連載というわけではないが、ここ数年考えてきたことをまとめる意味もこめて、「産業政策の明日」と題したシリーズを始めたいと思う。不定期になると思うがお付き合い願いたい。
シリーズにまとめてみたいと考えたきっかけは、三つある。第一に、この10数年ベンチャーや第二創業企業、創業100年を超える長寿企業など、様々な中小企業に経営企画や管理部門の責任者として関わってきて、なぜこの国のベンチャーは上手く育たないのか、なぜ第二創業や経営革新は遅々として進まないかというところがおぼろげにわかってきた。そして実はそれらの多くが、広い意味での産業政策に起因していると思い至ったからだ。
第二には、一時は日本再生の切り札かの様にもてはやされた1999年に始まるベンチャー・ブーム、IPOブームは10年も経たないうちに火の消えたようになってしまったが、その一方で「社会的企業」を起こすというワークスタイルが、若年層を中心に新しい潮流として着実に浸透してきたことがある。もちろんメディアによる過大評価は多分にあると思うが、詳細は後のシリーズ記事に譲るものの、この社会起業というムーブメントが一過性のものではなく必然であるということは、実は経済理論的かつ経済史的に説明可能だ。そうであるならば、ベンチャー起業の再生とともに、社会起業の裾野を広げていくための施策も、産業政策の中核として考えられる必要があるのではないか。そういう問題意識がある。
そして最後に、畏友かつ起業家教育に関わる研究で博士論文を書いた研究者や、起業サークルを活性化させようと奔走する大学生など、身の周りでアントレプレナーシップというものに真剣に向き合う人達が数多くいる。これらの人々に実務の前線で身につけたことをフィードバックするのは、私の役割の一つだと考えていて、それには事業創造に関わる産業政策に関わる議論も避けて通れない。
産業政策といっても別に大上段に構える必要はない。もちろん国レベルで変えていかなければならないことが多いけれど、地方のレベルでもできることは少なくない。どこかの首長は「都」や「道州」のレベルでないと産業政策なんか何をやってもインパクトがないなどと、ポピュリストらしい大雑把な情報発信をするが、そもそもそういう人間がまともな産業振興を語っているところを見たことがない。出てくるのは、時代遅れのイベント大好きブレーンに丸投げしての、安直なカジノ誘致や街中の遠泳プール整備くらいのものである。
産業政策、特に事業創造に関わるものは、今の地方のインフラを活用するだけでも、十分実効性のあるものを立案・実施可能だ。産業政策は政治家の玩具ではない。市民レベルで働きかけ、できることから変えていくのにまず必要なのは、知識の共有と知恵の共創だ。
そこにこそ、今、私達が産業政策を議論する理由があると思う。これはもっと身近な、市民が主役の「新しい公共」の出発点なんだ。そう私は考えている。
シリーズにまとめてみたいと考えたきっかけは、三つある。第一に、この10数年ベンチャーや第二創業企業、創業100年を超える長寿企業など、様々な中小企業に経営企画や管理部門の責任者として関わってきて、なぜこの国のベンチャーは上手く育たないのか、なぜ第二創業や経営革新は遅々として進まないかというところがおぼろげにわかってきた。そして実はそれらの多くが、広い意味での産業政策に起因していると思い至ったからだ。
第二には、一時は日本再生の切り札かの様にもてはやされた1999年に始まるベンチャー・ブーム、IPOブームは10年も経たないうちに火の消えたようになってしまったが、その一方で「社会的企業」を起こすというワークスタイルが、若年層を中心に新しい潮流として着実に浸透してきたことがある。もちろんメディアによる過大評価は多分にあると思うが、詳細は後のシリーズ記事に譲るものの、この社会起業というムーブメントが一過性のものではなく必然であるということは、実は経済理論的かつ経済史的に説明可能だ。そうであるならば、ベンチャー起業の再生とともに、社会起業の裾野を広げていくための施策も、産業政策の中核として考えられる必要があるのではないか。そういう問題意識がある。
そして最後に、畏友かつ起業家教育に関わる研究で博士論文を書いた研究者や、起業サークルを活性化させようと奔走する大学生など、身の周りでアントレプレナーシップというものに真剣に向き合う人達が数多くいる。これらの人々に実務の前線で身につけたことをフィードバックするのは、私の役割の一つだと考えていて、それには事業創造に関わる産業政策に関わる議論も避けて通れない。
産業政策といっても別に大上段に構える必要はない。もちろん国レベルで変えていかなければならないことが多いけれど、地方のレベルでもできることは少なくない。どこかの首長は「都」や「道州」のレベルでないと産業政策なんか何をやってもインパクトがないなどと、ポピュリストらしい大雑把な情報発信をするが、そもそもそういう人間がまともな産業振興を語っているところを見たことがない。出てくるのは、時代遅れのイベント大好きブレーンに丸投げしての、安直なカジノ誘致や街中の遠泳プール整備くらいのものである。
産業政策、特に事業創造に関わるものは、今の地方のインフラを活用するだけでも、十分実効性のあるものを立案・実施可能だ。産業政策は政治家の玩具ではない。市民レベルで働きかけ、できることから変えていくのにまず必要なのは、知識の共有と知恵の共創だ。
そこにこそ、今、私達が産業政策を議論する理由があると思う。これはもっと身近な、市民が主役の「新しい公共」の出発点なんだ。そう私は考えている。
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