日本が敗戦のどん底にあって、さらにそこに

ゴジラが追い打ちをかけて来る…

この絶望的状況に 人々はどう立ち向かって

行くのか?

絶望的という事では、パンデミック、戦争、

さらには巨大地震、火山噴火。今後予想される

このような危機と「ゴジラ-1.0」の絶望的状況

とが重なるみたいで、本当にどんな映画になる

のか? 物凄く期待していました。

 

ただ 第一印象をズバリ言うと、先ず 中盤の

ドラマ部分がくどいし しつこく感じます。

主人公のゴジラへの恐怖や 自責の念などは、

それが夢に出てくるほどに 強く描かれている

のです。

そこをドラマでさらにしつこく、時間をかけて

いて冗長に感じてしまうのです。

 

そしてどうしても納得いかないのが 終盤…

応援に駆け付けた船団から 牽引船へと、アッと

言う間に沢山のワイヤーが掛けられてしまう!?

でも、これは端折り過ぎだろう!?

あれだけ多くのワイヤーをかけるのは、結構な

時間がかかる大変な作業です。船員たちが必死

になってワイヤーかけていく作業を入れるべき

だったと思います。

 

本作の一番の見所といえば ”民間の力”です。

政府も諸外国も あてにならない。

民間で創意工夫を凝らして、出来る限りの事を

やっていくしかない!  そこが現在の危機と相

通じるのではと思います。

終盤で船員全員が力を合わせ、力を振り絞って

ワイヤーを取り付ける作業が描かれていたなら、

民間の力がより力強く感じられたと思います。

中盤のドラマを削っても 終盤のワイヤー作業を

入れていたなら、もっともっと熱い作品になり

紛れもない大傑作になったと思います。

そこが実に惜しい!惜しく感じます。

 

ともあれ 批評を書いてしまいましたが、ゴジラ

映画というのはこうなるのです。

自分だったらもっとこうする!

こんな風に作ってみせる!

 そんな熱い意見が 盛んに飛び交う!

 それが ゴジラなのです‼

 

映画に限らず 成功を収めるエンタメ作品という

のは、話に勝手に尾ひれが付いていき、作者の

思ってもみない方向に独り歩きして行く。

そんな風にして 見る側がドンドンと想像力を

掻き立てられ、ムーブメントを起こしていく

それこそが 本物のエンタメであると思います。

一番ダメなのは、何の関心も持たれないこと。

良くもなく悪くもなく スルーされてしまう。

残念ながら、そんなエンタメ作品が大多数なの

ではないだろうか…

そういう面では、ゴジラは今もってエンタメの

王者というに相応しいと感じます。

 

 

          

ちなみに、私がお勧めする ゴジラ映画の

最高傑作‼ それは

「ゴジラVSメカゴジラ」(1993年)です。

この作品のテーマを一言で言うと、

「命を持つ者と そうでない物との違い」

これは 他のゴジラ映画にないテーマであり、

ゴジラの存在意義を示す新機軸と言えます。

この作品の面白さや観どころは、過去記事の

『新春一番‼ゴジラVSメカゴジラ』に記して

おります。

ゴジラ作品の面白さを堪能してみて下さい。