━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.07.24
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
2008年上半期レビュー(1月~6月)-景気は悪化・倒産は増加へ-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『Excel2007』
最近になって利用するようになった。
正直な所、「Excel2003と大して変わらないだろ」と斜に構えていた。
しかし、「数値のビジュアル化」という点で、進化を遂げている。
「これは凄い、良い!」
と思わず感嘆の声を上げてしまった。
決算数値の経年変化を数値の羅列や構成比・前期比だけで見ている方は、
一度『Excel2007』の「条件付き書式」を利用してビジュアル化
してみることをお勧めします。
(サンプル:真柄建設BS借方
→ http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/080723sample.pdf)
個人的には、アラームにもこのビジュアル化機能があるといいな
と思います・・・、あくまで個人的にですが。
それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。
→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→index←←
2008年上半期レビュー(1月~6月)-景気は悪化・倒産は増加へ-
_______________________________
オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【上半期レビューのキッカケ】
①倒産件数の激増
②景況感の悪化
③破綻先ごとにメルマガを書いている余裕がない
特に①と③の理由から、2008年上半期を総括し、下半期の予測を
送付することによって、皆様へ有用な情報提供できると考えた。
【2008年上半期の倒産件数(上場企業)】
上場企業の倒産件数:6社 〔昨年:1社〕 <前年比6倍>
2008年上半期の上場企業の倒産は、グレース、レイコフ、
ニイウスコー、アリサカ、トスコ、スルガコーポレーション
だった。<参照元:東京商工リサーチ>
倒産パターンは、コンプライアンス違反、粉飾、融資先審査の
厳格化などである。
※
余談だが、ある審査担当者が「社名がカタカナの企業とは取引
しない」と話していた。冗談半分に聞いていたが、上場企業に
限って言えば、分析精度は高いと言えそうだ。
【2008年上半期の倒産件数(全体)】
全体の倒産件数:7544件 〔昨年:7056社〕 <前年比1.07倍>
負債総額:3兆1796億円 〔昨年:2兆6519億円〕 <前年比1.19倍>
<参照元:東京商工リサーチ>
【2008年上半期総括】
倒産件数、負債額ともに増加している。
昨年までと違い、負債額の小さい中小企業だけではなく、中堅企業や
大企業に分類されるような企業も破綻している。
【2008年下半期の情勢】
もうすでに始まっていまるが、非常に厳しい情勢だ。
結論を出す前に、いつも通り、倒産に直結する要因を考えてみる。
(年初に記載した要因に加筆します。加筆部分は→表示)
〔ネガティブ要因〕
①改正建築基準法の影響
昨年に引き続き、影響は甚大である。
大手は問題ないと思われるが中小ゼネコンなどは厳しい。
破綻する前に、合従連衡が進む可能性が高い。
②公共工事の減少
工事自体が減少している一方で、競争入札の導入が進み、
受注額が減少している。
建設関連企業は、重大局面に直面する。
→①②
改正建築基準法の影響は甚大を超えて、"絶大"と言えそうだ。
受注減&資源高のダブルインパクトにより、建設・不動産業の
収益圧迫され、資金繰りが急激に悪化している。
7月18日には、上場企業のゼファーとキョーエイ産業が破綻した。
建設・不動産業は、“不況に突入した”と言っても差支えないだろう。
③証券取引所の審査が厳格化
監査法人は当然だが、証券取引所自体が上場企業に対する監視を
強めている。証券取引所によって、上場廃止に追い込まれた企業が
破綻するケースが出てくるだろう。
④コンプライアンスに対する世間の視線
4月から日本版SOX法施行される。
内部統制の不備、偽装、粉飾など、コーポレートガバナンスが正常に
機能していない企業は、破綻する。
→③④ニイウスコー、アリサカ、スルガコーポレーションは
監査法人と証券会社が“真摯”に企業を監査及び監督した結果、
粉飾や反社会的勢力との結びつきが発覚した。
その結果として、各企業に信用不安が発生し、紆余曲折の末、
倒産している。
内部統制時代の本格化に伴い、今後もこの流れで倒産する企業が
出てくるだろう。
⑤信用保証協会の代位弁済保証率が100%から80%
保証割合が信用保証協会(80%)と金融機関(20%)となった。
今までリスクゼロで貸し出しを行っていた金融機関も
リスクを負担することになり、融資先の選別が厳しくなる。
※「小口零細企業保証制度」により、従業員が20人以下の法人
又は個人に対して、融資残高1250万円まで保証協会が100%
保証する制度あり。
⑥改正貸金業法の影響
すでに影響は甚大だ。
業態変更や廃業するノンバンクが増えてきている。
今後は、合従連衡が進むだろう。
⑦3月末に金融機能強化法の失効
金融機関への公的資金注入手段は、預金保険法だけになる。
金融機関が破綻することは起こらないと思うが、破綻するのを防ぐ
ために取引先の選別がますます進む。
⑧原料高
あらゆる業界における基幹原料と言える原油、大豆、小麦などが
高騰している。
あらゆる商品の値上げが相次いで発表されている。
しかし、値上げができる企業(つまり、価格に転嫁できる企業)は
いいが、価格を変えることができない企業は経営に支障をきたす。
年初には、洋菓子メーカー「チーズケーキファクトリー」が破綻した。
→⑧原油高により、製造業や運送業へ影響を及ぼすことは
予想できた。しかし、漁船が一斉にストライキする程の
インパクトを与えたの想定外である。
おそらく、業界に精通している人でなければ気付かない
想定外のことが今後も起こりうるだろう。
原料高の影響は全業種に影響する。
しかし、その影響度が深さ(インパクト)を見極めることが
重要だ。
⑨アメリカ発の株安
サブプライムローンをきっかけに、米国株が急落している。
その影響だけではないが、日本株も冴えない。
株が低飛行を続ける限り、消費マインドは落ち込み、
景気に悪影響をもたらすのは間違いない。
→⑨アメリカでは金融機関が破綻し、日本でいう住専のような会社に
公的資金注入の話まで出てきた。
大統領は否定するような発言をしていたが、時間の問題か・・・。
【2008年下半期の予測】
2008年1月の予想は下記である。
<倒産件数>
【上場】 → 10(+-2)
【全体】 → 15000(+-1000)
現状を踏まえると、年間の倒産件数は"やや上振れ"する可能性が高い。
<倒産件数>
【上場】 → 12(+-2)
【全体】 → 15500(+-1000)
景気は悪化した。
「トヨタ自動車が、2008年の世界生産・販売計画を下方修正
する方針」という報道がなされた。
この報道の意味合いを十分に噛みしめなければならない。
※
先日参加したセミナーにおいて、新潟大学の教授が興味
深い話をしていた。
「通常ならば倒産しない企業の倒産が発生している」という。
<理由>
下記のようなことを考える金融機関や事業会社が出てきたため。
・なるべく早めに倒産させて、自社への被害を和らげる。
(事前に、貸倒引当金は積んである)
・倒産後にスポンサーとして再生させ、利益を確保する。
一種のプレパッケージ型(スポンサー及び再生計画が事前に
決まっている)倒産である。
自社の利益のために、企業を破綻させることを考える企業が
存在する。このことは、肝に銘じておく必要があるかもしれない。
現状、金融機関の場合は、破綻懸念先に対して“追貸し”
することが難しい。
非常にドライな対応をすることによって、本体への痛みを
和らげることを考えているのだろう。
一種のリスク管理とも言えなくもない。(HNW)
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
ユーザーの皆様向けにセミナーを実施たが、改めて自分の
知識の浅さ、経験不足を思い知った。私には、核となるものが
ないように思える。
ユーザー様向けのセミナー講師については、ちょっと充電期間
を置いてから、再チャレンジしたい。
現状のままでは、折角来て頂いた皆様の貴重な時間を無駄に
してしまうと痛切に感じた次第です・・・。
発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/