月下
何一つ
何一つ
想うことなく
一生を終えたなら
どんなに
幸せなことだろう
唯一つ
闇夜に浮かび
銀色の輝きで全てを包むそれを
ぼんやりとみつめ
すぐ後ろに佇む
終わりという名の扉を
いつ叩いたら良いものか
考えていた
待っててね
そういって
笑みを浮かべた人を
何人見送ればよいのだろう
いつまでも
いつまでも
帰らない
戻らない
返さない
私は、愚かなだけなのだろうか
サッサと切ってしまえば
楽だというのに
物珍しさに
未だ切れずにいる
義理も
なにもない他人への
好奇心
チラつかせる物などに
興味はない
ただ、細い糸を必死になって守る姿を
じっと観察しているだけなのだから
闇の中から
光の中で
踊る人形を
ただ、ただ不思議と
眺めているだけなのだから
by銀翼のキケロ