ピアノ・・・モーツァルトの嘲笑? | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
皆様と音楽やピアノについて、交流ができれば幸いです。ピアノについてのご質問等も是非お寄せ下さい。
oyuki42koba☆yahoo.co.jp ☆を@にかえて下さい。


「モーツァルトが私を馬鹿にしてる」


「天国から、カラカラコロコロ笑ってる」

「ちょっとは、見返したい!」


ツェルニーやりたい」という方の爆弾発言!




・・・こーゆー話からなのです。



基礎練習が音楽と離れ、筋トレの様になってしまう・・・

もっと速く、もっと強く、しっかり指動かして!

音楽から離れた基礎練習、違和感に苦しんだ方は多いと思います。

けれど全面的に否定は出来ないのです。




ピアノという楽器は日本の気候には大変不向きです。

高温多湿で、フェルトや木が水分をたっぷり含みます。

そうなるとアクションが大変重いのです。



現代の様にエアコンが普及していなかった時代。

汗だくでベートーヴェン等を練習し、膨れた部品による重たい動きに悪戦苦闘。

私の先生方は、この様な環境で練習されていました。

強い指の筋力がないと、弾けなかったのです。





国産のピアノが量産され、ピアノが普及しました。

日本の気候を考慮し、又コストの問題からも木部は合板です。

天然木は木部の隙間が多く、豊かな音色が出ます。

合板は・・私の感覚では、音色が均一で、タフだという印象があります。



「自分の弾き方により音が様々に表情を変える」

という経験がないと、音色に対する感性が育ちません。



「強く、速く、きちんと」・・・という傾向になってしまいます。



きちんとした演奏をしたいなら、強い筋力は必要です。

音量が小さくても輝く様な高音は、右手4指5指の筋力を要します。

ズン、と響く低音、長く響く低音、左手4指5指の筋力が必要です。



「こんな音を出したい!」

本来はその為の基礎練習なのです。

それが音楽を失い、時に他者と競う事に向いてしまいます。





小学生の体験レッスンでの事でした。

とても上手でしたが、手首がやや硬く手の甲をゆする癖があります。

親指がドスンと落ちるので、音の粒が揃わず荒れています。


「手の甲を動かさないで指で弾きましょう。」

「親指は軽く弾きましょう」

こういうアプローチは確かに効果はあります。




けれど、育てなければならないのは、美しい音楽を求める感性です。


「ここはあなたが弾く様にアクセントが必要ですか?」

「それとも、粒の揃った音が良いですか?」



そう言って弾いてみせます。必ず美しく正しい音楽を選択します。

「じゃ、そう弾きましょう。」



「ここにアクセントがついてしまうのは何故でしょう?」

「親指で弾く音が強くなってしまいます。」

「耳でよく聴いて音を揃えましょう」



先生が美しく弾いてみせると、必ず生徒さんの心に響きます。




CDやDVDでも良いのです。名ピアニストの演奏に触れる事。

出来れば名楽器に触れる機会を作ってあげる事。

鮮やかなイラストを避け、音楽的にきちんとした教材を使用する。

特にお子さんには大切です。




基礎練習の目的はメトロノームのメモリを速くする事ではありません。

軽やかに速く美しく弾きたい所を、そう弾く為の基礎練習です。


例えば転がる様なモーツァルトの16分音符


そのイメージを求めての基礎練習をしてほしいのです。

名演奏に触れた感動は、大きな支えになります。

理想と現実にため息をついたとしても、苦痛ではないはずです。



そんなお話から・・・

「大好きなモーツァルトが弾けない!」という話になりまして。




「きれいな16分音符、鮮やかに弾きたいのに弾けません」

「若い頃、散々ツェルニー我慢してやったのに」

ふむふむ・・・・我慢はいけませんネ



「天国からモーツァルトがあざ笑ってます」

「オホホホ、オホホホ、へたくそね~」と聴こえます。




「そ・・・そんな風に弾きたいですか?・・・・」

「ちょっとは見返したい!」



という事で、ツェルニー40番再挑戦。


う~ん、案外とっても、正解かも!