人生のベスト50 =小説編5=
特に「乳房」は、涙なくして読めない秀作です。はじめて読んだ伊集院作品が、この「乳房」だったので、これで大好きになりました。これは短編集で、どれもこれも心優しい作品ばかりでした。こういう世界観が、基本的に好きなのです。
で、その後も折に触れ、伊集院作品は読むのですが、エッセイなどはギャンブルネタや、酒の失敗談などが多く、なんか感情移入できません。もっともエッセイ系が苦手なのは、作家が伊集院静だからではなく、司馬遼太郎のエッセイなども、途中で挫折していますから、そもそも僕はエッセイ的な読み物が、根本的にダメだということなのでしょうね。
それはともかく、伊集院静の「乳房」は、ベスト50に入ります。「羊の目」については、ノミネート作品ではありますが、ベスト50入りするかどうかは、現状ではなんともいえませんね。
閑話休題
もっとも、上下2巻の大作で、僕はまだ上巻の半分ぐらいまでしか読んでいないので、実は何かカラクリがあって、決してバケモノではないかもしれませんが。
続きが楽しみです。
人生のベスト50 =小説編4=
人生50年のベスト50=小説編= ノミネート作品「新宿鮫」。
いわずと知れた大沢在昌の人気シリーズです。いつ頃だったか忘れましたが、真田広之主演で映画化されたことがあります。テレビ放映の際にたまたま見たのですが、すごくカッコ良かった。真田広之演じる「鮫島」が。当時、原作の小説は読んでいなかったのですが、この映画がきっかけで、小説に興味を持ち、原作を読むようになりました。映画は映画ですごく良かったのだけれど、原作はもっと良かった。以来、新宿鮫のファンになり、全作を読みました。
真田広之は、鮫島の内面をとってもよく表現できているように思ったのですが、いかんせん、身長に問題がありましたね。原作の中で、鮫島は190cm近い身長がある長身の設定なのですが、真田広之はそれほどの身長はないわけです。もし真田広之の身長が180cmを超えていたら、完璧なキャスティングだと思いました。
実は、新宿鮫シリーズは、NHKが何作かドラマ化しています。その時の鮫島役は、舘ひろしでした。背格好だけでいえば、舘は長身だし、雰囲気あるんですけど、ちょっとカッコ良すぎで、いま一歩という感じでした。
さて、映像作品はともかく、新宿鮫シリーズはキャラが立っていて、とても面白いです。
主人公の鮫島は、エリートでありながらも、警察官僚組織の闇の部分に関わってしまい、上層部ににらまれてエリートコースからは外されたものの、警察組織の中で一匹狼的に生き続ける、そして、いずれはその闇の部分の真相を白日のもとにさらそうと。。。。というような背景を第1作目から持ちつつ、10作近いシリーズが続く中、その背景の部分は一向に明らかにならなず、一話完結的に事件を解決し続けるわけです。
まあ、大沢在昌のハードボイルドでは、過去の傷を引きずりながらも、正義のためにがんばっちゃう主人公って、わりと多いのですが、通常は、ひとつの作品の中で、あるいは連作であっても、比較的早い段階で、どんな傷を負っているのかが明らかになるのですが、新宿鮫に関しては、さっぱりわからない。それが、このシリーズのひとつの魅力でもあるわけですが。
新宿鮫を読んでからというもの、大沢作品がとても好きになり、結構いっぱい読んでいます。どの作品もそれなりに面白く、どの作品においてもキャラが立っていて、イイのですが、とりわけ、新宿鮫シリーズの鮫島は素敵です。個人的には、第1作と、最終作(たぶん、シリーズ最終作で、“闇”の真相が明らかになると思っている)は、ベスト50入りするのではないかと思っています。