恋を知らない
僕の瞳は
ずっと
灰色の空を映したまま
春が来ても
夏が来ても
秋が来ても
変わることのない冬の空
溶けることのない
冷たさを携えたまま
僕はすっと
何かを求めるかのように
手を伸ばして
そのまま凍り付いた
恋を知らない
僕の心は
ずっと
灰色の泉を湛えたまま
春が過ぎ
夏が過ぎ
秋が過ぎても
変わることのない冷たさを保ち
時々顔をのぞかせる
太陽のような何かを
浴びる度に
透明な影を伸ばしていた
何も知らなくて
なにも解らなくて
僕は
女性という者を
見つめていた
平面上の油絵のように
美しいまま
どこか浮いた芸術作品
決めつけていたわけじゃない
その距離から先を
誰かが
阻んでいるようで
踏み出さないことが
当たり前のようで
近付くという事を
知らないまま
独り
ずっと
歩いてきたんだ
考えてみれば
恋って何だろう
愛するって何だろう
ドラマか何かのように
本当に泣いたりするのかな
本当に、嬉しいと言ってくれるもの
なのかな・・・
けれども
僕が、それに夢中になって
僕が、其処から居なくなれば
きっと
僕は、僕じゃいられない
冷たい世界で育まれた
この身体はきっと
耐えられず
溶けてしまうだろう
誰かに言われた
優しい人
思いやりのある人
楽しい人
そのどれもが
無くなってしまいそうだ
その先の僕は誰?
その向こうの僕は僕?
判らない
解らない
わからない・・・
この形じゃない僕を
僕はまだ
知らないんだ・・・
byキケロ