8月30日、第2回臨時議会・本会議での日本共産党都議団・曽根都議の質問④ | 尾崎あや子オフィシャルブログ「東へ!西へ!尾崎あや子の活動報告」Powered by Ameba

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【築地市場について】

次に、築地市場について伺います。

 知事は、6月20日の基本方針の記者会見で、「築地は守る」「築地ブランドを守る」と明言されました。この日の会見で知事は、「築地市場の状況をもう一度改めて見直してみますと、築地市場の価値、そして高いブランド力というのは、これは東京都の莫大な資産であると考えられます」と述べました。そして、「築地の後は築地」ということも言えるかと思います、築地市場は長年培ったブランド力、そして地域との調和を活かして改めて活用することが、この大切な宝を活かす方法ではないかと考えますとまで発言をされました。知事のこの発言は、大変重要なものです。

 しかし一昨日の知事発言では、「築地は守る」という明確な立場は表明されず、もっぱら民間主導の再開発が強調されました。以下、築地市場、築地ブランドをどう守るのかについて質問しますが、とりわけ市場業者のみなさんの死活にかかわる問題です。具体的に、ていねいにお答え下さい。

Q1 基本方針の記者会見で、小池知事は、「築地を売却せずに市場としての機能を確保するための方策を見出していきたい」と述べています。知事が築地で確保するという「市場としての機能」とは、どういうものですか。

 

Q2 知事が言う「築地ブランド」とは、どういうものですか。

 

Q3 知事は、築地ブランドの核である仲卸を中心にした食材の目利きの技を、セリや市場内取引を確保・発展させることによって築地のブランド力を守りたいと述べています。知事はこれを、どのように具体化するのですか。

 

Q4 知事は築地ブランドを守ると言いますが、一方で、中央卸売市場は豊洲に移し、卸も仲卸も移転させるとしています。

 仲卸の多くが築地に戻りたいと希望しても、卸がいなければ、セリや相対などの市場内取引は成り立たないし、法的にもありえません。実際、全国どの卸売市場でも、卸と仲卸が別々の場所に分離された市場は存在しません。知事、セリや目利きを形だけ残そうとしても、それらは市場としての機能には、なり得ないのではありませんか。

 

Q5 知事が築地を守るというなら、現に今、築地市場でがんばっている市場業者、とりわけ中小零細が圧倒的に多い仲卸業者の、市場業者としての経営を守ることこそ必要です。

 交通が便利な築地だからこそ何とか取引が続いている買い出し業者が、買い出しに不便な豊洲まで行けず別の店に切り替えるか、廃業してしまうのではないかという問題も、業者のみなさんの不安を広げている理由のひとつです。現に、当初昨年11月とされた豊洲開場予定が決まってから、上野や銀座の老舗のすし屋や割烹が店じまいをしています。買い出しの得意先の多くを失えば、仲卸も続けられなくなるという現実的な問題があることを、知事は認識していますか。

 

Q6 築地の仲卸業者の多くは、「いったん豊洲に移転したら多くの業者が、戻る前に廃業に追い込まれかねない」と心配し、「一度、豊洲へ行けば、戻ってくる業者はいないだろう。戻るには体力が持たない」と訴えています。知事は、市場業者のこうした声を、どう受け止めていますか。

 

Q7 卸売市場を開設するのは東京都ですが、市場を運営しているのは市場業者のみなさんです。だから市場法でも、認可にあたって市場業者の合意形成が、とりわけ重視されているのです。知事の基本方針について、築地市場の業者の合意がえられていると知事は考えているのですか。

 

Q8 先日、仲卸でつくる東京魚市場卸協同組合「東卸」の理事会に、小池知事の基本方針に全面協力すべきとの議案が出されましたが、21対6という大差で否決されました。豊洲移転に賛成の人も、この議案には反対しました。基本方針に対する業者の合意がえられていないことは明白だと思いますが、知事はどう受け止めていますか。

 

Q9 築地女将さん会は、知事あての公開質問で、「知事の基本方針にあるように、仮に一時的であれ、築地市場を移転する場合、関係者の合意形成が何よりも重要だ」と述べています。そして、女将さん会が取り組んだ署名活動で、全仲卸事業所の7割以上が移転中止の立場を表明しているように、「移転計画の中止を求める声は圧倒的です」として、「基本方針を実現するのは非常に難しいのではないか」と述べ、「仮に、合意が得られなかった場合、どのようになさるのか」と問いかけています。この、市場業者の方々の声に、知事はどう答えるのですか。

 

Q10 知事は7月7日に農水大臣と会い、豊洲新市場の開場に向けて協力要請をしました。どのような要請を行い、どういう回答だったのですか。

 

Q11 知事は基本方針を発表した6月20日、築地市場の現在地でのリニューアルについて、業者の合意が難しいと述べています。しかし、6月13日、知事に提出された市場問題プロジェクトチームの報告書では、現在地での再整備は可能だとして選択肢のひとつとされています。にもかかわらず、知事が「難しい」と判断した根拠をお示し下さい。

 

Q12 築地市場の現在地再整備は可能だとする建築専門家の提案が、次々と出されています。横浜の赤レンガ倉庫などのリノベーションを手がけた経験のある、東京電機大学名誉教授の今川憲英氏は、2010年ごろから築地市場の現在地再整備を研究しており、古くなった建物を解体せずに、手を加えて再生・延命させることは可能だとして、建築専門雑誌に具体的な提案を発表しています。知事は、築地の現在地での改修や建替えが、技術的には十分可能だという認識をお持ちですか。

 

Q13 築地を守る、築地ブランドを守るためには、築地市場を現在地で再整備することが、最も現実的な道です。多くの専門家や市場業者のみなさんと知恵を出し合い、後世に悔いを残さぬよう、その可能性を探ることを改めて提案しますが、知事いかがですか。

 築地市場の建物の歴史的・文化的な価値や市場としての理想的な設計思想を継承すべきとの声が、あがっています。

 

Q14 20世紀の価値ある建築・環境遺産の保全を目的とする国際的なNGOであるドコモモ日本支部から、築地市場の建物の保存を求める提言が、7月2日、知事あてに提出されています。知事はご覧になったでしょうか。

その中では、築地の建物が、82年前の竣工時、世界でも最大級の市場として設計や建物配置が工夫されていた点、戦前期の日本の最大規模の鉄骨造建築としての技術的価値とともに、湾曲した構造などの空間構成の美しさ、ユニークな水辺景観などの点でその価値を評価して、都として後世に継承するよう求めています。

 ドコモモのメンバーである、建築家の兼松紘一郎氏は、「80年以上前に、これだけの巨大市場を作った建築家集団の力は傑出していた。それを壊してしまうのは、建築家の思いも、築地市場で働く人たちや、買い出しの人たちの思いも踏みにじる行為です」と語っています。

 こうした提言や意見を、知事はどう受け止めていますか。建物の機能的な、また歴史的な価値の保全という点でも築地ブランドを生かすことは大きな意味があると思いますが、知事いかがですか。

 

Q15 知事は、民間主導で築地の再開発をすると言いますが、知事が言う民間主導の再開発とは、どのようなものですか。具体的にお答え下さい。

また、市場運営のノウハウがない民間主導の再開発で、市場としての機能が確保できると思っているのですか。知事の明確な答弁を求めます。

 

Q16 オリンピックに間に合わせるために豊洲移転を急ぐというやり方は、許されません。

そもそも築地市場をオリンピックの駐車場にすることが東京都の方針とされたのは、6月20日の知事の基本方針がはじめてです。それがあたかも規定の方針であったかのように言うのは間違いです。あくまで「選択肢の一つ」にすぎませんでした。築地が使えなかったらほかを探す、というのが当然のことです。ところが、オリンピックの駐車場を確保するために築地市場を更地にするというのは、知事、あまりにも強引なやり方ではありませんか。

 

Q17 知事は、築地市場の移転を急ぐことで、環状2号線の完成をオリンピックに間に合わせるとしています。これもおかしな話です。環2が間に合わなければ、オリンピックの輸送計画を見直せばよいのです。国土交通省も、環状2号線は、オリンピックのためだけの道路ではない。築地市場があるかぎり工事はできない、と説明しています。環2の完成をオリンピックに間に合わせるために築地市場を移転させるなどあってはならないことです。知事、そう思いませんか。

 

Q18 もともとオリンピックと、市場をどうするかは別問題であり、切り離して考えるべきものです。ところが一昨日の知事発言では、市場移転問題の「3つの取り組み」の2番目に、「オリンピック・パラリンピックに向けた準備」を位置づけて、環状2号線や駐車場の整備を着実に行うと表明しました。まるでオリンピックを口実にして、築地市場を早く移転させようと言わんばかりではありませんか。オリンピックと市場移転問題は切り離して考えるべきですが、知事の見解を伺います。

 以上、知事の築地市場移転問題についての基本方針と、今回の補正予算案について質してきましたが、これをわずかな期間の臨時議会で、多数で押し通すようなことがあれば、石原都政以来の都議会のやり方と変わる所はなく、都議選は何だったのかが、きびしく問われます。小池知事への、市場業者だけでなく、都民全体の信頼も大きく損なわれるでしょう。それは、今回の提案の内容もやり方も、知事が掲げてきた都民への約束と相容れないものであるからにほかなりません。

 知事は、いったん提案した補正予算案であっても撤回して、都議会はもちろん、当事者である築地関係者や、食の安全・安心を願う都民の声を十分に聞き、それらを踏まえた合意点を探るための努力を惜しまぬことを強く求め、再質問を留保して質問を終わります。