東京都は、東京五輪後の新たな大開発が提案されました。臨海地域の開発計画です。
12月の第4回定例会には、2040年代の東京湾、臨海部のまちづくりのたたき台として「東京ベイeSGまちづくり戦略」が報告されました。
(表紙は)お台場から見た将来の姿・・・ドローンが荷物を運んでいる姿、空飛ぶ車が描かれ
プールが2つ、今、道路になっていることろは、道路がなくなり人が歩いている
12月10日の都議会・都市整備員会で、私・尾崎あや子は「東京ベイまちづくり戦略」(案)について質疑を行い、問題点を明らかにしました。
<移動手段の充実>
・東京国際クルーズターミナルの2バース体制が実現
東京国際クルーズターミナルについても2バース体制とあります。担当は港湾局なので質問できませんが、1バースはすでに完成しており、総事業費は390億円にもなっています。
しかも、国際クルーズは2020年に5回、2021年はコロナの影響もありますが11月までで2回しかきていません。2バース体制にする必要はないと厳しく指摘しておきます。
2バース体制にするということは2017年に「東京港湾計画」に盛り込まれました。この時も、日本共産党都議団は、東京国際クルーズターミナルそのものに反対し、2バースの必要もないと反対をしています。しかも、計画を決めるときには新型コロナの感染はありませんでした。
今後、どうなるのか、改めて計画そのものの見直しが求められています。
・第二東京湾岸道路
第二湾岸道路については、1994年(平成6年)国土交通省の「広域道路計画」に盛り込まれたものだと聞いています。
そして、その後、第二湾岸道路については、何ひとつ具体的になっていません。そんな、道路を都は、今回の東京ベイまちづくり戦略に描いているということです。
東京ベイまちづくり戦略には、「空飛ぶ車」の絵も描かれています。環境問題からみても今とは、車の量も大きく変わるはずだと思いますので、第二東京湾岸道路の建設は見直すべきだと、厳しく指摘しておきます。
<デジタルと先端技術をまちの隅々まで実装>
・水素をまちのエネルギーとして先導的に導入
生成時にCO2をだす褐炭水素は使用しないとのことでした。
環境局が11月に発表した「環境先進都市・東京に向けて」では、「東京2020大会後の選手村においては・・・・純水素型燃料電池により発電した電力を住宅の共用部に活用する」とうたっています。「純水素型燃料電池」は従来のエネファームと違い、ガスを使用しないでCO2が発生しないのが利点とされます。
この「純水素型燃料電池」を使用し、これに供給する水素は褐炭水素ではないので、カーボンフリーで発電できるのか!と一瞬思います。しかし、「純水素型燃料電池」に供給する水素は結局、都の補助も活用して設置される予定の水素ステーションで、天然ガスを改質して生成した水素を使うとのことです。
結局、カーボンフリーになりません。
再生可能エネルギーからつくられる「グリーン水素」が普及するようになるまでには、相当の時間がかかることは、都も承知しているはずです。2030年までにあと9年で都内の温室効果ガスを半減させるという都の目標の緊急性に照らして、力の入れどころがズレているのではありませんか。
水素のまちづくりは、見直すべきだと厳しく指摘するものです。
<ベイエリアビジョンの検討時の官民連携チームの提案を参考にしている
東京ベイまちづくり戦略>
・官民連携チーム
「官民連携チーム」は、3つのワーキンググループに分かれていました。①魅力あるまちづくりワーキンググループ ②活力と躍動感のあるまちワーキンググループ ③最先端技術のまちワーキンググループです。三井不動産株式会社、三菱地所株式会社、住友不動産株式会社、森ビル株式会社などの企業からの参加で「ベイエリアビジョン」のたたき台について意見交換したということでした。都の若い職員も含め「自由闊達な意見を行った」と、当時説明がありました。
「官民連携チーム」の提案は、大手デベロッパーの思いが詰まったものだと言わなければなりません。その提案が、「東京ベイまちづくり」の参考になっているということです。
官民連携チームの4つ目の提案には「MICE、IR、トランジェットツーリズム」があります。
「官民連携チーム」の提案を参考するということですから、カジノの構想はなくなっては、いないということだということです。
カジノは人のお金を巻き上げ、ギャンブル依存症を増やし、治安を悪くし犯罪を増やし、貧困と格差を広げるカジノはやめるべきです。
日本のギャンブル依存症の方は、今でも、全国で約320万人ともいわれています。カジノは賭博であり法律では禁止されていますが、国のIR整備法のもとで例外とされました。もし、カジノが設置されればギャンブル依存症はますます増加するのは、はっきりしています。都民の税金を投入してカジノをつくり、ギャンブル依存症の患者を増やすことは、自治体としてやってはならないことです。
しかも、カジノは世界的にみると飽和状態だと言われ、新型コロナの影響で世界最大のカジノ事業者でさえ破綻しています。カジノはやるべきではないと厳しく指摘しました。
*更地になっている築地市場跡地を「陸の玄関口」にする計画
あぜ上都議、原田都議と一緒に調査活動
<築地まちづくり構想と一体の開発>
築地地区都有地開発事業と東京ベイまちづくり戦略は一体だということです。都議会・代表質問で日本共産党都議団は「築地を陸の玄関口とする」ものと指摘しましたが、その通りだということです。
<東京ベイまちづくり戦略のたたき台について11人の有識者の意見>
社会的な実績や実績等を考慮して選定したとのことですが、11人の中には、やはり、市川宏雄(ひろお)氏、岸井隆幸(たかゆき)氏など森記念財団と深くかかわっている学者の名前もあります。
大手デベロッパーの意見がかなり反映された「まちづくり戦略」になっていると思われます。
<これまでの臨海副都心開発は失敗、都は反省すべき>
臨海副都心開発は、バブル期に開発地域の地価が毎年2.5%ずつ25年あまりにわたって上がり続けるという想定のもと、総額10兆円を超える事業としてスタートしました。
都は1986年、当初は7番目の副都心として育成していくこと、国際化、情報化という時代の要請に的確に応えて未来型都市を創出することを目的にしていました。ところが、その後、バブルが崩壊して、職、住、学、遊のバランスのとれた複合的なまちづくりが開発のコンセプトへと変わりました。さらに、近年では、観光交流のまちづくりの視点を加えて開発をすすめてきています。この変せんそのものが、当初の計画の破綻ぶりを示しているのではありませんか。
2001年には、埋立事業会計、羽田沖埋立事業会計、臨海副都心開発事業会計の3つの会計を統合し、臨海副都心事業会計の破綻を回避しています。
しかも、臨海地域のテナントビルの入居も進まず、都の関連事務所の入居で埋めるという方向ですすめてきました。豊洲市場を臨海部につくり、東京五輪の競技施設や選手村をつくるなどして臨海副都心の盛り上げを、必死に行ってきたのではありませんか。
そして、今回は「東京ベイまちづくり戦略」です。同じ失敗を繰り返してはなりません。今、都がやるべきことは、これまでの臨海副都心計画の総括することだと、厳しく指摘しておきます。
知事は、都議会開会日の所信表明で「世界のモデルとなる未来の都市づくり」などと述べましたが、大手デベロッパー、開発事業者が利益を得るために描いたものが「東京ベイまちづくり戦略」ではありませんか。
先日の代表質問でも厳しく指摘しましたが、あらためて、壮大な無駄遣いを生み出す夢物語だと厳しく指摘するものです。