ピアノ・・・ショパン 舟歌 | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
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ショパン、舟歌 作品60

ショパンの唯一の舟歌です。
1845年から翌年にかけての作曲です。

愛人サンドとの関係も破綻に向かい、持病の肺結核も悪化しつつあった時期。
絶望的な時期に書かれました。

この曲は余りに美しく繊細で、命の期限を感じる者が抱く悲しみや、将来があり光り輝くものへの憧れ、孤独が襞の中に感じられます。

息の長い美しいメロディ、漂う様な響き、光り輝く憧れの世界・・・

多くの人々にとって、この曲は特別な曲です。
初めて弾いたのは学生の時でしたが、当時先生は仰いました。

「二十歳そこそこの、恵まれた人に理解できる曲ではないです」



高度な技術と音楽性を必要とする難曲でもあります。

あるアマチュアの方が、この曲を弾きたいと言った時、先生に「これはプロの領域だ」と言われたそうです。
私もピアノ歴約10年のアマチュアの方、又は生徒さんに「舟歌弾きたい」と相談された事、何度かありました。


無理だとは言うのは抵抗がありますが、やはり無理です。


技術的に、例えばまず、片手で2声を美しくバラバラに歌えないと弾けません
2つの声が、時に寄り添い、時に離れ、歌い続ける。
これを片手で演奏するのは至難の業で、長期に渡る修練と勉強がなくてはできません。

何年もかけて、バッハのシンフォニア、数々の練習曲を経てショパンのエチュードを学ぶ等の、プロを目指すレベルの修練が必要です。

ピアノを始めて、10年程度では到底無理で、弾くには下地が必要なのです。

本来はアマチュアの方にでも初心者にでも、弾きたい曲に近づいてもらいたいと願います。
しかしやはり、エゴと言われても、この曲は軽々しく弾いて欲しくないのです。

Wikipediaに掲載されていた晩年のショパンの写真、舟歌はこの写真の撮影の少し前に書かれました。

ショパン写真

30代には見えず老いすら感じます。病の苦しさでしょうか。胸が痛みます。

そんな中で、ペンをとって書かれた一つ一つの音、記号・・・

無論アマチュアの方でも良いのです。

ショパンの声に耳を傾け、向き合う覚悟で、謙虚な気持ちで弾いて欲しいのです。

多くの人々にとって、私にとってもショパンの舟歌は特別な宝物なのです。

プロ、アマ、という問題ではなく、弾くからには覚悟して向き合い、大事にしてほしい、
そう願います。
私自身、この曲を弾ける事が本当に幸せであり、ピアノを続けて良かったと思います。
そして一生向き合って大事に弾いていきたいと思います。

やはり若くして亡くなったリパッティの演奏です。

https://www.youtube.com/watch?v=QG5nREXB3ag