「日本には起業家が少ない」「起業家が尊敬される社会を創らなければ」等々が言われて久しい。
昔からベンチャー育成に熱心で、今も多くのスタートアップを支援しておられる孫泰蔵さん監修の書籍、
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などを読んでもわかるとおり、スマホのアプリの様な参入の垣根が低い分野での起業に、少額分散投資をするエンジェルやVCも出てきて、確かに一昔前とは部分的に状況は変化してきているとは思う。それはそれで“東京IT村”の一つのトレンドとしては理解できるし、「できることから始める」という意味でも、そのようなアクション自体は大変素晴らしいと思う。 しかし日本経済、日本の企業社会に風穴開けるような、かつて日本においてもエクセレント・ベンチャーが牽引してきたような、産業のメインストリームでの起業家の輩出に資する仕組みづくりは、結局この15年、20年でも何もできていない。
この様に言うと、「ソニーやホンダや京セラは仕組みがあってできたんじゃない。そんなものは不要だ」という人も出てくる。しかしそういう人には考えてもらいたい。それらの企業が伸びていった時代背景と当時の産業政策のあり様を。日本全体が高度成長の波にのり、通産省を中心に産業政策に強力な国家的ドライブかかっていたという事実は見過ごせないはずである。
今日の状況はそうした過去のものとは異なるが、新興国の台頭、グローバル化等々の動きの中で、何を保護し、何にドライブをかけ、財政逼迫の中で、どのような仕組みで次世代中核産業を生み出すだけの資金を動かすか。これは大げさに言えば、安全保障の次に大事な立国の礎ではないかと私は思う。
確かにスマホのアプリが充実し、それが生活に潤いと利便を提供するのも重要だ。しかし環境、エネルギー、ライフサイエンス、高齢者福祉といった、次代の日本の社会や経済のメインストリームで活躍し、企業社会のニューリーダー足り得る起業家を輩出していく仕組みづくりをどこから始めるべきかが、今問われている。
誤解を恐れず煎じ詰めれば、それにはスタートアップの資金だけではない、ゴーイング・コンサーンのための、そして持続的成長のための、ファイナンスのストーリーが不可欠である。もちろん企業の個別事情はあっても、一定レベルまでの企業を支えていくファイナンス基盤とルールづくり、金融機関と起業家の間のそれらに対する相互理解とコミュニケーション。
この辺りの整備とシステムづくりに真正面から取り組むことこそ、メインストリームの起業家輩出、加えて地方分権的な新たな国家像までを見据えるための鍵があると私は思っている。
ここから先は長くなるのでまた別稿で。