━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.01.23
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
今年の倒産を予測する【2008年】
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年明けから「偽装」ラッシュである。
多くの製紙会社が公称を下回る古紙配合率で、年賀状をはじめと
した紙製品を出荷していたことが判明した。
誤解を恐れずに言えば多くの企業が消費者に対して、
軽度な"偽装"を行っている。
食肉偽装、建材メーカー耐火性能の偽装、耐震強度偽装など・・・。
ライブドアによる粉飾事件以降、会計上の偽装(粉飾)に対する
監視は厳しくなった。
その反動というわけではないが、企業は会計操作による偽装(粉飾)
ではなく、環境偽装をはじめとした"ビジネスモデル偽装"を重用する
ようになったようだ。
粉飾されるのは、決算書だけではない。
それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。
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今年の倒産を予測する【2008年】
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【2007年の倒産件数(上場企業)】
上場企業の倒産件数:6社 〔昨年:2社〕 <前年比3倍>
昨年の上場企業の倒産は、NOVA、クインランド、みらい建設グループ、
マキ製作所、クレディア、アイ・エックス・アイだった。
倒産パターンは、コンプライアンス違反、財務制限条項抵触、
法改正の影響などなど、社数は6社とはいえバラエティに富んでいた。
【2007年の倒産件数(全体)】
全体の倒産件数:14091件 〔昨年:13245社〕 <前年比1.06倍>
負債総額:57279億円 〔昨年:55006億円〕 <前年比1.04倍>
負債額は低いが、件数が多い。
つまり、負債額の小さい中小企業の破綻が頻発している。
【昨年の倒産件数と比較】 (単位:社)
<2006年> <2007年>
上場 2 6
全体 13245 14091
≪グラフ≫→ http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/kensuu1
2007年は、負債総額、倒産件数ともに前年より増加した。
特に倒産件数は、ここ4年間で最高件数を記録した。
2006年と同様だが、一部の大企業は増収増益を記録する一方で、
中小企業が疲弊している。その傾向は、今後も続きそうだ。
【今年は?】
倒産件数は上場企業も含めて増える可能性が高い。
〔ネガティブ要因〕
①改正建築基準法の影響
昨年に引き続き、影響は甚大である。
大手は問題ないと思われるが中小ゼネコンなどは厳しい。
破綻する前に、合従連衡が進む可能性が高い。
②公共工事の減少
工事自体が減少している一方で、競争入札の導入が進み、
受注額が減少している。
建設関連企業は、重大局面に直面する。
③証券取引所の審査が厳格化
監査法人は当然だが、証券取引所自体が上場企業に対する監視を
強めている。証券取引所によって、上場廃止に追い込まれた企業が
破綻するケースが出てくるだろう。
④コンプライアンスに対する世間の視線
4月から日本版SOX法施行される。
内部統制の不備、偽装、粉飾など、コーポレートガバナンスが正常に
機能していない企業は、破綻する。
⑤信用保証協会の代位弁済保証率が100%から80%
保証割合が信用保証協会(80%)と金融機関(20%)となった。
今までリスクゼロで貸し出しを行っていた金融機関も
リスクを負担することになり、融資先の選別が厳しくなる。
※「小口零細企業保証制度」により、従業員が20人以下の法人
又は個人に対して、融資残高1250万円まで保証協会が100%
保証する制度あり。
⑥改正貸金業法の影響
すでに影響は甚大だ。
業態変更や廃業するノンバンクが増えてきている。
今後は、合従連衡が進むだろう。
⑦3月末に金融機能強化法の失効
金融機関への公的資金注入手段は、預金保険法だけになる。
金融機関が破綻することは起こらないと思うが、破綻するのを防ぐ
ために取引先の選別がますます進む。
⑧原料高
あらゆる業界における基幹原料と言える原油、大豆、小麦などが
高騰している。
あらゆる商品の値上げが相次いで発表されている。
しかし、値上げができる企業(つまり、価格に転嫁できる企業)は
いいが、価格を変えることができない企業は経営に支障をきたす。
年初には、洋菓子メーカー「チーズケーキファクトリー」が破綻した。
⑨アメリカ発の株安
サブプライムローンをきっかけに、米国株が急落している。
その影響だけではないが、日本株も冴えない。
株が低飛行を続ける限り、消費マインドは落ち込み、
景気に悪影響をもたらすのは間違いない。
その他、セーフティネット融資件数の急増 ゴーイングコンサーン指摘
企業の増加など、ネガティブな要因は容易に見つかるが、
ポジティブ要因は探すのが困難だ。
〔ポジティブ要因〕
①新興国の隆盛
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)以外にも
VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)も
経済成長率が高い。
これらの国と取引がある企業は、業績が伸びる可能性が高い。
②北京オリンピック開幕(8月)
ポジティブ要因かどうかやや微妙だが、オリンピック景気で中国は
加熱する。オリンピック関連企業(旅行、テレビメーカー、グッズ業者
など)には好影響だろう。やや、宴の後の冷え込みが怖い。
しかし、2010年の万博までは、中国は安泰か・・・。
【考察】
倒産件数や負債総額は増えているとはいえ、過去10年間に比べ
れば、それほど高い水準ではない。
では、どの水準が適正か?
10年間の平均は下記の通りである。
<1998年~2007年までの倒産件数平均値>
【上場】 → 12
【全体】 → 16163
やや乱暴な見方で理論的な根拠は薄いが、日経平均株価
(大納会終値)と倒産件数を比較すると下記の通りになる。
<上場倒産件数> <日経平均株価>
1998年 9 13,842
1999年 6 18,934
2000年 12 13,786
2001年 14 10,543
2002年 29 8,579
2003年 19 10,677
2004年 11 11,489
2005年 8 16,111
2006年 2 17,226
2007年 6 15,308
2008年 ? ?
≪グラフ≫→ http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/kensuu2
この表からすると2008年の日経平均株価が13000円だとすれば、
1998年と2000年の日経平均株価が最も近い。
つまり、上場企業の倒産件数は9~12社となる。
【総括】
上記の比較や過去からの推移を考慮すると、今年は下記の件数に
落ち着くのではないだろうか。
<倒産件数>
【上場】 → 10(+-2)
【全体】 → 15000(+-1000)
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
今年もスタートして早くも1ヶ月が経とうとしている。
あまりにも速い。
「齢を経るにつれて月日が経つのを早く感じる」というが、
とうとうその年齢に達したようだ。
とはいえ、年齢を重ねることによって見えてくる景色も変わってきた。
「演歌は日本の心だな」と思える自分に驚いている。
発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/