高校の恩師の話。
一年の時の漢文の恩師は、
(私が言うのもなんだが)
一風変わった先生だった。
自分で書いた漢文の参考書があり、
そこに自伝的な創作漢文を載せてたり、
授業中、生徒に何か書かせてるとき突然、
「君たちはー、僕と一緒に勉強してるとー、
学者に、なれますよー」とか
言ったりする、
ナルシスト系のおじさん。
当時、その高校で
「左遷」のイメージのあった
図書室担当だったこともあり、
バカにしてる生徒が多かったが、
私には合っていたらしく、
この先生の参考書を真剣に読んだら
漢文は得点源になった。
何より忘れられないのが、
卒業の頃の思い出。
図書館利用規則か何かに
「排列」の文字を見て、
「これ誤植じゃないですか」と
その先生に言いに行った。
そうしたら先生、「それでは、
辞書にはどう書いてあるでしょうか」
とおっしゃって、手元の国語辞典を開くと、
ちゃんと「排列」の項があった。
のち自分も司書教諭資格を取って知ったのは、
この先生は司書教諭として
模範的な対応をされたということ。
質問に、自分の知識で答えるのではなく、
レファレンス資料(この場合は先生の私物だが)
に基づいて回答してくださった先生のことは、
「排列」の文字を見る度に思い出す。
先日、慶大通教で
「学士(図書館・情報学)」を取ったが、
図書館学の学修の最初の一歩は、
ふりかえれば、30年前のこのとき
踏み出していたのだと思う。