ケンブリッジの風 26 『サクラフロント-日本のために桜の花を咲かせよう』 | 019|まる・いち・きゅう

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丸い地球をまわりながら考えていることの記録

イギリスではイースターが近づき、ケンブリッジも春休みとなり生徒よりも観光客の姿が目立つこの季節。今回は先月の3.11の一周年についての話題です。



東日本を襲った大地震と津波から1年。パソコンの画面に食い入るようにしてみた母国の惨状を、自分の故郷のために行動を起こす術が募金以外になかった無念さを今でも鮮明に思い出します。今回の震災を受けて海外からは様々な形の支援が寄せられたと聞きます。政府からの物資援助、市民団体からの募金・応援メッセージ、企業からのボランティア派遣や技術支援…。過去一年間、数え切れないほどの報道に励まされながらも1周年が近づくにつれ私には何ができるのだろうと焦燥感に駆られていたのも事実です。



そのようなときに出会ったのがロンドンで始まったサクラフロントプロジェクトという日本支援活動です。震災発生から時間が経過した今、海外に住む私達ができることは被災地に対しての「意識」を持ち続けること。サクラフロントプロジェクトのみなさんは手作りで桜をモチーフとしたブローチを作成・販売し、そのブローチを着けることで日本への思いを示す証にしてもらおうと地震発生直後から活動を続けていらっしゃいます。また、津波の最終到達地点に桜を植樹する活動を行なっている「さくら並木ネットワーク」の協力のもと、来春に向けて売上の一部で被災地での桜の植樹も予定しています。



ひとりひとりが桜のブローチにより思いを共有し、「忘れない」というメッセージをイギリスから日本へ発信するという理念に共感し、早速ロンドンの代表の方と連絡をとりました。
ケンブリッジで 3.11 前後に行われるイベントで販売したいとお願いすると快諾してくださり、次の日にはブローチを 200 個ほど送ってくださいました



他の学部生と協力してコンサートやサークルのミーティング、劇場などで販売し、ブローチはほぼ完売。ケンブリッジの学生の胸元に小さな桜の花が咲きました。「世界はまだ忘れていない。忘れさせちゃいけない」。復興というのは気持ちだけでは実現しませんが、人々の関心がなければ何も始まらないというのもまた事実ではないでしょうか。

ホマトンカレッジのコンサートでブローチを買ってくれた男子学生 



ケンブリッジにある桜も花開き始めました来年もイギリス各地で3.11サクラブローチを咲かすことができたらと思います。



( ねっとわーくSAITAMA 5月号より)