タイトルがおしゃれなんで読んでみた。
そして、感想。
惜しい、惜しすぎる
キャラとか人物関係とかめちゃくちゃよくって
途中までめっちゃいい感じだったのに💧
ほんと、キャラの組み合わせが秀逸なんです!
主人公甲太郎は30半ばのうだつの上がらない高校教師。
NYに単身留学中の妻に放置されてる。子どもなし。ノンケ。
ぼーっとしてて優しいだけが取り柄のような、
だけど、実はわりとずうずうしくっておちゃめ。
噛めば噛むほど味が出る、スルメのような味わい深い人物。
NYにいる妻の代わりに、
怪我をしたという義父の様子を見に行ったら、
なんと、若い男との熱烈なキスシーンに遭遇。
ほとんど会ったことのなかった義父の庚子さんは、
実はゲイだったことが判明。(受け)
で、娘にはナイショにしておいて欲しい、と、いきなり土下座されちゃう。
この爺さん。60歳近いんだけど、
おしゃれで色気があって、まだまだ現役。
ひょうひょうと自由に生きているように見えて、
実は初恋のトラウマを克服できてなくって、
ゲイをこじらせてる。
で、ちょっと初恋の彼と甲太郎をダブらせてるっぽい。
鈍感甲太郎は、そんなこと全然気づかず、
「お義父さん、お義父さん」と、なんか懐いちゃってて、
足繁く庚子の家に通い始める。
なんだろね。そこはかとなく寂しい大人2人の
なんかありそうな、でも何もなさそうな、
そんな義理の親子の距離感がいい感じ。
そして、3人めの主要人物はなんと17歳高校生。
甲太郎の教え子。
セクシャリティの悩みで追い詰められていたときに
甲太郎が相談にのってあげていたという関係。
その後、自分がかなりの美人であることに気づき、
それからは奔放な性生活が始まっちゃってる。
まあ、メンズをとっかえひっかえ的な?
そんな高校生がゲイバーで遭遇したのが庚子さん。
少年が元彼とのトラブルで殴られてるところを、
いい感じに救ってもらったんだけど、
本人イケイケの気分をへし折られたもんだから、八つ当たり気味にじいさんに反発。
まあ、青いな、って感じ?
で、そんな若造の暴言なんて、さらりと受け流して去っていく庚子さんの後ろ姿のかっこよさよ。
まあ、惚れるよね。
だってかっこいいもん。
で。案の定、惚れちゃうわけ、少年が、じいさんに
最初は自分の気持ちに気づかなくって
自分からつきまとってるくせに悪態つくみたいなね。
いかにも10代でかわいいよね。
じいさんのほうも、最初はつきまとわれてめんどくさがってたんだけど、まあ、だんだん気になってくるわけですよ。いい歳して、なかなかに惚れっぽい。
でも、じいさん的には、甲太郎なんだろうな、って感じだったんだよね。最初は。
甲太郎はノンケだからその気はないはずなんだけど、なんかちょっと距離感がね。近いわけ。義理の父ということで心のガードが外れやすいんだろうね。だからごく自然に距離が近くなってく。
おお、いいね、いいね、なんか三つ巴的な?
って、ちょっとワクワクするじゃないですか。
しかも、10代、30代、50代の男子3人。
これがタイトルのもとになってるんだよね?
「グレー」は50代のじいさん。
「ブルー」は10代高校生。
その「あいま」にいる主人公の30代おっさん。
とくに50代のじいさんはなかなかにチャレンジングだなぁ、って思ってて。
年齢設定だけでも十分引く感じなのに、
絵も小綺麗にせず、本当にじいさん感を出してるんだよね。
かっこいいけど、じいさんなの。
そこに作者さんの本気を感じたんだよね。
しかも、かなりこじらせてるから、甲太郎とのからみで、少しずつ過去に向き合ってトラウマを克服していくのかなぁ、とか。
少年も結構やんちゃしてたから、本当の恋を知ったらどうなるのかなぁ、とか。
自分が好きになったじいさんが義理の息子を好きみたいで、その義理の息子が自分の恩人の先生で……なんて、なかなか厄介な初恋じゃねえーか? とか。
で。そんな状況で、色恋とはほとんど無縁の30代の鈍感なおっさんがどう巻き込まれていくのかなぁ、とか。
とにかく、すごくおもしろくなりそう~
って、思ってたのに、な、なんと!
早々に、主人公のはずの甲太郎が脱落。
脱落というのは、多分作者さんが、甲太郎をどろどろした関係に引きずり込めなかったんだと思うんだよね。一瞬、微妙な伏線はあったんだけど、結局、きれいにスルーされて、甲太郎は、最後までただのノンケのいい人のまま。で、少年とじいさんが、なんと40歳の年の差カップルになって終わったっていう……。
「グレーとブルー」のお話で終わった。
肝心な「あいま」がなくなっちゃった。
めっちゃ残念です。
作者さん。
再チャレンジしてくれないかなぁ。
あのキャラ3人だったら絶対おもしろいし、
いろいろあっても嫌な終わり方にはならないと思う。
庚子さんの初恋の人が触ってくれた耳のほくろ。甲太郎が触ったときは庚子さんの反応ヤバかったのに、少年が触ってもなんともなかったっていう、やや蛇足気味の挿話。あれをあえて最後に描いちゃうあたり、作者さんの不完全燃焼を感じてしまう。庚子さんと甲太郎の微妙な関係。もっと見たかった。回収できなかった伏線、もう一度回収してみませんか?
で、私の結論は、パラレルワールドです。
1回出来上がってしまった作品の書き直しは無理だけど、
3人のパラレルワールドは可能では?
もう、そんな無茶を言うくらい、
この3人の本気の三角関係、読みたいです。
今度はぜひ、「あいま」をフィーチャーしたパラレルワールドの続編希望!!!
