最近の傾向として、親族内承継から、親族外承継が増えつつあるというお話をお伝えしましたが、いろいろと調べていると、実は、英国、米国には、親族外承継の中でも、コーオウンドとよばれる、従業員への事業承継の事例がたくさんあることに気づきます。
従来までの親族やM&Aを中心とした事業承継のパラダイムから、
一番会社をよく知っている従業員へ事業承継するというパラダイムシフトです。
実は、英国、米国の従業員所有モデルは、事業承継の歴史でもあったのです。
実際、英国、米国においても、同族内で後継者が見つけられず、今働いている社員を考えると同業他社にも売却したくない・・・そのような悩みの末、生まれたのが、従業員による株式所有するコーオウンド・ビジネスのモデルです。
さらにすごいのは、コーオウンド化してから、業績も今まで以上に上がったことです。
実際、一般の会社よりも業績が高いことがデータから明らかになっています。
私自身、実際に現地でのコーオウンド企業を訪問させていただき、現場での空気にふれて、普通のビジネスよりも、利益も成長率も高く、しかも社員がみなイキイキしてルンルン気分で会社に行きで、かつ会社の持続性も高いうことを学びました。
このコーオウンド・ビジネスは、社員が株を所有し、社員がオーナーシップカルチャーを育み、得た利益をみなで平等に配分する。実質的な意味での経営参画が図られます。
実際、企業訪問させていただき、うまくいっている事例を実際でこの目で見て、気づくのは、社員がイキイキ、笑顔で、楽しそうに仕事をしていることです。
これによって、日本で、問題になっている、「後継者問題」はもちろん「ブラック企業問題」、「社員のメンタル」も解決できるのではないか、これこそ、日本でも活用できるモデルだと確信しました。
ここで必要になってくるのは、パラダイムシフトでないかと思っています。
このパラダイムシフトには、単に株式を社員に渡すだけではありません。実質的に社員が経営にも参画するための仕組みが必要です。
このパラダイムシフトは、創業オーナーだけでなく、社員の方の両方が考えなければならないことです。
繰り返しになりますが、この従業員所有モデルは、事業承継としても活用できるだけでなく、社員がイキイキし業績を伸ばす、“三方よし”社会にもよい、非常によいモデルであります。
未来に残すべき、いい会社の一つのモデルなのではないかと思います。
もちろん、日本は、さまざまないい会社があります。アメーバ経営によって、全員参画を実現している会社や、お客様第一を徹底して、全員参画を実現している素晴らしい会社、
など素晴らしい会社がありますが、今回ご紹介するコーオウンド・ビジネスも、その一つとして検討に値するのではないかと思います。
日本は、八百万の神の国、一人一人が神さまという多神教の国。歴史的にも、社員を大切に、長寿企業を数多く生み出してきている国であるからこそ、これは日本でもマッチする会社なのではないかと思います。
社員がイキイキし、かかわる人を幸せにする、そして、社会が抱える様々な問題を解決する会社形態に、マッチするのが“コーオウンド・ビジネス”というモデルなのではないでしょうか。
これこそ、未来の会社の形、未来の事業承継の形(第三の案)だと思います。
(株)オーナーズブレイン 小泉大輔