昨年10月以来の上場企業破綻 | OX理論が測る企業価値

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【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

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 昨年10月以来の上場企業破綻~アドテックス~


 監査の厳格化が招いた倒産

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本日は4月13日に民事再生法を申請した株式会社アドテックスに

関するレポートを送付致します。


 

 (1)【アドテックスとは】

 《会社概要》
 社名        株式会社アドテックス(証券コード:6739)
 業種        コンピュータ関連製品製造販売
 従業員数     67名
 所在地       東京都港南区港南2-18-1 JR品川イーストビル8F
 監査法人     あずさ監査法人



 《破綻情報》
 破綻日       2006年4月13日 民事再生法申請
 負債総額     149億5183万円
 破綻時株価    3130円(2006年4月13日終値)



 《沿革:簡略版》
 1993年      日本IBMのストレージ事業部から独立
 2001年      旧ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)へ上場
 2002年      スイスフラン建転換社債型新株予約権付社債発行
 2004年      監査報告書にゴーイングコンサーンの注記
 2005年      監査報告書にゴーイングコンサーンの注記
 2006年2月27日 決算報告延期のお知らせ
 2006年3月1日 決算報告延期のお知らせ
 2006年3月6日  決算報告延期のお知らせ
 2006年3月10日 社長交代
 2006年3月14日 決算報告延期のお知らせ(4月末までに報告)
 2006年4月11日 資金調達に関わる業委託契約解除
 2006年4月13日 民事再生法申請



 【OX格付】

 OX格付      CCC【-3】
 ※弊社が保持している2005年度の上場企業分析結果(3393社)

 の中で最も低い評点でした。


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アドテックスのアラーム5000による分析結果(1枚目)
http://www.ox-standard.com/analysis/pdf/adtex.pdf
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 ※当該企業については、分析の解説は不要と思われます。



 (3)【検証及び考察】

 ①50億円の売上見込み?
 倒産情報によると「ジャパンワイヤレス(株)に50億円の売上を

 見込んでいたが、ジャパンワイヤレス(株)の大株主である

 平成電電が民事再生を申請したことにより失注」とありました。


 よくよく調べてみると、少額ではありますがアドテックスも

 ジャパンワイヤレスに出資しています。

 つまり、「出資している会社に対して50億円の売上を見込ん

 でいた」ということになります。

 非常に不明瞭な売上見込みに感じます。



 また、この“不明瞭な売上見込みの失注”が破綻の一因という

 ことは、平成電電(昨年10月破綻)の連鎖倒産と言えるかもしれ

 ません。



 今後、アドテックス破綻によって、連鎖して破綻する企業がある

 かもしれません。しかし、アドテックスのホームページに掲載され

 ている主要取引先は、超大手企業なので、その心配は不要かも

 しませんが・・・。



 ②あずさ監査法人の存在
 アドテックスと資金調達に関わる業務委託契約を結んでいたのは

 株式会社LVI(社員3名)という会社です。このLVIの親会社は

 ジャスダック上場の株式会社バーテックスリンク

 (証券コード9816)です。



 下記のことが事実として言えます。
 ●アドテックスは社債の償還で資金繰りが逼迫していた。
                 ↓
 ●あずさ監査法人は、アドテックスの決算を承認しなかった。
                 ↓
 ●4月4日にバーテックスリンクは、大幅に業績を下方修正した。
                 ↓
 ●4月7日にLVI(実質的にバーテックスリンク)は、

 アドテックスに「資金調達に 関わる業務委託契約」の申し入れた。
                 ↓
 ●両社の監査法人はあずさ監査法人だった。


 

 推測ではありますが決算さえ承認されていれば、

 資金調達も可能だったでしょう。
 しかし、アドテックスは監査法人を納得させるだけの資料や説明が

 できなかった。それゆえ、今回の事態に至ったのでしょう。

 カネボウやライブドア事件によって、監査が“厳格化”している

 のでしょうか?


発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/