80代女性
【主訴】
体重をかけると
太ももの外側が痛む
【問診】
半年前に水中歩行をしていたら痛めてしまった。
すぐに治ると思って様子を見ていたが、中々治らず整形外科を受診。
『筋力の低下』や『腰から下の筋肉の硬さのせい』…と言われる。
毎日のように電気治療やリハビリを受けたが全く効果がない。
元々腰周りの筋肉は張りが強く、あまり良い状態では無いと自覚はし
運動して少しでも改善するよう…と、プールに行き始めたのだ
今では歩くとすぐに痛くなってしまうため、外出もほとんどできてい
どうしてもの時は自転車で頑張って移動するが、それも途中で痛くな
家にいても外にいても何をしようにも、痛みが襲ってくるので辛い。
とにかく早く治して普通の生活が送れるようになりたい。
【視診・触診】
歩行時に左足だけ外側に回すようにして歩いている。(
殿部から大腿部後面、腸脛靱帯に過緊張がみられる。
筋肉の張りに左右差あり。
元々運動もしていたとのことで筋肉自体はしっかりしている。
【治療】
「太ももの横が痛いけれど、大元は腰やお尻からきている気がする…」
(治療筋)
中殿筋
小殿筋
ハムストリングス群
腸脛靱帯
腰部多裂筋
腸肋筋
【治療結果】
1.2回目
変化なし。
3回目
痛みが軽減するがまだ怖い。
4回目
改善傾向にあると感じる。
6回目
良くなってきて少し多めに歩き過ぎたら膝が痛くなってしまった。
7回目
良いかもと感じる日が増えてきた。
8回目
7割軽減。
11回目
改善。
5000歩以上歩けるようになった。
元々盛んに運動をやっていた事で筋肉貯金があったのか、
変化がみられてからの改善までがとても順調でした。
気持ちは元気なのは良いが、
また痛みが出ると治りが悪い年齢であることも正直に伝え、現在も定期的に治療を継続している。
【高齢者の歩行様式と大腿部疼痛の関係性】
皆、痛みが出てから病院を受診します。
高齢者になると画像診断をすると必ずと言っていい程、変形や狭窄が診られます。
ただ、症状が出る以前からそれは始まっているはずなので、『必ずしも現在の症状の100%それが原因では無い』と考えることが大切です。これを考えないと、治るものも治らない事が多いのです。
高齢者は徐々にお尻の筋肉が減ってきます。
本人は気が付かず、知らぬ間に歩幅は減少。骨盤の回旋力が失われます。
歩幅が減少すると、腰が固まっていきます。
腰が固まると、また歩幅が減少します。
こうして、お尻の筋肉を頑張って使いながら大腿部の筋肉で体重を支える為、トリガーポイントが形成されて疼痛が出現します。(皆、ここで病院へ行く)
なかなか高齢者世代はこういう盲点に気が付かない世代でもあります。
調べることが出来る世代の方が、東洋医学の可能性をお父さんお母さんに教えてあげて下さい。