コーパックインターナショナル③ | OX理論が測る企業価値

OX理論が測る企業価値

26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

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 コーパックインターナショナル③~収支>利益~


 常に収支と利益の差異は注目せよ

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 本日は、前号の続きとして9月13日に破綻したコーパックインターナ

ショナルついて、ご説明致します。



~~前号要約~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 【コーパックインターナショナル】
 業種         ラベル印刷及び同機械製造
 従業員数      124名
 所在地        東京都代田区神田多町2-11

 

 《破綻情報》
 破綻日 2006年9月12日 民事再生法申請
 負債総額 99億円
 
 
 【OX理論で分析】
 OX格付   B【17】(2006年3月単独決算)

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コーパックインターナショナル(分析表1~7)
http://www.ox-info.co.jp/analysis/pdf/kopack.pdf
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 ●注目すべき2つの指標
 今期の分析結果において、急激に評点が悪化したのが

 下記の2つです。


 【営業用資産回転率】
 2005年  10
 2006年   0


 【経常収支比率】
 2005年   6
 2006年   0


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~要約終了~~~



 【現金主義とは?】
 現金の収入と支出という事実に基づいて、収益を認識。



 【発生主義とは?】
 現金収支に関わらず、収益や費用の発生の事実に基づいて、

 収益を認識。
 ほとんどの企業は発生主義に基づいた決算を公表しています。

 
 

 ●経常収支と経常利益は、どっち?

 経常収支≒現金主義 : 現金の収支に基づいた経常活動の収支
 (ほぼ営業活動におけるキャッシュフローと同義)。

 
 経常利益≒発生主義 : 現金の収支に関係なく、

 収入や費用の発生に基づいた利益。

 


 ●乖離に注目せよ!
 会計基準が大幅に変わらない限り(その可能性は極めて低い)、

 発生主義と現金主義の差異は、存在し続けます。

 それは経常収支と経常利益の乖離も存在し続けることを

 意味します。

 
 経常収支と経常利益の乖離をチェックすることは、粉飾を見破る

 手法として"古典"の部類に入りますが、会計基準が変わらない限り

 今後も有効な手法であり続けるでしょう。 



 特に前回申し上げた通り、下記のケースに当てはまる場合は

 注意が必要です。


 ①経常収支比率は100%以下
 ②経常収支比率と経常利益率が10%以上乖離している


 

 粉飾していたかどうかは不明ですが、9月26日に民事再生法を

 申請した健康食品や化粧品製造業の株式会社ルナはこの"法則"

 に当てはまります。



 【ルナ】
 社名         株式会社ルナ
 業種         健康食品・化粧品製造
 従業員数      70名
 所在地        東京都新宿区西新宿5-3-2


 《破綻情報》
 破綻日 2006年9月26日 民事再生法申請
 負債総額 50億円
 
 
 【OX理論で分析】
 OX格付   BB【37】(2005年3月単独決算)

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ルナ(分析表1~7)
http://www.ox-standard.com/analysis/pdf/runa.pdf
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 【11.6%の乖離】
 経常収支比率:96.82%
 経常利益率  :7.88%

 (100-96.82)+7.88=11.6%



 多種多様な分析指標や見方があると思いますが、

 とりわけ経常収支比率は最重要な指標と言えます。



 "話はずれるかも知れませんが、月刊BOSSの連載において最高益

 を記録した新日本石油の分析を行いました。

 その結果、経常利益3041億円の内、1664億円が在庫評価益に

 よるものと判明しています。

 つまり、現金を生まない利益が大半を占めています。

 一方で営業キャッシュフローは利益と反比例して減額しています。

 利益を鵜呑みすることの危険性を表す事例と言えます。”



発行元 オックススタンダード() http://www.ox-standard.co.jp/