50代女性
【主訴】
ヒステリー球・梅核気
(喉の詰まり感・違和感)
【問診】
秋ごろから食事・飲み物などの呑み込みがどうもうまくいかなくなる。
以前からこの様な症状は時々出ていたが、出ては改善、出ては改善を繰り返していた。
今回は急に症状が現れ、食事や飲み物を飲むことが辛くなる。どんどんと体重も落ちている。
耳鼻咽喉科で診察を受けると、食道には何も異常は無く、漢方薬などを処方される。服用するたびに気分が悪くなる。
診断では『ヒステリー球・梅核気』と言われた。
食事もうまく取れない為、身体がどんどん弱っている。
寝ている時にパニック症が起こり過呼吸、息が出来ないという事が増えてきた。体操やストレッチ、ウォーキングなどを無理して行っている。
過去に中学生の息子さんが起立性調節障害にて学校に行けない頃、当院に通院して改善した経験から『お母さん、首が原因なんじゃないの?』『おざわさん行ってきなよ』と、息子さんに勧められ、ご来院されました。
【補足(ヒステリー球・梅核気とは?)】
咽喉の異常感、つまり感、梅の種が詰まっている様に、球が詰まっている様に感じる自覚症状を言います。
【視診・触診】
首や肩の筋肉に浮腫が診られる。皮脂(++)・発疹(+)。
特に『胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)』に強い浮腫が診られる。
(胸鎖乳突筋)
【治療】
皮膚の状態・筋肉の状態から、刺激に過敏と判断。美容鍼灸にも用いる『極霞鍼(ごくかすみ)』を使用。
首の表層の筋肉及び、胸鎖乳突筋を中心に治療を行う事にした。
【治療結果】
初回治療中、胸鎖乳突筋トリガーポイントに鍼先が当たると同時に『ノドの詰まっている所に響く!!』
認知覚による治療効果からか、2回目治療時には初診時の症状を10とすると、2くらいに減少。
治療毎に症状は改善。今では食事もバッチリ。治療をすると不安感も無くなるという事から継続的に治療は続けている。
【ヒステリー球・梅核気の根本原因を探る】
西洋医学では、様々な疾患名がありますが、大切なのは『なぜ、その症状が出ているのか?』と、深堀りして考える事です。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントは、ノド・鼻の症状に非常に関わります。
副鼻腔炎や鼻づまり、逆に鼻水が止まらない。アレルギー症状。ノドの乾燥・イガイガ・つまり感。
他にも不安神経症やパニック症、うつ病、過敏性腸症候群など、胸鎖乳突筋トリガーポイントというのは多くの疾患の本質の原因になっていることが臨床的に多いと感じます。
トリガーポイントは、その人の『弱いトコロ』の症状を更に悪化させる要因の一つになります。
特に胸鎖乳突筋トリガーポイントは注意深く診るべきポイントです。