何故だろう、僕にとって映画の評価は、書き始めてみないと分からないものらしい。「善き人のためのソナタ」は期待してたよりは面白くなかったとは思っていたけれど、前回のエントリほどにけなすことになるとは思ってもいなかった。
口直しに「それでもぼくはやってない」のことを書こう。なにしろ、これは僕にとって期待していたよりずっと良かった映画だったのだから。
とりあえず満員電車内での痴漢行為に対する僕の意見としては、満員電車自体がセクハラだ、ということ。女性専用車両だって? 同性愛者はどうする? 少数派は切捨てだって? そういう大雑把な感性がこれまで幅を利かせていたから痴漢を含むセクシャルハラスメントが横行していたんじゃないのか。肌と肌の接触に対する、人間と人間の物理的な距離というものに対する、感性をないがしろにしたところに成り立つこの国の「個人主義」を僕はどうしても信用できない。だからニートだったわけですね・・・。ふむ。
映画は価値観の多様化が進んでいるにもかかわらず、それに即した改良がいっこうに行われない日本の社会状況を反映するかのような憂鬱なシークエンスの間に、砕け散ったガラスが放つ鋭い反射のような輝きを持つシーンを見せる。
役所孝司演ずる人権派弁護士の事務所からみえる川、元彼女との法廷での邂逅、証人を探すために駆けずり回る主人公の友人、再現ビデオを作るシーンでの微妙な感情の綾・・・。
「それでも」最後には・・・・。
とにかく圧巻です。周防正行監督、舐めてました。ごめんなさい。