春・雑感 | 019|まる・いち・きゅう

019|まる・いち・きゅう

丸い地球をまわりながら考えていることの記録

またまた少し古めのものですが5月初旬に書いたものを…。
自分で記事を見直しながらそういえばロイヤルウェディングとか盛り上がってたし、試験まであと一ヶ月だとちょっと焦っていたなぁと一人思い出していた。

こうやって少し前に書いたものを読むのが私は実はすごく好きだったりする。
というよりは「不確かな未来を想像できる現在」と「確かな過去を振り返ることができる現在」っていうなんだか自明であってわかりにくいような時間の持つ神秘な性質に惹かれているんだろうなと思う。

最近よく、「数時間後にはこれが終わっている。その時私は『今』この瞬間に感じていることを思い出せるかな」と考えることがよくある。例えば最後の試験の前日に、「あぁー明日の今頃には2年生の試験すべてが終わっているけど、終わった私は一体何を考えていて、前日に何を考えていたとかって思い出せるのかなぁー」って考えてみる。そんな感じである。

手紙を書くのが好きなのも同じ理由。
自分が想像しながら手紙に記した未来が、相手に渡ったときには過去になることがよくある。
出来事が自分の感じ方・考え方をすっかり変えてしまってその出来事以前に自分が考えていたことって思い出せなくなってしまうことって多いと思うのだけれど、手紙に書いておくとその時の考えが時間を超えて残る。
日記も似たような感じだけれども手紙はこの「タイムワープ」が他人とのやりとりの間で起こるのだからなおさら楽しい。

と、前置きがながくなりましたが以下どうぞ。

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 $毎日が宝探し

復活祭にロイヤルウェディングにメイデー。と、始まった途端に祝日続きの2年生3学期あっという間に私の大学生活も半分を過ぎてしまった。3年間というのはやはり短いとしみじみと感じる。そのような私の心の中の焦りを完全に無視するかのように今ケンブリッジは最高にいい季節だ。冬場はあれほど短かった日照時間も今は朝6時前から午後9時ごろまでと15時間ほど。カレッジはどこも花が咲き乱れ、一歩中庭に踏み入れればそこはまるで花園かのようである。

ところで王家の結婚式はやはりそれなりに盛り上がった。寮ではなんと普段から生徒が自由に使えるコモンルーム(共通部屋)に加えて特別講座や外部団体のイベントなどの際に使用するホールでもプロジェクトを使っての生放送が行われた。後から親しいメンテナンスのおじさんに聞いたところそのホールはごく最近最新型のプロジェクターが入ったそうで、それも今回の「生放送」に備えてだったとか。正直一般的な英国民の反応はどうかといわれるとなかなか難しい。私の知っている範囲では前日夜中までかかってイギリス国旗のネイルペインティングをしたり、当日ハート型のイヤリングに真っ赤なドレスで決めたりという「超張り切り組」から王家の結婚式など端から興味がないと全くもって普段通り過ごしていた「無関心組」まで反応は様々だった。

お祭りごとも過ぎ去り、気付けば 5 月。試験が一ヵ月後に迫ってきた。段々と学校全体が試験ムードになっていくのがわかる。まず図書館。入った瞬間に張り詰めた空気が漂っている。夜はどの机も勉強道具が置きっぱなし。図書館を試験中の本拠地とする生徒たちが「置き勉」(勉強道具を部屋に持ち帰らない)を始めた証しだ。そして食堂。圧倒的に利用者が増える。どのフロアにも共同台所があるのだが試験を前に買い物→料理→後片付けを毎食やっている暇はない学生が多いようだ。先週街であった友達は登山帰りのような大きなリュックを背負っていたので何事かと尋ねると料理をしなくていいようにインスタント食品を買い込んだとのこと。やれやれ。

近況報告に終わってしまった今月号だが来月は試験に関連してこちらでの成績のつけかたについて紹介しようと思う。

(「ねっとわーくSAITAMA」6月号より)