お正月といえば、ゴジラ映画。
一昔前まで それが楽しみなものでした。
昨年は 「シン・ゴジラ」の大ヒットもあって、
1993年版 「ゴジラ VS メカゴジラ」

久々に観たくなりました。

これは、私が好きな映画の筆頭にあげる傑作中の

傑作なのです。

 

とにかくこの映画、ただの怪獣映画と思うなかれ!
もうチョットだけ 尺をとって 作り込んであれば、
日本の映画史に残る、否、世界の映画史上にも輝く
“普及の名作”になっていた可能性が 充分にある!

それほど 凄い作品なのです。
何がそれほど凄いのか?

先ずはそのテーマ。 ゴジラ映画のテーマといえば、
・戦争や 核、放射能の恐怖としてのゴジラ
・悪を倒す 正義のヒーローとしてのゴジラ

主にこの二つに大別されます。
しかし「ゴジラ VS メカゴジラ」のテーマは、

このどちらでもありません。それは-
「“命”の連携 VS 機械文明」
という、物凄く深淵なテーマなのです。
そのため 怪獣たちの登場には、意味が通っている
のです。

 

先ずは、ゴジラとラドンは「托卵」で結びついて

いたという 卓越したアイディアです!
「托卵」とは、卵の孵化を他の生物に託すことです。
これは実際、鳥類に多く見られる行動とされます。
これに則り、ゴジラもその卵を ラドンに託して孵化
させていた。 なので、生まれた幼体は兄弟。
つまり ゴジラとラドンは、兄弟に近い親密な関係
にあった。
これは それまでのゴジラ映画の設定を
刷新する、まさに天才的な設定です。
もちろん 托卵関係は “後付け” であり、第一作から

あった訳ではありません。
しかしながら、ラドンを鳥に見立てて托卵の関係を
引き出すとは、後付けながら絶妙に納得してしまう

のです。
ゴジラとラドンの兄弟に近い関係、これがストーリー
の骨子= 命の連携へと繋がっていくのが 実に見事
なのです。

 

その命の連携に抗するのが、人類文明=メカゴジラ。
本作では ほぼ全編に渡って、怪獣VS人類の 激しい
戦いが繰り広げられるのです

上映時間 約100分の間に、
 ・ゴジラ VS ラドン
 ・ゴジラ VS メカゴジラ(一回戦)
 ・ゴジラ VS Gフォース
 ・ガルーダ VS ファイヤーラドン
 ・メカゴジラ VS ファイヤーラドン
 ・ゴジラ VS メカゴジラ(二回戦)
 ・ゴジラ VS ガルーダ
 ・ゴジラ VS スーパーメカゴジラ
 ・スーパーゴジラ VS スーパーメカゴジラ

9つもの戦いが ほぼノンストップで 華々しく展開
され、圧巻の見応えです!

その一方で、戦闘の合間に人間ドラマ、科学的説明、
作戦展開、さらにはラブコメ要素も盛り込まれていて、
ドラマとしても 秀逸なのです。

 

 

そして物語の白眉である、幕張の最終決戦へ。
劣勢のメカゴジラは 飛翔型攻撃機ガルーダと合体。
「スーパーメカゴジラ、合体完了!」
くうぅぅぅーーー! これぞ男のロマンです!!
スーパーメカゴジラ となって格段にパワーアップし、
ゴジラを絶命寸前まで追い込みます。
ゴジラは もはやこれまでか…

 

だがしかし! そこに 怪獣チームの “奇跡の連携”

発動するのです
↓瀕死のゴジラが断末魔を張り叫ぶ。
   親の危機を悟ったベビーゴジラが、さらに絶叫する。
↓兄弟であるベビーゴジラの叫びに応え、ラドンが
   最後の力で飛び立つ。
↓ラドンがゴジラと重なり、ゴジラに生体エネルギーを
   与えて風化する。
↓ゴジラがラドンのエネルギーを得て 大復活!
   スーパーゴジラ誕生。
↓ゴジラの究極奥義 
赤い放射熱線(バーンスパイラル
   熱線)が スーパーメカゴジラに炸裂、大破!

   怪獣チームの大逆転勝利!

この一連の流れが本当に熱い!何度観ても熱いのです。
バックに流れる「ゴジラのテーマ曲」も どハマりで、
映画史に残る名シーンだと思います。

 

出色のシーンは まだまだあります。

冒頭のメインタイトルや メカゴジラの出撃、攻撃

シーンで流れるテーマ曲 が 超痺れるのです!
また、平成ゴジラシリーズのヒロイン 三枝未希が
ゴジラと直接対決
するシーンも素晴らしい。
未希はゴジラを倒すことをためらうが、ついに決断。
その目からは涙が…
ところが、復活したゴジラのエネルギーが逆流し、
未希に襲い掛かって来る! その展開がまた熱いの

です。

 

エンディングシーンも見入ってしまいます。
未希が髪を解かして テレパシーでベビーゴジラを
誘導し、帰るべき場所を教えます。

そしてゴジラは 静かに海へと帰っていく…

ここはとても美しい流れです。
その最後の決め台詞も 良いのです。
「勝負を決めたのは、結局 “命”だった」
「命ある者と 無い物の差」
「ヤツには 何としても、守らなければならない

 ものがあった…」
このように ゴジラ映画のテーマが “生命の繋がり”

として描かれた、傑出した作品なのです。

 

あと もう一つ書いておきたいことが。
この 93年版「ゴジラ VS メカゴジラ」のインパクト

を受けて、95年に「平成ガメラ」がスタート。
「エヴァ」のTVシリーズ開始も 95年。
97年には「平成ウルトラマン」がスタート。

2000年には「平成仮面ライダー」が復活。

と、次々と人気ヒーローたちが復活、登場してきて

います。
正に「ゴジラ VS メカゴジラ」は、現在にも続く

人気シリーズの火付け役となった 本当に偉大な作品

だと私は思うのです。