僕は、何かに絶望し
何かに失望し
何かに祈り
そして
その何かに・・・
目の前は真っ暗なまま
通り過ぎる景色が
線上の光の筋として
僕の両眼を引き裂いた
真っ白のままの頭
真っ白のままの心を
置き去りにしたまま
誰かに
余計なものを詰め込まれて
人生という道の上を
雑音にも等しい
エンジン音を聞きながら
走り続けている
ゆっくりと歩きたい僕は
その暗闇に怒り
その暗闇に懇願した
けれども
路肩に停まって
降り立った場所には
何もなく
前のみを照らす照明が
不機嫌そうな音と共に震えているだけ
あぁ、どこで間違ったのだろう・・・
再び走り出す車内に
嗅ぎなれないコーヒーの香りと
それを濁す排気ガスの辛い匂いが
妙に
鼻を擽る
いつの間にか握られていたハンドルと
追い越していく
車たちの
テールランプを横目に
仕方なさを前面に出したその運転は
フラフラと
今にもどこかにぶつかりそうで
それが
どことなく諦めの付かない
優柔不断な僕自身のようで
情けなかった
幻影を見る事が在った
俯いて
どこか寂し気な姿が
横切っていく
時に街灯の下で
時に、ライトに当てられて
後ろへと過ぎていく
何者なのかは
解からない
不気味な影が
その光を妙に明るくしているのは
理解できた
そして
それらを乗せる車は
何処にもいない
ふと
僕もああなるのかと
思った時
心に刃物を突き付けられたかのよな
言い知れない不安がよぎった
背中と
手の平に
じんわりとかいた汗が
冷たく
纏わりついた
考えてみれば
彼等に足はない
つまり
そう言う事なのだ
あぁ・・・
停まれない
留まれない
止まれない
僕は
仕方なく時代のうねりを
走り続けるしかないのだと
理解した
きっと
僕の車が止まるころ
何もかも疲れ切り
大切な足を
ほっぽったまま
すっ、と
消えてしまうだろう
そのまま
過ぎ去っていく車が
無くなるまで
星が無い月と街灯だけの夜空を
眺め続けているに
違いない
白くならない溜息を
なんども
なんども
その場に垂れ流しながら
by梟霊