【BL】キャラに惚れた――『好きになってもいいよ』 | なぁ助の勝手にレビュー☆

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ミーハー気分に任せて好きなマンガ、アニメ(たまにお芝居)を勝手に愛で散らかすブログです。
自分のいいように解釈して、ただただ「いいなぁ~❤」「好きだなぁ~❤」を垂れ流すだけですが、
話の合う人がいないので、「それ、わかるわ~」という方を求めてます。

好みの絵の作品が内容も好みだったりするとテンションあがる。まあ、当たり前。

苦手なタイプの絵で、人物もストーリーもぜんっぜん好きじゃないのに、やめられなくてハマってしまうと、恐怖に慄く。

なんだこれ。

久々にそんな作品に遭遇。
中毒性がヤバい。

はじめは「あの時からスキだったんだと思う」を読んでで、絵がむしろ苦手なタイプなのにやめられなくて、結局読了したんだが、作者のほかの作品が気になって、探したらヒットしたのがこれ。

いのえ門『好きになってもいいよ』

 

好きになってもいいよ1【電子書籍】[ いのえ門 ]


出だしチラッと見たら、なんか「あの時から〜」のスピンオフっぽい。(えーと。こっちがあとで正解だよね? 電子書籍だと、奥付がないから前後関係がわからん爆  笑

サラリーマンしながら、後輩の天才アーチスト甲斐田瑛志のサポートとしてドラマーをしている洋次(受)と、破天荒ギタリスト杏慈(攻)の奇妙な恋愛。

あたし、洋次にはほとんど興味なかったんだけど、杏慈くんがね。
本編にチラッと出てたけど、一瞬にして主役を食ってしまう狂人ぶりで気になってたんだよね。

で。
まじでヤバい、この人。
狂人にして繊細。
傍若無人にして寂しがり。
凶暴で愛情深くて、
かつ、まっすぐ。

キャラは完全に文学。
永遠の欠如感を抱いてる感じとかは、太宰治とか、中原中也とかの影がよぎるよね。生きてることが拷問みたいな人。


なのに生き方は、めっちゃエネルギッシュでロックな感じ?


よれTに便所サンダルで社会の底辺かと思いきや、音大ピアノ科卒のボンボンっていう。


とにかく、めちゃくちゃなんだけど、読んでいくにつれて引き込まれて、結局、杏慈くんなら、何しても許せる感じになっちゃう。

こんな複雑なキャラを、リアリティもって描けるって、作者もきっとクセ者に違いない、とか。思ってしまう。

これは本当に唯一無二のキャラでは?
破壊的、破滅的で、悲しいキャラはよく見るけど、そこに愛らしさが乗っかってくるのがヤバいです。
しかもウドの大木的デカさと、どう見てもモブにしか見えないビジュアル。

いちばん印象的だったシーンは
やっぱり演奏シーンかな。
洋次と杏慈くんの初セッション。

いや、作者、どんだけ音楽が好きなの? 洋次の音楽への偏愛は、もしかして作者の音楽への思いが反映されてるのかな?

音楽に恋して、音楽でヌいちゃうくらいの激しい片思い。

洋次からしたら、杏慈くんとの出会いは相当サイアクで、しかも自分勝手のクズ人間なのはわかってるんだけど、杏慈くんのギターが忘れられなくて居候させちゃう。洋次の場合、好みの音楽=快楽だから、結局、快楽に抗えないヤツってことなんだよね。そう考えると、洋次も相当な変態。普通にサラリーマンして良識派ぶってるけど、まあ、普通の生活していくのは土台無理だったのかもね。

で、そんな2人のセッションシーン。

クソビッチな先輩のドラムと、
強くて悲しい杏慈くんのギター

絵がいい。
繰り返しますけど、決して好みの絵じゃないんですよ?
なのに、もうイイとしか言いようがない。
躍動感?
前作でも思ったけど、特にギターとボーカルは震える。(今回はボーカルはないけど)

なんかね、音が聴こえてきそうな気がするの。そういう絵。
ああ。マジで聞きたい、2人のセッション。想像するだけで、胸がバクバクする。

恋愛的には、結局、杏慈くんの過去に関わるトラブルで、お互いに相手を思う気持ちを認識して、ハッピーエンドなので、スッキリ読み終えることができます。

2人でバンド組むことになって、洋次は退職。あれほどサラリーマンにこだわってたのに。愛の力だねぇ。

いや、快楽の魔力か笑い泣き

終わってみれば、病的な執着をかかえた杏慈くんを受け止められるのは、音楽変態の洋次しかいなかっただろうし、そもそも杏慈くんのギターを初めて聞いた瞬間に、音から彼の悲しみを感じ取っていたってことが、もう答えだったんだろうな、って思う。

破れ鍋に閉じ蓋的な、めちゃいいカップル。

3作目は、瑛志&真央、杏慈くん&洋次のダブルカップル話っぽいから、もう期待値バク上がりですラブ飛び出すハート