不動産から建設へ-新井組の破綻の意味するもの- | OX理論が測る企業価値

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26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.10.10
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』

不動産から建設へ -新井組の破綻の意味するもの-
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『時代が変わった』

今朝の日本経済新聞によれば、トヨタ自動社の渡辺社長は、
「潮目が変わった」という表現から、最近は「時代が変わった」
という言い方をしているという話だ。



通常の人よりも豊富な情報を入手し、分析可能な立場の人
の発言である。

“ズシリ”と重い。



サブプライムをキッカケとした世界経済の低迷は、
一種のパラダイムシフトの予兆ではないか。

つまり、ある分野における認識は、全く違う認識に取って代わる。
そう感じるほどに、今、世界は混乱している。



それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。



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不動産から建設へ -新井組の破綻の意味するもの-
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【報道概要】
東証・大証1部上場の新井組は、10月8日に東京地裁へ
民事再生法の適用を申請した。



2006年12月よりNISグループが筆頭株主となったが、
不動産開発会社の手形を割引くことが困難となったこと、
不良債権の発生、それに伴う信用不安などにより、
ゴーイングコンサーンを指摘されていた。




【会社概要】
社名        株式会社 新井組
業種        総合建設
従業員数      約529名
所在地       兵庫県西宮市池田町12-20


【破綻情報】
破綻日       2008年10月8日 民事再生法申請
負債総額      427億3,700万円


【OX理論で分析】
OX格付       BBB 【48】(2007年12月連結決算)



【ゼネコンの倒産】
不動産業の倒産による影響が顕在化した。
新井組の倒産は、一種の連鎖倒産(連鎖業種倒産?)である。
今後もこの流れは続く。



【次の業種】
不動産業から建設業へと連鎖した破綻は、建設業と取引がある
業種への影響が懸念される。
住宅・建材メーカー・金融機関への影響は容易に想像がつく。



【資金調達が困難】
金融機関は不動産関連企業への融資に慎重だ。
その範囲は不動産から建設まで広がった。
建設業と取引がある企業に対する銀行の姿勢は、
保守的にならざるを得ない。



金融機関から資金調達できなければ市場からとなる。
しかし、市場の冷え込みは凄まじく、それも困難だろう。



資金調達困難な企業は、倒産するか、買収(救済)されるか、
の二者択一しかない状況に追い込まれるのではないだろうか。



■■■

【3連休前の金曜日】
若干、本論と外れるが今日(2008年10月10日)は
3連休前の金曜日である。

統計的なデータを取っているわけではないが、大型連休前には
倒産が多い傾向がある。



その理由は下記が考えられる。
①今後の対策を考える時間の確保
②連休中に利害関係者へ連絡
③株式市場への影響が連休を挟むことにより緩和される
 
 
本日、大和生命保険が破綻した。
今日の雲行きは、まだまだ怪しい。




ちなみに6月5日のメルマガにおいて、
『上場企業の倒産時期を予測する』と記事を書いた。
 → http://ameblo.jp/oxalarm/entry-10103419205.html


その時に利用した上場企業の倒産日を更新した。
上場倒産企業の倒産月(上・中・下旬)ごとに調べた結果が下記である。
(2002年から2008年10月9日までの倒産企業)

 <チャート>
 → http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/default-monthly081010.pdf


〔倒産件数 2002年~2008年10月9日までの累計数〕
 1月上旬   0
 1月中旬   3
 1月下旬   4
 2月上旬   0
 2月中旬   4
 2月下旬   3
 3月上旬   3
 3月中旬   1
 3月下旬   6
 4月上旬   2
 4月中旬   6
 4月下旬   4
 5月上旬   3
 5月中旬   2
 5月下旬   5
 6月上旬   3
 6月中旬   1
 6月下旬   3
 7月上旬   2
 7月中旬   4
 7月下旬   3
 8月上旬   0
 8月中旬   2
 8月下旬   1
 9月上旬   1
 9月中旬   2
 9月下旬   9
 10月上旬   3
 10月中旬   1
 10月下旬   6
 11月上旬   0
 11月中旬   1
 11月下旬   1
 12月上旬   0
 12月中旬   1
 12月下旬   1


 
このチャートから下記のことが言える
①9月中旬以降、倒産件数は加速度的に増えている。 
②9月下旬から10月上旬の倒産件数は、過去6年間の累積数と同等


 
あくまで統計上の推測になるが、9月中旬以降の倒産社数が
今後も続くとした場合、10月下旬の倒産社数は約10社倒産となる。
恐ろしく多い数字だが、それほどに最近の倒産件数は異様に
多い。(HNW)



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【編集後記】
<小説:会社蘇生>

読書好きである。通勤時間は読書の時間だ。
仕事に絡むものから極上のエンターテイメント
(特にハードボイルド)まで、乱読している。


ちなみに今読んでいる本は高杉良の『企業蘇生』。
倒産が連発する昨今、何となく手にとって購入した。
(ブックオフの100円コーナー)


内容は、破産管財人を主人公として、更生開始までを
描くものらしい(まだ途中なので分からないが)。


倒産から更生までの現場を知る良い教材だと
感じている。(HNW)



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