今年の倒産を予測する【2008年】 | OX理論が測る企業価値

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26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.01.23
 オックススタンダードメールマガジン  『 S T A N D A R D 』
             
 今年の倒産を予測する【2008年】
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 年明けから「偽装」ラッシュである。

 多くの製紙会社が公称を下回る古紙配合率で、年賀状をはじめと

 した紙製品を出荷していたことが判明した。
 


 誤解を恐れずに言えば多くの企業が消費者に対して、
 軽度な"偽装"を行っている。
 食肉偽装、建材メーカー耐火性能の偽装、耐震強度偽装など・・・。

 


 ライブドアによる粉飾事件以降、会計上の偽装(粉飾)に対する

 監視は厳しくなった。
 


 その反動というわけではないが、企業は会計操作による偽装(粉飾)
 ではなく、環境偽装をはじめとした"ビジネスモデル偽装"を重用する
 ようになったようだ。


 粉飾されるのは、決算書だけではない。




 それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。


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 今年の倒産を予測する【2008年】
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 【2007年の倒産件数(上場企業)】
 上場企業の倒産件数:6社  〔昨年:2社〕 <前年比3倍>
 昨年の上場企業の倒産は、NOVA、クインランド、みらい建設グループ、
 マキ製作所、クレディア、アイ・エックス・アイだった。
 
 
 倒産パターンは、コンプライアンス違反、財務制限条項抵触、

 法改正の影響などなど、社数は6社とはいえバラエティに富んでいた。


 
 
 【2007年の倒産件数(全体)】
 全体の倒産件数:14091件  〔昨年:13245社〕  <前年比1.06倍>
      負債総額:57279億円 〔昨年:55006億円〕 <前年比1.04倍>


 負債額は低いが、件数が多い。
 つまり、負債額の小さい中小企業の破綻が頻発している。




 【昨年の倒産件数と比較】  (単位:社)
          <2006年>    <2007年> 
 上場        2           6
 全体      13245         14091

 ≪グラフ≫→ http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/kensuu1



 2007年は、負債総額、倒産件数ともに前年より増加した。
 特に倒産件数は、ここ4年間で最高件数を記録した。

 
 2006年と同様だが、一部の大企業は増収増益を記録する一方で、
 中小企業が疲弊している。その傾向は、今後も続きそうだ。
 


 
 【今年は?】
 倒産件数は上場企業も含めて増える可能性が高い。




 〔ネガティブ要因〕
 ①改正建築基準法の影響
 昨年に引き続き、影響は甚大である。
 大手は問題ないと思われるが中小ゼネコンなどは厳しい。
 破綻する前に、合従連衡が進む可能性が高い。




 ②公共工事の減少
 工事自体が減少している一方で、競争入札の導入が進み、
 受注額が減少している。
 建設関連企業は、重大局面に直面する。




 ③証券取引所の審査が厳格化
 監査法人は当然だが、証券取引所自体が上場企業に対する監視を
 強めている。証券取引所によって、上場廃止に追い込まれた企業が
 破綻するケースが出てくるだろう。


 
 ④コンプライアンスに対する世間の視線
 4月から日本版SOX法施行される。
 内部統制の不備、偽装、粉飾など、コーポレートガバナンスが正常に
 機能していない企業は、破綻する。




 ⑤信用保証協会の代位弁済保証率が100%から80%
 保証割合が信用保証協会(80%)と金融機関(20%)となった。
 今までリスクゼロで貸し出しを行っていた金融機関も
 リスクを負担することになり、融資先の選別が厳しくなる。


 ※「小口零細企業保証制度」により、従業員が20人以下の法人
 又は個人に対して、融資残高1250万円まで保証協会が100%
 保証する制度あり。




 ⑥改正貸金業法の影響
 すでに影響は甚大だ。
 業態変更や廃業するノンバンクが増えてきている。
 今後は、合従連衡が進むだろう。




 ⑦3月末に金融機能強化法の失効
 金融機関への公的資金注入手段は、預金保険法だけになる。
 金融機関が破綻することは起こらないと思うが、破綻するのを防ぐ

 ために取引先の選別がますます進む。
 



 ⑧原料高
 あらゆる業界における基幹原料と言える原油、大豆、小麦などが

 高騰している。
 あらゆる商品の値上げが相次いで発表されている。
 

 しかし、値上げができる企業(つまり、価格に転嫁できる企業)は

 いいが、価格を変えることができない企業は経営に支障をきたす。
 年初には、洋菓子メーカー「チーズケーキファクトリー」が破綻した。




 ⑨アメリカ発の株安
 サブプライムローンをきっかけに、米国株が急落している。
 その影響だけではないが、日本株も冴えない。
 株が低飛行を続ける限り、消費マインドは落ち込み、

 景気に悪影響をもたらすのは間違いない。



 その他、セーフティネット融資件数の急増 ゴーイングコンサーン指摘

 企業の増加など、ネガティブな要因は容易に見つかるが、

 ポジティブ要因は探すのが困難だ。



 
 〔ポジティブ要因〕
 ①新興国の隆盛
 BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)以外にも
 VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)も
 経済成長率が高い。
 これらの国と取引がある企業は、業績が伸びる可能性が高い。




 ②北京オリンピック開幕(8月)
 ポジティブ要因かどうかやや微妙だが、オリンピック景気で中国は

 加熱する。オリンピック関連企業(旅行、テレビメーカー、グッズ業者

 など)には好影響だろう。やや、宴の後の冷え込みが怖い。
 しかし、2010年の万博までは、中国は安泰か・・・。





 【考察】
 倒産件数や負債総額は増えているとはいえ、過去10年間に比べ

 れば、それほど高い水準ではない。



 では、どの水準が適正か?
 10年間の平均は下記の通りである。



 <1998年~2007年までの倒産件数平均値>
  【上場】  →  12
  【全体】  →  16163



 やや乱暴な見方で理論的な根拠は薄いが、日経平均株価

 (大納会終値)と倒産件数を比較すると下記の通りになる。




  <上場倒産件数> <日経平均株価>
 1998年      9      13,842
 1999年      6      18,934
 2000年      12     13,786
 2001年      14     10,543
 2002年      29     8,579
 2003年      19     10,677
 2004年      11     11,489
 2005年      8      16,111
 2006年      2      17,226
 2007年      6      15,308
 2008年      ?      ?

 ≪グラフ≫→ http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/kensuu2



 この表からすると2008年の日経平均株価が13000円だとすれば、
 1998年と2000年の日経平均株価が最も近い。
 つまり、上場企業の倒産件数は9~12社となる。


 

 【総括】
 上記の比較や過去からの推移を考慮すると、今年は下記の件数に
 落ち着くのではないだろうか。


 <倒産件数>
 【上場】  →  10(+-2)
 【全体】  →  15000(+-1000)



〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


 今年もスタートして早くも1ヶ月が経とうとしている。

 あまりにも速い。


 「齢を経るにつれて月日が経つのを早く感じる」というが、
 とうとうその年齢に達したようだ。

 とはいえ、年齢を重ねることによって見えてくる景色も変わってきた。
 「演歌は日本の心だな」と思える自分に驚いている。
  



発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/