ピアノ・・・基礎練習の落とし穴 | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
皆様と音楽やピアノについて、交流ができれば幸いです。ピアノについてのご質問等も是非お寄せ下さい。
oyuki42koba☆yahoo.co.jp ☆を@にかえて下さい。

あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年も宜しくお願い申し上げます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10日にイベントを開催致します。

「フォルテピアノ、プレイエル、ショパンの世界」

生徒さん達にも、フォルテピアノ、プレイエルを弾かせて頂ける・・・
貴重な楽器を、ご好意に本当に感謝です!

ショパンの愛したプレイエル、
是非ともショパンの世界に思いを寄せて欲しいと思います。

当日は大変詳しい方にレクチャーをお願いし、全員楽しみにしております。

当日、私、演奏致しますが、現代ピアノと違うので、戸惑う事が多いです。
まずペダル、細かく踏み換える事はできません。
早急にコツを飲み込む必要があり、大晦日に特訓してました。


平行弦の金属フレ-ムでない、はかないけれど優しい音。
弾いていると幸せで、ショパンの美しさに涙が出てきます。

楽譜を確認しつつ、この楽器を少しの時間弾くと、誰もが驚きます。
ショパンが書いたペダル、フレーズ、各種の指示、
現代ピアノでは想像できない美しさです。


この楽器を出会えた事は、私の人生の中でも最も貴重な体験でした。

当日、練習曲作品25-11 木枯らしを弾く予定です。
そこに描かれた世界の何と美しい事!

ショパンはやはり、特別です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昔、ショパンコンク-ルで優勝したばかりの、若きポリ-ニのショパンエチュ-ド

多くの音大生を絶望の底に突き落とした名演でした。

好感が持てない、けど凄い!と怖くなった演奏。

ふとその事を想い出しました。




ショパン自身、ピアノ奏法を習っていないと言われます。

最初の師、ヴォイチェフ・ジヴニーはどちらかと言えばヴァイオリンが専門でした。

当時ほとんど知られていなかったバッハを取り入れた指導だった様です。

ショパンは自分でピアノ奏法を身につけたのです。




ショパンを弾くとき、手首を開放し、鍵盤を慈しみ触れる様にして弾きます。

打鍵の速度はゆっくりと、指はシルクに触れる様に・・・

プレイエルがその弾き方を教えてくれます。

手にも負担がなく、優しい柔軟な奏法です。



私が子供時代から習った練習法

ハノンやツェルニ-をしっかり速く正確に弾く!

それが基礎練習で、ハノンやツェルニ-は必須でした。

そこで習い練習した弾き方と、ショパンの弾き方は全く違います



ショパンだけではありません。例えば、ベ-ト-ヴェン
「傑作の森」と言われる時代前まで使用していたヴァルタ-

これで初期のソナタを弾けば解りますが、大変軽やかな鍵盤で、大きな音で弾く音楽ではありません。




ところが現代のピアノの鍵盤は重い

速く正確にしっかりと音を出して・・・となってしまいます。

その鍛えた指から出る音は、音楽の本質とは全く違ってしまいます。


ハノンやツェルニ-をメトロノームのテンポをあげて弾く

重い鍵盤を軽やかに弾ける様な、しっかりした筋肉を作る訓練。

そういう訓練ではショパンは弾けません。



実際ハノンやツェルニ-で散々泣かされたアルペジオや3度、

それより遙かに弾きにくいはずであるものも、ショパンの奏法だと楽に弾けます。


練習曲作品10-1、その奏法なら練習は要しますが、必ず弾けます。

エオリアンハ-プより、木枯らしは弾き易い!事も納得できます。



作品25-6の3度のエチュ-ド、

美しさに幸せになりながら、弾けるイメ-ジを持てる作品です。

とんでもなく難しい曲・・・ではなく、幸せな気持ちで練習すれば弾けるのです。

奏法は、この楽器が、そしてショパンの書き遺した楽譜が教えてくれたのです。



時のポリ-ニのショパンエチュ-ド

重い鍵盤を速く正確に弾く弾き方で、その弾き方では本来絶対弾けないものを、強靱な手で弾ききってしまった演奏に聴こえます。


「何であんなに弾けるのよ!」友人がもらした言葉に同感でした。

その弾き方では、私達には弾けないのです。




もちろん、ピアノを弾くしっかりした手をつくらないと、ある種の曲は弾けません。

例えばブラームスの初期ソナタ

それを弾くには、あの地獄の様なブラームスの練習曲が必要です。

不自然で負荷が大きく、手を壊す危険が大きいです。



試験場のピアノが重いと困る!と、自宅のピアノ鍵盤を重めに調律する方がいます。

今もフィンガーウェイト、なる器具もあります。




が必要以上に重い鍵盤を軽やかに弾こうとする訓練、脳に矛盾をもたらします。

不必要に過酷な重い練習は、その人の感性を壊してしまいます。

なぜなら不必要な力で強く押し、不必要に大きな音を出す

それでは慈しむ様な音は出せないはずです。

その矛盾が、音に対する無関心を作る、それが一番怖いのです。




こんな事は昔の話だと思っておりました。

が、今も音大卒の方に、重い鍵盤と格闘する弾き方をする方がまだまだ大変多いです。

弾いている本人も辛そうで、聴く方も音量に耳を覆い・・・

そしてそういう方が指導者となれば同じ事を教えます。


基礎練習と称し、音楽とかけ離れた反復を強要する。

次の代の方も、価値観が形成される子供時代に、それが良いと教えられてしまいます。




そしてショパンが弾きたいのに全然弾けない!

練習が辛い!

真面目に練習してきたのに、そう言うって駆け込んで来る方がいらっしゃるのです。

弾けないのは努力が足りないのだと、自分を責める方もいらっしゃいます




不幸な気持ちでピアノを弾いてはいけません。

もし、音楽を見失ってピアノが辛いなら、先生に声をあげて下さい。

努力不足でなく、何かが間違ってます。

先生が声に耳を傾けず努力不足をせめるなら、聞いてくれる先生を探しましょう。


ピアノを弾くと幸せな気持ちになるはずです。

冗談ではなく、本当に、
音楽は愛ですから。