次週はいよいよGWだが
これだけ満足度の高い山行をしてしまうと
当分お腹いっぱいで
次なる山に気持ちが向きそうにない。
 
なんて思ってるのは今だけか?
 
 
さてGW、どこで何しよう。
 
山でテン泊か
海で波乗り&ハマグリ漁か
孫の顔も見たいぞと
 
その時の気分で
やりたいことしよう。
 
 
 
お次は
いずこの山へ...