30代男性
【主訴】
数年前に鬱病と診断され休職中
喘息・易疲労感・耳の症状
【問診】
数年前、辛い出来事があり大阪で仕事をしていたが、実家がある東京に戻ってくる。
精神科では『うつ病』と診断され、会社は休職している。とにかく身体が重い。疲れやすい。
元々もっている喘息が悪化。自律神経も乱れている感覚がある。
急に中耳炎になり、治っても繰り返す。今は『耳管開放症』という診断も受けており、不快な日々が続く。
大きなストレスの原因となった事件も解決していない。このままでは自分が自分で無くなってしまう様な気がする。
当院患者さんの親友という事もあり、紹介にてご来院されました。
【視診・触診】
神経衰弱な状態。言葉もハッキリ話せない様子。
頚部の浮腫(+++)湿疹(++)交感神経緊張の皮膚所見が診られる。
【治療】
鬱病に対しては、頚部の潜在性トリガーポイント全てを除去する為、頚部の筋に形成された様々なトリガーポイントへのアプローチを行う事とした。
他喘息症状に関しては背部菱形筋・多裂筋トリガーポイントを。耳の症状に関しては、食いしばりが多いことが疑われた為、咀嚼筋(そしゃくきん)トリガーポイントの治療を行う事とした。
【治療結果】
仕事復帰への意欲が強かった為、週二回、合計8回治療を行いました。
初回~3回目:自覚的には特に症状の変化はないが、他覚的な所見では筋肉の環境も改善していることを伝える。交感神経緊張も強く、精神的な焦りも在った為、指導を行う。
5回目の治療後から振り返ると身体のだるさや意欲が戻ってきている体感があるとのこと。頭がハッキリしてきた。
8回目の治療時にはほぼ症状は改善。大阪に戻り仕事復帰する。今後は東京で転職して新しい人生を歩む、また落ち着いたら、治療には来たい…とのご報告を親友から頂きました。
【首凝りと鬱病の関係】
鬱病は現代社会に増えている疾患の一つです。
他にもIBS(過敏性腸症候群)や慢性疲労症候群、起立性調節障害や更年期障害…疾患が増えているのか診断名が増えているのか。診断名が付く事により患者さんは謎に納得してしまう傾向がありますが、何の解決にも至りません。
『不定愁訴』という言葉があります。『症候群』という言葉もあります。
なぜ?どうして?、深堀りして考えて、分解して再構築したその先に『そもそもなぜ、この様な状態に自分自身が陥っているのか?』を本気で向き合わなければなりません。
首の環境悪化は、様々な症状を引き起こします。
下記に一般的な不定愁訴の症状1~30
不定愁訴が組み合わさった時の診断名31~54を記載します。
【症状一覧】
- 1 頭が痛い・頭が重い
- 2 首が痛い・首が凝る
- 3 肩が張る・肩が凝る
- 4 最近風邪を引きやすくなった
- 5 めまいやフラつきが出る事が多い
- 6 振り向いた時や歩いている時にフワフワ、フラフラする事がある
- 7 吐き気がある事が多い
- 8 寝つきが悪い・途中で起きてしまう・眠りが浅い
- 9 血圧が安定しない
- 10 温度差が苦手
- 11 急に汗をかいてしまう事がある・多汗症
- 12 動悸がする事がある
- 13 目がぼやけたり見えにくい事が増えた
- 14 目が開けていられない・目が疲れる
- 15 夜の車のライトなどが眩しい・目の奥が痛い・視力検査などでライトが光るものは視力が落ちている
- 16 ドライアイが長く続いている
- 17 唾液の分泌異常がある
- 18 最近微熱が続く事が多い
- 19 お腹の膨満感・胃腸の調子が悪い
- 20 全身倦怠感が朝から続く
- 21 身体がだるい・疲れやすい
- 22 やる気が出ない事が多くなった
- 23 天候に自覚症状が左右される事が多い
- 24 気分の落ち込みが出る事がある
- 25 最近集中力が続かない
- 26 ふと、急に不安感が出る事がある
- 27 イライラする事が多くなった
- 28 仕事に対する根気が無くなってきた
- 29 手足の冷え・痺れ・のぼせるなどの症状がある
- 30 胸の痛み・圧迫感などが出る事がある
【診断名(症状が増加しているに事により作られた病名)に因んだ不定愁訴症状一覧】
- 31 脚がむずむずする・動かさずにはいられない(むずむず足症候群と診断されている)
- 32 指先がチリチリ痺れる
- 33 足裏が熱い・寝ている時も熱くて布団から出したい
- 34 陰部痛・痒みがある
- 35 肛門の痛み・違和感がある
- 36 狭い所や圧迫感がある所で尿意を催す。(緊張性膀胱と診断されている)
- 37 お腹にガスが溜まりやすい。(IBSと診断されている)
- 38 下痢と便秘を繰り返す
- 39 呼吸が浅い・空気が入っていかない
- 40 呼吸により脈のリズムが変わる
- 41 からっ咳が出てしまう(咳喘息と診断されている)
- 42 舌がピリピリする。痛い。(舌痛症と診断されている)
- 43 鼻詰まり・気候によって鼻が詰まる。(慢性副鼻腔炎と診断されている)
- 44 ニキビが良く出来る・背中に湿疹が出来やすい(毛嚢炎と言われている)
- 45 手汗・足汗が出る。(手掌足蹠多汗症と診断されている)
- 46 耳なりや耳の詰まり感、閉塞感が出る。(耳管狭窄症・開放症と診断されている)
- 47 虫歯が無いのに歯が痛い
- 48 季節の変わり目や温度変化で蕁麻疹が出る(季節性蕁麻疹・寒冷蕁麻疹と診断されている)
- 49 春や秋、季節の変わり目に手先足先の皮が剥がれる(汗疱・掌蹠膿疱症と診断されている)
- 50 寝起きのたちくらみ・倦怠感や動悸・頭痛を繰り返す(起立性調節障害・ODと診断されている)
- 51 瞼(まぶた)がピクピクする(眼瞼痙攣・眼瞼ミオキミアと診断されている)
- 52 膀胱炎を繰り返す(その都度無菌性膀胱炎と診断される)
- 53 のどがイガイガする。何か詰まっている感じがする。(咽喉頭異常感と言われている)
- 54 急に手が腫れたり足が腫れたりする(CRPS・複合性局所疼痛症候群と言われている)