ルイ・アラゴン『忌避者』、小島輝正訳
おれにしっこをさせるために
シーシーコイコイって乳母はいいやがったっけ
おれにしっこをさせるために
おれにうんちをさせるために
ウヌンコイコイって看護婦はいいやがったっけ
おれにうんちをさせるために
おれに右へならえをさせるために
オイコラソコって髭はいいやがったっけ
おれに右へならえをさせるために
だがおれはもう右へならえなんてしないぞ
しっこもうんちもしないぞ
もうごめんだぞ
…以上は、20世紀を生きたフランスの詩人・小説家ルイ・アラゴンの『忌避者』という詩だ。
一言で表すなら、汚い。そして程度が低い。が、それ故に何か惹かれるものがある。
ルイ・アラゴンは『パリの農夫』や『イレーヌ』などの代表作を残した有名な作家だが、意外にもぼくはこれらの作品を読んだことはない。ぼくが敬愛するロシアの詩人ウラジーミル・マヤコフスキー繋がりで名前を知ったのが初めてであった。
マヤコフスキーはリーリャ・ブリークという女性と恋仲になっていたが、リーリャ・ブリークの妹こそ、『最初のほころびは200フランかかる』で女性として初めてゴンクール賞を受賞したエルザ・トリオレであった。そして、そのエルザ・トリオレの交際相手がルイ・アラゴンであり、マヤコフスキーと交流を持っていたことが、ぼくの頭にあっただけであった。
今回、ぼくがルイ・アラゴンの『忌避者』という詩を見つけたのは、かつて思潮社から出版された『シュルレアリスムの詩 シュルレアリスム読本1』というアンソロジーからであった。おそらく絶版になっているため、新規の購入ができないのがいささか残念だが、アラゴンの『忌避者』という詩だけをこのブログで見て、シュルレアリスムの面白さが伝わったのであれば、それに勝る喜びはない。