12月6日、第4回定例都議会・代表質問が行われました。豊洲新市場への移転を推進している小池知事に市場業者は移転に合意も納得もしていないことを示し「もう一度、立ち止まるべきだ」と迫りました。
〈市場問題について〉
知事は都政に専念して改革を進める言いますが、都政における知事の公約違反や重大な問題点の是正に、真しに取り組むかどうかが、きびしく問われています。
最大の問題のひとつが、市場移転問題です。
知事と都民ファーストの会は都議選で、「都民の食の安全と安心を守ります」と公約しました。しかし都議選後、この公約はどこへ行ったのかと思わせる行動ばかりが目につきます。土壌も地下水も汚染が残り、解決の見通しのない豊洲新市場への移転を強引におし進め、新たな矛盾に直面しています。
第一に、市場業者の納得も合意も得られていないことです。
Q1 知事は所信表明で、移転時期は来年10月中旬と決定したなどと言いましたが、開場日を決める新市場建設協議会は、中止に追い込まれています。
仲卸業者でつくる築地女将さん会は、東京魚市場卸協同組合(東卸)に対し、市場移転の是非について組合員全員の投票を求める署名を集めています。11月7日にスタートし、全組合員538業者のうち過半数の273人からすでに賛同署名が寄せられています。
築地市場をオリンピックの駐車場にするのは反対、豊洲市場への移転反対、会議の形だけ整えて不安の声を無視するなんて許せないなど、怒りの声があがっています。飲食店や物販、トラック業者など関連事業者の中でも、豊洲新市場への移転はやめるべきだとの声が広がっています。
このように、市場業者の納得と合意が得られていないことを、知事はどう考えているのですか。市場業者の納得と合意なしに移転を強引に進めることは許されないと思いますが、知事いかがですか。
第二に、追加対策工事の入札不調が相次いでいることです。
Q2 豊洲新市場の追加対策工事は9つの契約案件がありますが、7件は決まらず入札を終えたのはわずか2件です。都は、再入札にあたり、ゼネコンなどにヒアリングを行い、要望を受けて予定価格を1回目と比べ4割も大幅に上乗せした上で、予定価格の事前公表に踏み切りました。
知事は昨年8月、移転延期を表明した際、当初の計画よりも1・6倍になった建設費用、巨額で不透明な事業予算を理由のひとつに上げました。しかし小池知事も今回、追加対策工事の予定価格を1・4倍にも吊り上げました。石原知事以来3代の知事と同じではありませんか。知事の答弁を求めます。
そもそも、追加対策工事をしても、食の安全・安心を確保できる見通しはありません。 地下空間にコンクリートを敷いて換気する追加対策は、地下から汚染物質が上がってくることを前提にしたもので、まさに絆創膏をはるようなものです。
地下水管理システムの追加対策も、期待できません。
汚染された地下水で地表に敷いた盛り土が汚染されないよう、地下水をポンプで汲み上げて水位を海抜1・8メートル以下に常時抑えるというのが、市場業者との約束であり、豊洲新市場への移転の大前提だったはずです。
ところが、その約束はまったく果たされておらず、10月の台風のあとはなんと海抜5メートル以上にまであがったところが、2ヶ所もありました。すでに地下水で盛り土が汚染されている可能性は濃厚で、地下水管理の約束は完全に破たんしています。
しかも、地下水の水位が下がらない原因が解明されていないのですから、追加対策をしても、目標通りに水位が下がる保証はありません。
Q3 知事は、追加対策工事終了後、その効果があるかどうかの検証を行うとしていますが、わずか1カ月程度、しかも、豊洲移転にお墨付きを与えてきた、わずか3人の専門家会議による検証で、安全・安心だと言われても、とうてい信用できません。知事、そう思いませんか。
地下空間対策についても、地下水管理システムについても、少なくとも数カ月から1年程度、もっと多くの科学者・専門家も入れて確認・検証を行うことが必要です。知事いかがですか。
「築地は守る」という知事の約束も次々後退しています。
今回の所信表明では、「築地ブランド」という言葉さえなくなり、驚いたことに「豊洲ブランドを確立したい」と言い始めました。
Q4 都議選が始まる直前の6月20日、市場移転の基本方針を発表した記者会見で知事は、築地市場は、新たな市場として東京をけん引する一大拠点にする、市場としての機能を確保すると明言し、「市場内取引を確保・発展」させると明記した資料を示しました。知事は、これらの発言や資料を覚えていますか。有言実行を求めるものですが、知事お答え下さい。
Q5 6月20日の会見で知事は、築地再開発の具体案について、事業者や都民とのオープンな場を設けて検討すると発言しました。ところが、設置された築地再開発検討会議のメンバーに市場業者は入っていません。これについても政治家としての発言に責任をもち、市場業者も入ったオープンな場での検討が必要です。知事いかがですか。
Q6 築地ブランドは、水産仲卸の目利きなどの力により、80年を超える歴史、蓄積で出来上がったものです。築地女将さん会は、「2020年の東京五輪で築地の和食でもてなしたい」と訴えています。
食の安全・安心の公約を投げ捨て、築地市場、築地ブランドをこわすような、石原知事以来3代の知事と同じ愚を繰り返すのですか。今ならまだ間に合います。今一度、立ち止まるべきです。知事の答弁を求めます。