━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.12.6
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
オー・エイチ・ティー(OHT)粉飾決算 - 性悪説で分析する時代 -
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『リスクマネジメントとは』
手前味噌な話だが、オックススタンダード設立当時、
推敲を重ねて「弊社が考えるリスクマネジメント」を作成した。
今改めて読み返すと時代とマッチしており、
なかなかの出来と感じている。
〔オックススタンダードが考えるリスクマネジメント〕
http://www.ox-standard.co.jp/about/comment.html
今は「100年に1度の危機」と巷間で叫ばれている。
平時に、「リスクなんて起こらない」と考え、
何も対策をしなかった企業は、そのツケを払う。
一方で、平時からリスクを十分に吟味して
事業活動を行ってきた企業は被害も少ない。
むしろ、今を「100年に1度の好機」と捉える。
平時に会社としてリスクマネジメントを取り組んできたか否かが
企業の命運を左右している。
それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。
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オー・エイチ・ティー(OHT)粉飾決算 - 性悪説で分析する時代 -
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オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/
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【報道概要】
2008年12月4日、マザーズ上場の電気検査装置メーカー
オー・エイチ・ティー(OHT)をめぐる粉飾決算事件で、
広島地検特別刑事部は、虚偽の有価証券報告書を中国財務局に
提出したなどとして、創業者で前社長等を金融商品取引法違反
の疑いで逮捕した。
調べでは、受注伝票を改ざんするなどの手口で架空の
売り上げを計上し、2005年4月期の赤字約2億1000万円を
約1億円の黒字に、2006年4月期の赤字約1億1000万円を
約2億6000万円の黒字に粉飾した有価証券報告書を
それぞれ中国財務局に提出した疑い。
さらに、30億円分の新株予約権付社債を募集した
2006年9月にも、虚偽の有価証券届出書を提出した疑い。
---- 分析情報 ----
【会社概要】
社名 オー・エイチ・ティー株式会社
(ジャスダック上場)
証券コード 6726
業種 電気検査装置製造
従業員数 240名(連結)
所在地 広島県福山市神辺町字西中条1118番地の1
監査法人 創研合同監査法人
【OX理論で分析】
<決算訂正前:粉飾時>
[2006年4月決算]
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/ohtbefore06.pdf
[2008年4月決算]
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/ohtbefore08.pdf
<決算訂正後:粉飾訂正後>
[2006年4月決算]
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/ohtafter06.pdf
[2008年4月決算]
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/ohtafter08.pdf
【不一致係数に異状あり】
決算訂正前の分析結果をご覧いただきたい。
2006年も2008年も不一致計数の評点が3点前後となっている。
一方で、決算訂正後の分析結果は低くても5点であり、
7点や10点もある。
【不一致計数とは】
売上高及び在庫の推移と、債権及び債務の推移を比較して、
アンバランス(不自然)な額を算出し、その不自然さが
売上高でみた企業規模に対してどの程度の重みがあるかを
観察する指標である。
【オー・エイチ・ティー(OHT)の粉飾】
①さまざまな手法を駆使した売上の過大計上
手法については下記参照(OHTリリース)。
2008年3月31日
『過年度決算にかかる有価証券報告書の
訂正報告書等の提出に関するお知らせ』
http://www.oht-inc.co.jp/release/contents/documents/080331_kteisei.pdf
②原価の過小計上
粉飾の大半は、売上の過大計上だった。
【分かりやすい構図】
期末に架空売上を計上すれば、比例して売掛金が溜まる。
しかし、それは架空売上であるため、
現金化されることなく固定化する。
この固定化された売掛金は、他の勘定科目に振り分けられる。
(OHTは在庫に振り分けた)
アラームの不一致計数は、売上及び在庫や債権債務の
バランスを見ている。OHTの粉飾決算の分析結果において、
それが如実に表れており、その結果として不一致計数の評価が
低くなっている。
【今後】
2008年11月27日、太洋興業(ジャスダック:7449)は
「過去10年間に渡って約24億円近い粉飾を行っていた」と
リリースした。
粉飾の露見が頻発している。
監査が厳しくなっているのもあるが、過去に行った
粉飾の無理が厳しい経済情勢によって
“炙り出されている”とも言える。
業績が厳しい企業は生存のために何かする。
その手段として粉飾は、今も昔も魅力的である。
昨今は粉飾以外の悪事を働いて生存を図る企業もある。
企業評価は、“性悪説に基づいて分析する時代”になった。
(HNW)
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【編集後記】
先日、寝る直前に夕刊を読んで、少しだけ寝不足に
なってしまった。
「世の中に対して、コメンテーターになっちゃダメだ」
(出典:2008年12月3日 日本経済新聞夕刊
泉谷しげる氏『自分から時代動かせ』)
コメンテーター。
世の中、コメンテーターが溢れている。
ただ、コメンテーターにも2種類ある。
「何かを生んだ上でコメントしている人」と
「何も生まないでコメントしている人」。
後者にはなりたくないと思う日々です。(HNW)
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発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/