太古の昔、人がまだ言葉を持たなかった頃
人々はその命で感じたことを
音という波動で表現した
アー(美味しいとか、きれいとか…)
ウー(産まれるとか、痛い、苦しいとか…)
ザーザー(雨、水)
やがて人々は現象を表すため、音を組み合わせ始めた
ザワザワ(木の声)
ピューピュー(風の音)
ミンミン(蝉)
間も無くして人々は景色や物を見て
音をつなぎ合わせその形や色を簡単な絵や形で表すようになった
山、川、木などだ
その形から感じる波動を受け取り
言葉が次々と生まれていった
当時はテレパシーで交流していたため言葉を使うものはごく僅かだった
しかし、一部のマニアが言葉をやり取りする様子を見た人は
あたかも新しいゲームを見つけた子供のように面白がってその言葉遊びを楽しんだ
感覚と意識を使わず、何も持たず動かず言葉だけで意思の疎通をする遊びだ
音をつなげる遊びは次々と広まり言葉は増えていった
そうやって人々は言葉を生み出し
たくさんの表現や名前が生まれた
今や名前のないものはこの世に存在しないもの、表現できないものは訳のわからないものとなった
言葉の増加とともに人々はテレパシーで交流することを忘れていった
そして…
言葉に依存するようになっり
波動通信の感覚を忘れていった
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