正常化する上場企業の破綻件数 -クインランドとノヴァ(NOVA)- | OX理論が測る企業価値

OX理論が測る企業価値

26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007.11.06
 オックススタンダードメールマガジン  『 S T A N D A R D 』
             
 正常化する上場企業の破綻件数 -クインランドとノヴァ(NOVA)-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 


 辞書で"審査"を調べた。
 「くわしく調べて、価値・優劣・適否などをきめること。」とあった。


 企業審査という意味での"審査"には、ややフィットしない。



 それではと思い、"分析"を調べた。
 「ある事柄の内容・性質などを明らかにするため、細かな要素に
 分けていくこと。知的活動の過程・方法の一。所与の対象・表象・

 概念などを、それを構成する部分・要素・条件などに分け入って

 解明すること。」

 

 理屈っぽくて、こちらもフィットしない。



 そこで思いついたのが"鑑定"である。
 「科学的な分析や専門的な知識によって判断・評価すること。
 美術・骨董(こつとう)品の良否や真贋(しんがん)の判断、不動産の

 評価などにいう。目利き。判断すること。また、その判断。」

 

 非常にフィットする。



 上記の"鑑定"を企業審査における"審査"に置き換えるとこうなる。
 「科学的な分析や専門的な知識によって判断・評価すること。
 企業の良否や粉飾の判断などにいう。目利き。
 判断すること。また、その判断。」



 企業審査とは、"企業鑑定"に他ならない。


 それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。


→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→index←←
 正常化する上場企業の破綻件数 -クインランドとノヴァ(NOVA)-
____________________________
 オックススタンダード(株)   http://www.ox-standard.co.jp/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 【報道概要<クインランド>】
 自動車買取専門店及び中古車販売店の運営、インターネットを

 利用した自動車売買業を営む。積極的なM&Aを行ったが、

 投資資金の回収が進まず、有利子負債は固定化していた。
 


 金融機関18行に対する約定返済が困難なことから上記の

 特定調停を申し立てていた。
 


 今年の4月頃には、高額手形が市中金融筋に出回るなど

 資金面での厳しさが露呈し、対外的信用の低下していた。




 【会社概要】
 社名         株式会社クインランド (ヘラクレス上場)
 業種         中古自動車販売など
 従業員数      88名
 所在地        兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9



 【破綻情報】
 破綻日        2007年10月25日 自己破産
 負債総額      約203億円



 【OX理論で分析】
 OX格付       CCC 【3】(2007年6月連結決算)
 LLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL
 クインランド(分析表1)
 http://www.ox-standard.co.jp/analysis/pdf/kuin.pdf
 LLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL
 ※当該企業は、分析結果を見ていただければ、解説は不要と

 思われます。



+++++++++++++++++++++++++++



 【報道概要<ノヴァ(NOVA)>】
 積極的CM戦略により知名度を獲得し、今年3月末時点で925拠点

 を展開、グループ企業9社を有し、全国約40万人が利用していた。


 しかし、急激な店舗展開が裏目となり18年3月期を境に業績は

 悪化の一途を辿るとともに、水面下での解約に伴う返金問題が

 裁判沙汰、監査法人が辞任。


 4月には訴訟全面敗訴、6月には監督官庁より一部業務停止命令、
 多額の返金問題が浮上するなかで、7月には賞与・給与遅延となり、
 資金繰りは逼迫していた。




 【会社概要】
 社名         株式会社ノヴァ(NOVA) (ジャスダック上場)
 業種         語学スクール
 従業員数      7269名名
 所在地        大阪市中央区西心斎橋2-3-2



 【破綻情報】
 破綻日        2007年10月26日 会社更生法申請
 負債総額      約439億円



 【OX理論で分析】
 OX格付       BBB【50】(2007年3月連結決算)
 LLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL
 ノヴァ(NOVA)(分析表1)
 http://www.ox-standard.co.jp/analysis/pdf/nova.pdf
 LLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLLL




 【急激に悪化した評点】
 ノヴァの評点は、直近が50点である。
 しかし経年変化を見ると悪化傾向にあることが分かる。


 2007年 50点
 2006年 60点
 2005年 72点

 個別指標の中で、特に悪化しているのがコスト体質である。



 【コスト体質】
 OX理論におけるコスト体質とは、損益分岐点のように費用を

 固定費や変動費というように割り切ることなく、総コストに対する

 売上の割合を見る指標である。

 

 

 ノヴァは、2006年度より売上に対するコストの割合が急増し、
 赤字体質となっていたことが分かる。


         売上    総コスト   利益
 2007年   57064   59653   -2589
 2006年   69812   72007   -2195
 2005年   75274   74833    441


 


 【破綻までの流れ】
           赤字に陥る
             ↓
 特定商取引法違反の疑いで経済産業省の立入検査
             ↓
   受講料の返還を求める訴訟で敗訴
             ↓
     経済産業省から行政処分
             ↓
 他社や投資ファンドとの資本提携などを模索するが頓挫
             ↓
     臨時取締役会で猿橋社長の解任
             ↓
            破綻
 


 【今後】
 上場企業の破綻件数が増えてきた。
 10月末日で6社である(昨年は2社)。

 

 

 過去のメルマガでも指摘しているが、過去10年間の上場企業の
 平均倒産件数が12社であることを考えると、昨年の上場企業の
 破綻件数2社というのは、異様に少なかった。
 

 
 今、相次いでいる上場企業の破綻は、ある意味では"正常"である。
 
 「倒産すべき企業は倒産する」
 普通のことが起きているだけである。
 (今までは金融緩和やセーフティネットによって保護されてきたが・・。)

 


 上場企業に限って言えば、毎年100社以上の企業が上場する一方で、
 その一割程度が破綻するのは、経済の原則から考えれば違和感はない。
 今までが、あまりにも過保護に過ぎたと言えるだろう。


 発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/