━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007.11.06
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
正常化する上場企業の破綻件数 -クインランドとノヴァ(NOVA)-
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辞書で"審査"を調べた。
「くわしく調べて、価値・優劣・適否などをきめること。」とあった。
企業審査という意味での"審査"には、ややフィットしない。
それではと思い、"分析"を調べた。
「ある事柄の内容・性質などを明らかにするため、細かな要素に
分けていくこと。知的活動の過程・方法の一。所与の対象・表象・
概念などを、それを構成する部分・要素・条件などに分け入って
解明すること。」
理屈っぽくて、こちらもフィットしない。
そこで思いついたのが"鑑定"である。
「科学的な分析や専門的な知識によって判断・評価すること。
美術・骨董(こつとう)品の良否や真贋(しんがん)の判断、不動産の
評価などにいう。目利き。判断すること。また、その判断。」
非常にフィットする。
上記の"鑑定"を企業審査における"審査"に置き換えるとこうなる。
「科学的な分析や専門的な知識によって判断・評価すること。
企業の良否や粉飾の判断などにいう。目利き。
判断すること。また、その判断。」
企業審査とは、"企業鑑定"に他ならない。
それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。
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正常化する上場企業の破綻件数 -クインランドとノヴァ(NOVA)-
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【報道概要<クインランド>】
自動車買取専門店及び中古車販売店の運営、インターネットを
利用した自動車売買業を営む。積極的なM&Aを行ったが、
投資資金の回収が進まず、有利子負債は固定化していた。
金融機関18行に対する約定返済が困難なことから上記の
特定調停を申し立てていた。
今年の4月頃には、高額手形が市中金融筋に出回るなど
資金面での厳しさが露呈し、対外的信用の低下していた。
【会社概要】
社名 株式会社クインランド (ヘラクレス上場)
業種 中古自動車販売など
従業員数 88名
所在地 兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9
【破綻情報】
破綻日 2007年10月25日 自己破産
負債総額 約203億円
【OX理論で分析】
OX格付 CCC 【3】(2007年6月連結決算)
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クインランド(分析表1)
http://www.ox-standard.co.jp/analysis/pdf/kuin.pdf
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※当該企業は、分析結果を見ていただければ、解説は不要と
思われます。
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【報道概要<ノヴァ(NOVA)>】
積極的CM戦略により知名度を獲得し、今年3月末時点で925拠点
を展開、グループ企業9社を有し、全国約40万人が利用していた。
しかし、急激な店舗展開が裏目となり18年3月期を境に業績は
悪化の一途を辿るとともに、水面下での解約に伴う返金問題が
裁判沙汰、監査法人が辞任。
4月には訴訟全面敗訴、6月には監督官庁より一部業務停止命令、
多額の返金問題が浮上するなかで、7月には賞与・給与遅延となり、
資金繰りは逼迫していた。
【会社概要】
社名 株式会社ノヴァ(NOVA) (ジャスダック上場)
業種 語学スクール
従業員数 7269名名
所在地 大阪市中央区西心斎橋2-3-2
【破綻情報】
破綻日 2007年10月26日 会社更生法申請
負債総額 約439億円
【OX理論で分析】
OX格付 BBB【50】(2007年3月連結決算)
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ノヴァ(NOVA)(分析表1)
http://www.ox-standard.co.jp/analysis/pdf/nova.pdf
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【急激に悪化した評点】
ノヴァの評点は、直近が50点である。
しかし経年変化を見ると悪化傾向にあることが分かる。
2007年 50点
2006年 60点
2005年 72点
個別指標の中で、特に悪化しているのがコスト体質である。
【コスト体質】
OX理論におけるコスト体質とは、損益分岐点のように費用を
固定費や変動費というように割り切ることなく、総コストに対する
売上の割合を見る指標である。
ノヴァは、2006年度より売上に対するコストの割合が急増し、
赤字体質となっていたことが分かる。
売上 総コスト 利益
2007年 57064 59653 -2589
2006年 69812 72007 -2195
2005年 75274 74833 441
【破綻までの流れ】
赤字に陥る
↓
特定商取引法違反の疑いで経済産業省の立入検査
↓
受講料の返還を求める訴訟で敗訴
↓
経済産業省から行政処分
↓
他社や投資ファンドとの資本提携などを模索するが頓挫
↓
臨時取締役会で猿橋社長の解任
↓
破綻
【今後】
上場企業の破綻件数が増えてきた。
10月末日で6社である(昨年は2社)。
過去のメルマガでも指摘しているが、過去10年間の上場企業の
平均倒産件数が12社であることを考えると、昨年の上場企業の
破綻件数2社というのは、異様に少なかった。
今、相次いでいる上場企業の破綻は、ある意味では"正常"である。
「倒産すべき企業は倒産する」
普通のことが起きているだけである。
(今までは金融緩和やセーフティネットによって保護されてきたが・・。)
上場企業に限って言えば、毎年100社以上の企業が上場する一方で、
その一割程度が破綻するのは、経済の原則から考えれば違和感はない。
今までが、あまりにも過保護に過ぎたと言えるだろう。
発行元 オックススタンダード(株) http://www.ox-standard.co.jp/