一言
深く
深く
沈んでいく意識の中
大粒の涙を落とす
あなたの顔を眺めた
こんなにも静かな
世界の中で
心だけは冷静に
あぁ、嫌だなぁ
もっと、居たいなぁ
其ればかりを響かせている
どんなに念じても
動かない四肢
せめてあなたの頬に触れたいの
せめて、あなたの胸の中にもぐりこみたいの
でも
叶わないから
私は
一言
・・・と。
感謝を伝えた
深く
深く
沈んでいく
真っ暗に
真っ暗に
染まっていく
心だけは必死に足掻いても
身体は、無気力で
もどかしさだけが
まるで雪のように降り積もる
遠くに行ってしまう
あなたの顔
くしゃくしゃに握りつぶした
紙のようになっていた
抱きしめたい
今
この時ほど
抱きしめて
大丈夫だよって
言ってあげたいと
思ったことはない
あぁ、後悔というのだろうか
こんなことになると知っていたのなら
もっと
もっと
もっと、もっと
伝えておけばよかった
最愛の人へ
一言
愛しています
と・・・
どこまで沈んだのだろうか
真っ暗で何も見えない
どこまで沈んだのだろうか
静かすぎて
なんだか怖い
縋り付く温もりも
語り掛ける宝石も
何もない
あやふやな感覚
まるで
水の中を漂っているような・・・
ふと、我に返る
私は誰だ?
私は、誰だった?
何も思い出せない
まっさらな世界の中で
鼓動だけが確かに聞こえた
私の早い鼓動と
どこからか来る
ゆったりとした、鼓動・・・
温もりもあった
少し遠いが誰かが語り掛けてくる
私は、誰だ?
ここはどこで
なぜ?ここにいる?
なにも解らない
解らないままに
あるとき
大きく息を吸った
耳の中を貫いた
知らない音は
私が上下に揺れる度に強弱を繰り返し
誰かに捕まり
抱きしめられた時
はじめて止まった
あぁそうか・・・
またこの世界に
帰ってきたのだ
あぁ、そうか、そうか
ここまでが
私の役割というわけか・・・
振り返れば
赤子が私の背をじっと見つめていた
それが
新しい私なのだと悟った
多分
理解できないだろう
それでも
私は
その赤子に
一言告げた
幸せになれ
と・・・。
そのまま
そのまま
そのまま
私は
砕け散った・・・
指先から
少しずつね
by銀翼のキケロ