岩の心
見たくれはただの岩
無骨で、頑固で、不動
蹴られても
罵声を浴びせられても
決して変わらず
決して動かず
己を貫き通す
大地が、動かぬ限り
その場所しか知らず
その場所以上を望まない
欲無き無用の存在
楽あれど
楽に生きず
嬉々あれど
静寂を好み
近付くことすら拒む
不器用無駄の塊である
邪魔以外何物でなくとも
存在感は、人並み以上
邪魔以外何物でなくとも
重圧感は、人並み以上
価値はなく
意志もない
ただ、ただ、そこに佇むだけの
空っぽの塊
おそらく、普通に生きているだけならば
同族に砕かれて
世の隅に埋もれているころだろう
だがそれも
見るものの眼
触るものの手によって
姿形が与えられ
許されたものへと変化する
中身は変わってはいないさ
気が付かないうちに
外見が変わっただけ
なのにどうしてこうも騒がしい
どうしてこうも慌ただしい
むず痒く
恥ずかしい
胸を張り、敬礼し
眺めた背中の大きさに憧れて
追いかけ始めたあの頃
嵐の中を突っ切ったかのような日々
少しずつ
少しずつ
変化していく
少しずつ
少しずつ
変化、していく
経てして降り立つ
仏の姿
表情はない
手を合わせ
そこに立つ
苔の台座に佇んで
町を見下ろした
感謝というものが
周囲を包み
陽の光が
岩の心を照らしたとき
ほのかに微笑んで
密かに
誰かへ向けて一礼したのだ
それはきっと幻だろう
それはきっと、夢だろう
西の空へ沈む者の輝きで
そう見えたに
違いない
違いない・・・
by幻想師キケロw
失って初めて気が付くことがある。
嫌いな人にも二種類いること。
そこに愛情があるか、無いかの違いだけどね。