あるアマチュアの女性の演奏を聴く機会がありました。
グリーグを丁寧に弾いていらして、技術的には不安がありますが、誠実な演奏が素敵でした。
ご本人とお話できましたが、大人になってピアノを再開し、好きで一生懸命日常の合間をぬって練習されているそうです。頭が下がります。
その方が、ご自分の本番の演奏を録音で聴いた時、痛感したそうです。
自分の演奏は人を惹きつける演奏でなく際立っていない、人を惹きつけるには、もっと演技の部分?が必要である。
ステージという観点から考えないといけない。
でないと自分がその曲を演奏する意味がない、そこまでの覚悟が自分にない。
と、仰いました。
向上心のある方です。確かに聴衆にどうきこえるかを考える事は大切です。
思い出したのは、一人10分の合同演奏会で、とても素敵な演奏をされた方がいらっしゃいました。
ベートーヴェン30番ソナタの第一楽章のみでした、優しく美しい音で、曲を味わって丁寧に弾かれ、何よりその曲を心から愛して弾いていらっしゃるのが伝わります。
地味ですが、美しい音色、全てのフレーズが丁寧に歌われている事から、技術、音楽力の高さを感じます。
ご本人いわく、3楽章私ひけないの。難しいもん!(笑)・・・(嘘でしょ!)
又、非常に技術的難易度の高いスクリャービンのエチュードを、かなりのテンポでミス少なく見事に弾かれた方もいらっしゃいました。しかし・・・これが印象に残ってない・・・
そんな演奏を色々聴いたあと、ふと・・・はて際立った演奏って?・・・
私にとっては断然!優しく美しい音で丁寧に弾かれていたベートーヴェン・・・でした。
その演奏会の後、その曲を練習し始めた方が何人かいたそうで、皆さんの心にも響いたのでしょう。
際立った、人を惹きつける演奏とは?・・・おそらく
心底作品を愛し共感し、この曲を弾きたい、聴いて欲しいと心から願う事。
作品を理解しようと努め、自分の音に耳を傾け、自分の求める音、歌を妥協せず求め、弾き込み続ける事・・・
それが覚悟であり、結果として人を惹きつけ、他の誰でもなく自分がその曲を弾く意味がある・・・そう思えます。
あなたのピアノが大好きだ!・・・と言われたら本望ですね。