終わり無き恋文 | 梟霊のブログ

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静かに、生暖かく見守ってください

終わり無き恋文




聞きなれた言葉を
なんども聞くうちに
鬱陶しく思えてしまった
ある朝のこと
見知らぬ貴女が
何食わぬ顔で通り過ぎた
時に珍しく
美しいと思える澄んだ世界の
朝陽に溶け込んだその姿が
私の胸を
酷く、酷く打ち付けた
あぁ、なんということだろう
愛すべき家族も
愛すべき妻もありながら
そのまた別の
感情が芽生えてしまった
恋とも
愛とも
そのどちらとも
言えるかもしれないし
言えないかもしれない
想い
その日から
こぼれ出る溜息に
焼き付いた輝きが混ざり込み
唯の紙に
届きはしない
恋文の終わり無き言葉の列が
延々と連なった

往年の季節の巡りにも
重みと深みが影として垂れ下がる
いついかなる時でさえ
あの時のことは
あの柱に刻んだ
子供らの背伸びのように
私の中で輝いた
まるで童話の世界の女神のような
貴女へ綴る想いは
妻亡き後も、燃え上がる
恋い焦がれる
愛するものではないあの光景
抱いた女の柔らかさとも違う
掴みたくとも
掴めぬ
そのもどかしさだけを慈しむかのような
この筆の音
届かない
報われない
伝わらない
愛されない
だからこそ湧き上がる
想い
静寂の中に山積みとなり
いつかは塵芥と同然に捨てられることだろう
それでも
私は、止まらない
ただ、ただあれを描きたく
ただ、ただあのときを留めたく
輝きの中の向こうへ手を伸ばすのだ
あぁ、愛することとまた別の愛
酷く平らで、広大で
海、草原を駆けるかのような
爽々として、後ろめたさすらない
真っ直ぐな気持ち
あの日の嫉妬や、憎悪すら
許してしまうほどの
愛を愛する愛
貴女に出逢えたことが
全てへ感謝する時の果てに続いていた
しかし、未だ心残りがある
欲を言えば
この膨大な文の山の
どれか一文字でも
届いて欲しいと願っている
だが
それはもはやない
私の手先の筆は
締めくくる言葉の端っこで
ゆっくりと
ゆっくりと伸びていき
するりと滑った後、止まった
夢の中へ
誘われるかのような心地の中
私は、旅立ったのだろう
一時の間
私が、私を眺めているというのは
そういうことだ・・・










by銀翼のキケロ