SAKURA箏ソロのアレンジについての話③後編 | 小澤千絵子の視点

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こんにちはニコニコ小澤千絵子です。昨日紫織さんとインスタライブをやれた事で、少しだけ何かが吹っ切れたような感覚照れ勇気を持って何かをやると、ちょっとだけ、世界の景色変わりますよねビックリマーク今日もやります。夜9時から音譜

 

 

さて、今日は昨日お休みしていた、「SAKURA箏ソロアレンジについての話」の続きを。参考までに①と②を貼り付けておきますね。特に、②を読んでから、それを踏まえてお読みいただくと内容がわかりやすいと思います。

 

 

 


 

 

 

↑こちらの②のブログで書いた「3度」についての話は、音楽好きの友人から「興味深い内容だった」と言ってもらったりして、書いて良かったなと思いましたニコニコ今日も、その話の続きを。

 

 

私は、都節音階の和音の世界から、和声学にも出てくるような3度重ねの和音の世界へと部分的に飛び出すことによって、この部分で都節の狭苦しい感じ、窮屈な、息苦しい感じを打ち破ろうと思いました。その結果使った和音がコレ。Am7(♭5)とAm7(♭5)/E♭ です。この2つのみ。しかもこの2つはほぼ同じ和音なので、和音の種類としては1種類のみ。構成音は、ラ・ド・ミ♭・ソ、もうひとつの方は、ミ♭・ラ・ド・ミ♭・ソです。ちなみに元々の調はDの都節(Dのグンケリ)(レ・ミ♭・ソ・ラ・シ♭・レ)。色々試しているうちに、この和音がぴったりとハマりました。ゾクゾクっとする感じ。見つけた時、「よしっ!コレだ!!」・・・と思ってすごくテンションが上がった爆  笑音譜

 

 

どこの部分にその和音を使ったかというと・・・

 

 

さくらーさくらー

やよいのそらーはー

みわたすかぎーりー

かすみかくもーかー

においぞいずーるー

いざやーいざやー

みにゆーかんー

 

 

という歌詞の中の、「やよいの”そ”らーはー」の”そ”の部分でAm7(♭5)(ラ・ド・ミ♭・ソ)を使いました。そしてもうひとつは、「かすみか”く”もーかー」の”く”の部分でAm7(♭5)/E♭(ミ♭・ラ・ド・ミ♭・ソ)を。「やよいのそらーはー」も「かすみかくもーかー」も同じメロディーなので、基本は同じ和音だけれど2回目に出てくるときにはより強調した感じ。

 

 

使った音としては、「ド」以外は全て都節音階の中の音です。(Dの都節=レ・ミ♭・ソ・ラ・シ♭・レ)つまり、都節からスケールアウトしたのは「ド」のみ!あ〜、こうやってみると、なんて消極的な私あせるしかもこの「ド」という音は、Dの都節においては「上行導音」と呼ばれるもので、実際にはよく使われる音なのですね。

 

 

導音というのは、例えば、イ単調「ラシドレミファソラ」で言ったら「ソ♯」にあたるもので、メロディーだと上行系で特によく使われたり、和音だと特に属七という重要な和音を作るために使われる音です。いずれにしても、導音とは、主音(イ短調の場合はラの音)を期待させ、その名の通り、導き出すための音です。これにあたるものが五音階にもあって、Dの都節音階だと「ド」がそれにあたります。メロディーの上行系でよく出てきて、主音である「レ」を導く音となります。お箏で「さくらさくら」を弾く場合も、「オ九」もしくは「オ四」の音としてこの「ド」が使われることもあります。上行導音がなくても「さくらさくら」のメロディーは完結するのですが、使う場合には、より主音である「レ」の音を強調する形になり、安定感が増してグッとくる大人の感じになるのです。「ド」がない場合は少し単純すぎる、ふわっとした、子どもっぽい感じになります。

 

 

都節音階において、そんな役割をする「ド」の音なんですが、それを私は選んだ。「スケールアウト、してないやん・・・えー汗」と言われたら、その通りかも汗汗汗まぁね、これをスケールアウトと捉えるのかどうかは、それぞれの考えによるとは思うんですが、スケールアウトしたのかどうかはともかく、このような3度重ねの和音を都節の文脈で使うということは、かなり画期的。しかも4つの音を3度で重ねた7thの和音。これは、かなり、かなり、画期的!!!!(もちろん、こんなことくらいは、現代ではやっている人たくさんいると思いますが)

 

 

もうひとつ私が嬉しかったことは、この和音は二十五弦だからこそ出せる和音だからです。基本的に、箏は五音階に適した楽器で、二十五弦箏は七音階に適した楽器。もちろん箏で七音階の曲を演奏することも、二十五弦で五音階の曲を演奏することもできるのですが、二十五弦箏で五音階の曲をやっていると「それだったら箏でやった方が弾きやすいんじゃない?」「箏でやったほうが、もっといい表現ができるんじゃない?」「都節を、わざわざ二十五弦で演奏する意味ってどこにあるんだろう?」・・・という疑問が私の中にずっとありました。音域こそ二十五弦の方がずっと広いけれど、箏だからできる様々な五音階特有のテクニックを考えると、五音階の曲では箏の方がずっとダイナミックな表現ができる可能性があります。

 

 

そこに来て、この3度重ねの和音!!!このAm7(♭5)は、都節(ここではD一平調子)に調弦された箏では弾くことができません。ましてやAm7(♭5)/E♭の5和音であればなおさら困難です。もちろん調弦替えなどを駆使したり、アルペジオ的にやるなどの色々な工夫をすれば不可能ということはないけれど。でも少し無理があって、自然な感じにはなかなかできない。その点、二十五弦箏の場合は、この和音に限らず、3度重ねの4和音や5和音を出すことは、ごくごく自然で、簡単なことなのです。(6和音、7和音でもできます。)

 

 

この感じだ!!・・・なんだか少し、悟りを開いたような気持ちです。これから二十五弦で五音階をやっていくときには、こういう感じの表現を組み入れていくようにしよう。五音階を完全に3度の和声学的な文脈の中に入れてしまうということではなく、モダンな和音を効果的に組み入れることによって、五音階の音楽をより際立たせていくように、そんな風に使っていくことで、二十五弦で五音階をやっていく意味は十分にあるビックリマークここに、二十五弦箏だからこそできる、表現の可能性があるビックリマークビックリマークビックリマーク

 

 

このアレンジをきっかけに、そういうところにまで、行き着くことができました。やってよかったニコニコこの和音以外には、箏らしい、都節らしい和音やテクニックをふんだんに使いました。全体的には・・・本当はもっともっと、「壊したい」の気持ちもあった。でも同時に「いい感じにしたい」「気持ち良い音にしたい」「弾いていて美しいと思えるものにしたい」の思いもものすごく強くて。そんな感じで、前衛的・・・っていうところまではいっていないかも。もしかしたら、このアレンジはカデンツァとしてはすごく保守的かもしれない・・・。でもね、これは、すごく美しいソロパートになったと私は思っていますニコニコラブラブ

 

 

聴いてくださった方はどんな風に感じてくれたのかなー。でもたくさんの方から「SAKURAのソロがすごくよかった!」という声をいただきました。CDでも是非是非聴いてほしいですウインク

 

 

Golden Streamのライブ音源CD、DVDはこちらのサイトにて予約販売を行なっております。6月上旬の発送を目指して頑張っています!

https://chiekosmusic.stores.jp

 

 

SAKURAの音源の一部をSound Cloudにて視聴できます。よかったら是非聴いてみて下さいね!

https://soundcloud.com/user-544484210/sakura_goldenstream2020_demo

 

 

今日の写真はこちら。

 

 

 

 

 

9時からのインスタライブも、よかったら見てくださいね〜。

アカウントはozawa_chieko1118 です。

 

 

それではまた明日ウインク音譜

 

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youtubeより

 

「錦木に寄せて」より「藍玉」

 

二十五弦箏コンチェルト「雨と四十雀」

 

きよしこの夜

 

 

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ヌーベルミューズ「イエメンバーラムシュ」

 

 

 

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