SAKURA箏ソロのアレンジについての話②中編「都節の閉塞感を打ち壊す!3度の和音を効果的に!」 | 小澤千絵子の視点

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こんにちはニコニコ小澤千絵子です。

 

 

今日は昨日の続きでSAKURAソロのアレンジについての話です。まだ昨日のブログを読んでいない方は、こちらを是非読んでから、お読みくださいね音譜 ↓

 

 

 

 

・・・とまぁそんな感じで、私のSAKURAのソロのアレンジは始まりました。実は私、以前から作曲をやりたいという思いがあったのですが、数年前に作曲を勉強しかけてあまりの大変さに挫折した経験がありましてあせるそれ以来、作曲家の方に素敵な作品を書いてもらって演奏する方がいい!と思って作曲活動は避けていました。そんな私がこんな形でまた作曲に取り組むことに。作曲とはいっても、簡単なアレンジですけどね。自信は全然ないあせるでも、やるからにはやっぱりいいものにしたいニコニコビックリマーク

 

 

SAKURAのアレンジの話をする前に、まず前提となるこの曲についてのお話を少ししますね。この曲は、お箏の手習い曲としてできたと言われている日本の古謡「さくらさくら」をベースに井上憲司さんがヌーベルミューズのためにアレンジしたものです。「さくらさくら」は、多くの古くからある日本の歌と同じように五音階でできていて、五音階の中でも特に箏でよく用いられる音階である都節音階(=日本音階、陰音階)で作られています。インド音楽では日本とは比べ物にならないほどの多くの音階が存在するのですが、その中でこの都節音階に相当するものは「グンケリ」と言われています。で、この音階の特徴は狭い半音の音。この曲で言うと、シの音とミの音に♭がついているのですが、それをどちらもチューナーの音程よりも少し低く調弦しています。この音が、曲の中でも特徴的な音となっています。

 

 

この話は、もしかしたらちょっと難しいと感じる人もいるかもしれないけれど、続けますね!・・・で、日本の五音階は基本的に完全4度の和音と完全5度の和音がベースになっています。さらに、長2度の和音も大事な役割を果たしています。で、都節音階(=グンケリ)では、それに加えて音階の特徴的な音である狭い半音が作る、狭い短2度があります。つまり・・・、都節音階で使われる和音は基本的に、4度(完全4度のこと。以下略)、5度(完全5度のこと。以下略)、2度(短2度と長2度を一括りにします)のみ。

 

 

そうなんです。この音階の最大の特徴は・・・、3度がないこと!!!!!!(都節の構成音を考えてみると、レ、♭ミ、ソ、ラ、♭シ、レの中に、♭ミとソの長3度があるじゃないかって思った人がいるかもしれないけれど、実はこの長3度は都節の雰囲気を決定するのにほぼ意味を持たない長3度なんです。)6度は3度の裏返しなので、ここでは6度と3度がない、と言う意味で3度がない、と言う言い方をします。

 

 

何を言っているのかわからない人はゴメンナサイあせるでも続けます。それで、この3度というのは現代を生きる私たちにとって、特別に意味を持って聴こえてくる音程なんですね。基本的に和声学などで扱われている和音は全て3度を重ねてできた和音の種類を扱っています。和声の本を読むと、他の音程、4度や5度や7度などは、3度を重ねた時にできる副産物のような扱いで語られてさえいます。それほど、私たちの耳に3度が際立って重要なものに聴こえていると言うこと。ギターのコードなんかにしても、全て3度を重ねることを基本に考えられてます。3度をどのように重ねるかという話で全てのコードができている。つまり私たちが普段普通に聴いている音楽のほとんどは、3度の音楽。私たちの音楽的な感性は、3度の中で特別に色々な意味を感じることができるようになっています。(もちろんこれは3度以外の音程では意味を感じないと言う意味ではないですよ。)

 

 

その3度が都節にはないということは、そのことがものすごく大きな特徴として私たちに聴こえているはず。そして、これは、3度を基本とした七音階の音楽とは全く異なる雰囲気のものです!・・・と言うことは、この極端に異なるもの同士は、雰囲気の対比を出すのにとってもわかりやすい!影があってこそ光が際立つように。光があるからこそ影が見えるように!

 

 

さて、前提の説明が長くなりましたが、私はこのSAKURAソロのアレンジで、様々な和音を試みているうちに、少しづつですが、次第に明確なビジョンが見えてきました。「3度重ねの和音を効果的に使うことが、このアレンジの肝である!!!」憲司さんからのアドバイスで、「もっと壊しちゃっていい!」と言われていたし、私としても、壊したかった。壊すというのは、何を壊すのか?

 

 

これは、余談ですが、私は小さい頃からお箏の世界で育ったので都節をイヤと言うほど聴いてきて、その感じにすごく閉塞感を感じてきた。何かすごく枠の中に縛られている感じがする!もちろん都節は素晴らしい音階で、実は私も好きです。でも、それと同時に、この閉塞感から抜け出したい!壊したい!と言う感覚は常にあった。そして、ここのソロの部分に向き合うことは、この都節に対して私が感じている閉塞感から抜け出すチャンスなんだ、とも感じるようになりました。だから、ここで、都節の閉塞感を壊したい。この都節の雰囲気を壊すということ。つまり、スケールアウトすること。都節では使わない音をあえて使う。でも単にスケールアウトしただけでは、変な音が鳴った、気持ち悪い、で終わってしまう。心に気持ちよく刺さる、いい音楽にしないと。そこでたどり着いたのが、都節では絶対に出てこない3度重ねの和音を効果的に使うということです。それによって、民族色が強いこの音階の曲に現代の色を差し込むことができるし、それを差し込んだことによって、後半の都節の魅力が一層際立ったものになるはず。それは逆に、都節の素晴らしさを愛でることにもなるはず!!!!!

 

 

さて、またこの話も長くなってしまったので続きを明日に持ち越そうと思います。明日は、もう少しだけ和声の話、そして、ヌーベルの音楽の聴き方や、二十五弦箏の特徴などの話も交えながら、進めていけたらと思いますニコニコ

 

 

 

 

 

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それではまた明日ウインク音譜

 

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「錦木に寄せて」より「藍玉」

 

二十五弦箏コンチェルト「雨と四十雀」

 

きよしこの夜

 

 

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