東京MXテレビ「田村淳の訊きたい放題」(12月31日放送)都議会主要五会派の討論。今回のテーマ②は「臨海地下鉄構想について」です。
東京都は、東京駅から築地を経由し臨海地域を通り有明の東京ビックサイトまでの区間の都心部・臨海地域地下鉄構想の事業計画を発表いましたが、議会にはまだ報告もなく、今後も報告することはないと言っています。
私は、「東京ベイまちづくり戦略」について、そもそも臨海副都心開発は失敗しています。総括も反省もなく、新たな再開発を進めることは許されない!と発言しました。
また、都心部・臨海地域地下鉄構想には、いろんな問題がはらんでいること。特に4つのことにつて発言しました。
①今後、計画案をブラッシュアップ(秋葉原~羽田まで)する。事業者を決める。
事業者が決っていないのに、「都心部・臨海地域地下鉄構想の事業計画案」ここまでだすのか?
2040年までの実現(東京駅~有明・東京ビックサイト)までを目指すとりくみとしている。
事業者も決まっていないのに、事業計画案が出されることは、一体、この「事業計画は誰が責任を持つのか?」と思う。都の交通局もやる気がないと聞いている。
②事業計画検討会が昨年9月から4回開催されていますが、議事録が出ていません。議事概要が出ていますが、議論の内容が良くわかない状況です。今回、事業計画案が出されましたが、議会への報告もないと聞いています。議会に報告して議論すること。都民への情報提供が不十分だと考えます。
③概算事業費は約4、200億円~5、100億円。東京駅~東京ビックサイトまでの区間です。そして、費用がもっと増えるのではないかと考えます。費用が増えれば、「費用対効果は1以上」ということにはありません。
④東京駅周辺は京葉線よりももっと深いところでの工事、大江戸線との接続がある築地駅周辺も大江戸線よりも、もっと深いところを掘ることになると考えると、安全な工事ができるのか?
(大深度シールドマシン工法➡外環道は、調布市の住宅街で道路の陥没)
(リニア新幹線➡品川でシールドマシンが動かなくなりストップしている)
●慎重に行う必要がある
▲「東京駅~東京ビックサイト」の区間。東京ビックサイトまでで、どこにメリットがあるのか?
▲臨海地域の「背骨」となるのか? ➡ ならない!
●国の交通審議会できびしい「指摘」もされている・・・都は検討してまとめたと言うが
▲新型コロナ感染拡大の影響で、社会・経済に変化➡リモートワーク、電車の混雑に変化もある。
▲平成28年の交通政策審議会答申の当時と比較して大きく変化している、現状を整理して方向性を示すこと。
▲都の臨海部の都市づくりの方向性を踏まえ、鉄道ネットワークの検討が必要
➡都心部・臨海地域地下鉄構想は、世界から人、企業、投資を呼び込み、東京都日本の持続的成長をけん引する臨海部と区部中心部をつなぐ基幹的な交通基盤としての役割を担うことが期待される
●BRT(連結バス)
▲計画通りに進んでいない。受ける事業者がいなくて「契約不調」にもなったことがある。
●地元の住民の声をよく聞く必要があります。
▲交通不便地域
<資料>
〇東京都は2022年11月に「都心部・臨海地下鉄構想」の事業計画案を発表
▽区間 東京~東京ビックサイト
概算事業費 約4,200~5,100億円(東京駅~東京ビックサイト)
費用対効果 1以上 (2016年の審議会答申の資料との比較)
収支採算性 累積資金収支黒字転換年 30年以内
*費用効果や収支採算なのは、信頼できる数字なのか?
▲国土交通省交通政策審議会(2021年7月)「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」答申しています。
答申の資料によると➡ 「分析結果」(2016年4月交通政策審議会答申より)
🔷区間は 新銀座~新国際展示場
費用対効果は、0.7(1になっていない)
🔷区間 秋葉原~東京~新銀座~新国際展示場
費用対効果は、1.6~1.5
〇都心部・臨海地域地下鉄の必要性
▲区部中心部と開発が進む臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割
▲ベイエリアの鉄道網を充実させ、東京を持続可能な都市にし、日本の成長を確かなものにしていく上で重要な路線
▲「区分B」とは? ➡(東京ベイeSGまちづくり戦略:都心部・臨海地域地下鉄のこと)
2040年までの実現をめざす取り組み
〇今後について
*常磐新線(TX)延伸との接続を今後検討!
*羽田空港への接続を今後検討
・ブラッシュアップ ルート・駅位置をもとに、沿線開発等のまちづくりとの連携を図りながら、更なる 検討の深度化を行う。
・事業主体の選定 事業スキームを考えていく
🔷都心部・臨海地域地下鉄構想について
<問題点>
① 東京~東京ビックサイト ➡地下何メートルのところを掘るのか?
大深度シールドマシン(外環道・陥没事故)
リニア(品川駅)
安全な工事か?
事業費が膨らむのではないか?
② 都心部・臨海地下鉄構想は、東京ベイまちづくり戦略を進めるためのものであり、それぞれの駅周辺のまちづくりと一体で進むもの
③ そもそも「東京ベイまちづくり」には反対
<都市整備委員会での私・尾崎あや子の発言>
臨海副都心開発は、バブル期に開発地域の地価が毎年2・5%ずつ、25年余りにわたって上がり続けているという想定の下、総額10億円を超える事業としてスタートしました。
都は1986年、当初は7番目の副都心として育成していくこと、国際化、情報化という時代の要請に的確に応えて、未来型都市を創出することを目的にしていました。ところが、その後バブルが崩壊して、職、住、学、遊のバランスの取れた複合的なまちづくりが開発のコンセプトへと変わりました。さらに近年では、観光、交流のまちづくりの視点を加えて開発を進めてきています。
この変遷そのものが、当初の計画の破綻ぶりを示している!
2001年には、埋立事業会計、羽田沖埋立事業会計、臨海副都心開発事業会計の三つの会計を統合し、臨海副都心事業会計の破綻を回避しています。しかも、交通の便も悪く、臨海地域のテナントビルの入居も進みませんでした。
そこで、都は、都の関連事務所の入居で埋めるという方向で進めてきました。豊洲市場を臨海部に造り、東京五輪の競技施設や選手村も造るなどして、臨海副都心の盛り上げに必死になってきたのではないでしょうか。そして、今回は、東京ベイまちづくり戦略です。同じ失敗を繰り返してはならない!
今、都がやるべきことは、これまでの臨海副都心計画の総括をすることです。
知事は所信表明で、世界のモデルとなる未来の都市づくりなどと述べましたが、大手ディベロッパー開発事業者が利益を得るために描いたものは、東京ベイまちづくり戦略ではありませんか。
壮大な無駄遣いを生み出す夢物語など厳しく指摘をするものです。知事はさらに、未来への投資だともいいました。今、都民は、長引く新型コロナの影響で都民の暮らしは深刻になっています。
その中で、新たな巨大開発がなぜ必要なんでしょうか。住民の福祉の増進にこそ力を入れるのが都政の役割です。今、巨大開発を進めるのはやめるべきです!