本物のリーダーシップを学べる『海賊とよばれた男』 | 中小企業経営者の知恵袋

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6月9日の放送の情熱大陸にも登場した、今最も売れている作家の百田尚樹さん。

2013本屋大賞に輝いた『海賊とよばれた男』は、なんと現在120万部を突破し、
村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』と1位、2位を争うベストセラーに。


海賊とよばれた男 上/講談社

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ベストセラーとなった、『永遠の0』も彼の作品なんですよね。

百田さんは、もともと、関西で平均視聴率20%の超人気番組、「探偵!ナイトスクープ」の放送作家。

でも、彼がすごいのは、今でも、受賞前と変わらず全国の書店を尋ね歩いて地道に本の営業活動にも熱心なことです。


そんな話題作『海賊とよばれた男』。わたしも、たくさんの方が推薦されていたのですが、なかなかな読む機会がなく、積読になってしまっていた。

たまたま、お会いする方、お薦めされることが重なったこともあり、先日、一気に読みました。

読んでその素晴らしさに納得。

取材力、そして、その描き方の視点が流石。

百田直樹さんにお会いした友人も言ったいたのですが、資料読みと執筆に没頭し3か月で3回倒れたそうです。。

『海賊とよばれた男』は、モデルは出光興産創業者・出光佐三(1885~1981年)。

主人公の「鐡造」及び舞台の設定となっている「国岡商店」の歩みもほとんどが実話に基づき、多くの人物や企業が実名で登場します。

百田さんのこの本を書くことが決まった時はこのように思ったそうです。


「そんな日本人がホンマにおったんかと。作家として、これほどの物語には生涯に二度と会うことはないと思うくらい、最高最上の素材でした」


どんなに困難にぶつかってもめげずにチャレンジする主人公の「鐡造」。

その軸には、私利私欲でなく、世の中をよくすること常に考え行動しています。

小説によれば、父、徳三郎から、「一生懸命に働くこと」「質素であること」「人のために尽くすこと」の3つを厳しく教え込まれたとあり、

舞台となる、国岡商店には創業以来、5つの社是がありました。「社員は家族」「非上場」「出勤簿は不要」「定年制度は不要」、それに「労働組合は不要」というもの。
出勤簿ごときは、経営者が社員を信用していないものとして、蛇蝎のごとく嫌い、「家族の中に規則がある方がおかしい」と言って、信念を貫き通したとあります。


そして、小説からは、ストーリーの面白さはもちろん、勇気をもらえるたくさんの名言が登場します。

「君の真心が足りないからだ。至誠心に通じると言う。君が本当にラジオ修理の事業に命を懸けて取り組む気概があるならば、そしてその事業に利益が出るという信念があれば、その思い必ず伝わる。そうではないか」

「日々の生活に苦しいから今だからこそ、ラジオから流れる歌や講談に心が癒されるのではないか。だから、ラジオ修理は日本を精神の面で支える大きな仕事なんだ。たとえ儲けがなくとも、十分に意義がある」

「たしかに困難な仕事はあることはわかる。しかし、困難な仕事だからやり甲斐もある。よそがやれないと尻ごみする仕事だからこそ、うちがやる。」

「タンクの底を浚う(さらう)事業はひとり国岡商店だけのためではない。・・・すなわちこの事業は日本のためにおこなうものである」

「私は国岡商店のためにおこなったのではない。そんな小さなことのために、日昇丸の55名の声明を賭けることはできない。このことが、必ず日本の将来のためになると
信じたからこそ、彼らをアパダンへ送ったのでです」

「僕は、今度の石油危機は、日本国民にとっては天の下された試練と言えのではないかと思っている。国民を享楽に慣れきって、節約を忘れてしまった。そこで天がモノを大切にせよと
反省の機会を与えたのではないか」



そして、主人公の在り方・生き方に共感し、ほれ込む日田さんは、自らを犠牲にしてでも、主人公に支援します。


「3年であかんかったら5年やってみいや。5年であかんかったら10年やってみいや。わしはまだ神戸に家がある。あれを売ったら7千円くらいの金はできる」

過ぎたことを悔やんでも仕方ない。これから勝負にでればいい。ただ、新規に参入するわけだから、他の販売店と同じことをしても勝ち目はない。


「自分は国岡商店ば作ったとき、店員たちば自分の家族だと思おうち決めた。なら、若か店員たちが自分の子供じゃなかやろうか。自分に子供ができないとうことは、天が店員たちあb
しっかり育てよと命じたということない。」


そして、最後に、主人公である鐡造の信念となったのは、最大の支援者である日田の言葉です。


「絶対に諦めずに、初心を貫け」


今、本当に必要としているリーダーシップ像が勉強できる素晴らしい本です。


これこそが、日本の底力だと、元気をいただく、素晴らしい本でした!!