グッドウィルグループ-介護事業の継続性に疑義あり- | OX理論が測る企業価値

OX理論が測る企業価値

26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007.06.08
 オックススタンダードメールマガジン  『 S T A N D A R D 』
             
 介護事業は撤退するのでは?-グッドウィル・グループ-
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 ≪スコアリング≫
 「対象の属性や財務情報を元に、採点すること。多くの場合、

 自動審査システムに組み込まれ、取引可否から融資限度額まで

 自動算出される。」
 


 消費者金融、ビジネスローンでは一昔前から広く使われている

 手法である。相当数の母数を確保できなければ、利益を確保する

 ことが難しいビジネスモデルにおいて多用されている。

 あまり人の判断が入らない点から"デジタル分析"と

 言えるかも知れない。

 

 一方、"アナログ分析"と言えるのが、取引先ごとに決算書を

 じっくり見て分析することである。決算書から導き出される様々な

 指標から、取引先の現状を想像する。この種の想像力は、

 審査マンの能力の一つと言えるだろう。



 例えば、こんな感じだ。
 「売上が下がっているにも関わらず、棚卸資産が急増しているな!?
 もしかしたら不良在庫が溜まっているのではないか?」

 

 こんな想像力を取引先の業界、経営者、商慣習を思い起こし

 ながら何通りもの仮説を組み立て、その上で最適解を見出す。
 これらの想像力を鍛えるには膨大な日数を要する。
 審査業務が属人的になりがちなのは、ある意味では

 やむを得ないだろう。

 

 ちなみに弊社のALARMは、デジタルでもアナログでも利用する

 ことが可能なシステムである。



 それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。





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 (1) グッドウィルグループ-介護事業の継続性に疑義あり



 【コムスンは廃業の流れ】
 人材派遣大手グッドウィル・グループ傘下の介護事業会社「コムスン」は、
 厚生労働省の出した通知で、不正に介護事業所の指定を受けたと
 して事業所指定の更新が今後5年にわたり受けられなくなった。



 グッドウィルは、コムスンの全事業をグループ会社の日本シルバー

 サービスに譲渡するという"離れ業"を試みたが、厚生労働省や

 国民の納得を得るのは難しい情勢だ。


 
 【グッドウィルグループの苦境】
 当然の帰結と言えるが、グッドウィルグループは今回の件により
 連結売上高の30%近くを占める介護事業を失う可能性が高くなった。



 また、今年の3月には、解体が決まっているみすずから新日本に

 監査法人を変更した。人材派遣会社クリスタルの買収に伴って

 活用したファンドを連結対象に含めるかどうかで意見が分かれた

 ことが原因らしい。

 

 しかし、監査を引き継いだ新日本も減損会計の厳格適用をせまり、

 最終的には2007年6月期の連結最終損益が300億円の赤字になると

 発表している。




 【OX理論で分析】
 グッドウィルグループの分析結果は86点(2006年6月)である。
 資金繰りに窮することはないだろう。

 ちなみにコムスンの分析結果は35点(2006年6月)である。


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 グッドウィルグループ(分析表1)
 http://www.ox-standard.co.jp/analysis/pdf/goodwill.pdf
 コムスン(分析表1)
 http://www.ox-standard.co.jp/analysis/pdf/comusun.pdf
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 【介護事業は売却か?】
 現在入手可能な情報で判断すれば、今後は下記の展開になる
 のではないだろうか!?



 グッドウィルグループで介護事業を継続するのは難しい
                ↓
 しかし、サービス利用者のためには介護事業を継続しなければならない
                ↓
     そうなると、介護事業は売却するしかない
                ↓
           事業売却の発表
                ↓
            売却先の決定


 

 憶測に過ぎないかもしれないが、様々な状況を勘案すれば当たらずとも
 遠からずの結果になると思われる。競合他社や投資ファンドあたりが
 すでにグッドウィルに話を持ちかけていても不思議ではない。



発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/