ピアノ・・・ショパンの愛したプレイエル | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
皆様と音楽やピアノについて、交流ができれば幸いです。ピアノについてのご質問等も是非お寄せ下さい。
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1848年製作、フォルテピアノ「プレイエル」です。

個人様のお宅で、引いて写真が撮れなくてすみません。

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 鍵盤の幅はほんの少し狭いです。鍵盤も大変軽く浅いです。
優しくタッチしないと、カツンと音がすぐ詰まります。
小さな手の人でも弾きやす く、手に優しい楽器です。


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現代ピアノとの大きな違い、平行弦、長いです。

真鍮のフレームは周りの木部と一体化していません。
弦の張力が弱く、あまり強く張れません。

この構造が奏でる音の世界はシンプルですが、直接語りかけてくれる様な感覚です。



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わかりにくいですが、譜面代の両側には、燭台置き場。アンティークです。
ゆれるろうそくの中の世界

両サイドも何とも素敵です。


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最大引いてもこれが限度でした。平行弦なので長いのです。

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ショパンの存命中に製造された楽器です。
プレイエルと交流があったショパンは、しばしば新しい楽器を試弾していたそうです。

ショパンがこの楽器に直接触れた可能性は意外に高いのです。

・・・・折角ですから、そう思う事に致しましょうね。



本来、うちの様な小さな教室の生徒さんが、手に触れられる楽器ではありません。
所有者様も管理には相当に気を遣われているはずです。

ご好意に心から御礼申し上げます。



とはいえ試弾出来る時間は、1人10分程度、

特に子供達はまだ、ショパンについての知識もほとんどなく、弾ける曲もごく一部です。

連休の中日に参加費を払ってくる価値があるかどうか?

ときかれれば、「わかりません」としか言えません。ごめんなさい。

けれど、こういう機会は切望してもまずありません。

出来る時に体験して下さいとしか、言えないのです。



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基礎練習について、何度か記事を書いてきました。

手をお椀の形にして指を高く上げしっかり動かす。
ハノンやツェルニー等をしっかり正確に練習する。

これにより、ピアノを弾く神経回路、筋肉、ピアノを弾く手がつくられます。


当然、その弾き方で、特にこのプレイエルは弾けません。

浅い鍵盤は強く速いタッチを拒否し、音がカツンと詰まります。

この楽器は優しく撫でる様に弾かないと、美しい音が出ないのです。

ショパンの世界、息づかい、身体感覚を想像する事ができます。





困った事に、指先というのはなかなか思う様に動いてくれません。

又、美しい音を求めようとすると、指先の鋭敏な感覚は必要です




つまり、音楽を表現する為の手をつくるには、非音楽的な基礎練習が実は必要なのです。
 
 

何度も書いてきましたが、ピアノは大変非音楽的な楽器です。

例えば歌う・・・

ショパンのノクターンは、打楽器で歌わなくてはなりません。

ショパンのメロディはベル・カント唱法の影響が大きく、伸びやかで繊細な息づかいが要求されます。

でも一度押した鍵盤の音は、現実は減衰する一方です。

それを膨らませたり、持続させたりする必要があります。



ショパンはどう歌って欲しかったのか?

指づかい、各種の指示に沢山のヒントがあります。

これらを読み解くのは、手をつくる練習でなく、音楽を知り習得する作業です。

が、ピアノを弾く手を持ち、弾き方を知らないと、それを読み取る事が出来ません。


歌う様に弾く為には、下積みが沢山必要なのです。




例えばリズム・・・

下で拍をとる下拍、例えばワルツの1拍目・・・・鍵盤を押す

上でとる上拍、ワルツの3拍目・・・・やはり鍵盤を押す


実際の音楽の呼吸と、ピアノを弾く動作が一致していない事が多いのです。

リズムや拍子をきちんと理解する事は、音楽を理解する事です。

そして楽器の矛盾を感じさせない様に、例えば3拍目をふわり、ときこえる様に鍵盤を押すには、技術が必要です。

どんなに音符が多くても、それはきちんと弾かれねばなりません。

工夫と訓練が必要になります。



例えば演奏者の感覚・・・

直接息を使って歌う、吹く
自分が擦る、叩く

ピアノだけは、奏者が鍵盤を常に、「押す」

すると現代ピアノは複数のアクション部を経ます。
身体から遠い場所でハンマーと弦から音がでます。


上から鍵盤を押す動作は変換され、ハンマーが弦を下から叩きます。
演奏者の動作は、実は音楽と真逆です。


宙を漂う様な、繊細なショパンの世界の表現が難しい、
最大の原因です。




そして最大のストレス、ピアノは音符の数があまりに多く、演奏中、常に情報処理に追われます。

最も気持ちよく弾けない楽器かもしれません。

どれだけの事を無意識で出来る様になるか、が大切なのですね。


 

このプレイエルを弾くと、まずアクションの変換が一箇所です。

変換が2箇所の現代ピアノより、自分が弾いている感覚が伝わる事を感じます。

弾いていて少し慣れてくると、それだけでも幸福感が感じられます。

自分が音を作っている喜び、楽器や作品と対話している様な感覚、でしょうか?


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楽器と対話して音を作るにしても、聴覚、指先の鋭敏な感覚が必要です。

10本の指を思い通りに動かす筋肉や神経回路がピアノを弾くのに必要です。

鋭敏な身体の隅々までの感覚、思い通りに細部を動かす筋肉と神経回路の形成は大切です。



その点、ハノン等の基礎練習は、必要で有効です。

反面、音楽や感覚の形成の妨げになりやすい。

ここをきちんと理解しないと、努力が空回りし、音楽を見失います。

特に指導者は、非音楽的な基礎練習と音楽との間を、常に橋渡ししなくてはなりません。

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では学ぶ人は何に気をつけたら良いのか?

まず、できるだけ急がない事、即効性を求めない事です。

1度のレッスンで問題を解決する事は不可能です。

言われた事の多くは、脳の中の、「未処理箱」に入ります。



。。。。あの先生、何言ってるんだろう?。。。。
。。。。それ、わかってるけど今そうじゃなくて。。。



出来ない出来ない・・・と悩む事が沢山あります。

その時に、必死で理解しようと脳に沢山アンテナが形成されます。

何かのきっかけで、何か些細な事に、「あ?」と閃く事があります

その時、脳の中の未処理箱に、どれだけの音楽、感覚の記憶を持っているか?

それが一番大切なのです。




もちろん練習の効果が見えないと辛いです。

なるべくすぐに効果を感じられる様、要約して伝える必要があります。

すぐに的確に指示が出せる事も、私達には必要です。

なによりせっかくピアノを習っているのです。

早く形にして、好きな曲を皆さんに聴かせてあげて欲しいです。

楽しく練習を続けて欲しいと願います。




けれど効率だけでなく、経験してほしい事があるのです。

すぐには答えがでない事も多く、回り道もします。


ピンポイントで答えがこないと感じる事もあるでしょう。

すぐに的確な答えがきた時、実は引き替えに多くの事を捨てているのです。


弾ける様になればなるほど、効果を感じる事が減ります。

新鮮味も減るでしょう。



その時に沢山アンテナを張って、得た情報は、脳の未処理箱に入れて下さい。



ショパンの愛した楽器を10分程度弾いてみた

その感覚の記憶、未処理箱にとっておいて下さい。



ある指導者兼演奏家の方に言われた事があります。

現代ピアノで弾くのに、それが何の役に立つのですか?

さぁ・・・・何しろ未処理ですから(^^)



とりとめのない長文、失礼致しました。

ショパンはやっぱり特別です。

沢山恋して失恋して、弾き続けて下さい


音楽は愛ですから(*^_^*)