次は、どこへ行きますか?
知らない町
知らない山
知らない人
知らない海
退屈な時間を
バスの中で過ごした
僕の知らないものが
川のようにどこまでも続き
どこまでも流れている
途中で、花束が掲げられたガードレールもあった
きっと誰かが
この世界から居なくなったのだと
静かに、その光景を考えていた
一人
また一人
知らない場所で消えていく
真っ暗な世界を
点々と灯る明かりを目印に進む
月が、やけに大きく
星々を押しのけているように見える
いつの間にか
僕独り
音楽を聴きながら
バスの中で
その時を待っている
時折、最前列の上の
デジタル時計を確かめて
何か、楽しいことはないかなと
考えた
夜更け
ようやく着いた
僕の町
なのに足取りは重い
喜びも眠気には叶わないさ
終電も途切れ
タクシーもいない
田舎の見慣れた感触
街灯の下にいる君を除いては
いつも通りだった
ただいま
その一言が
夜に似合わず
響く
おかえりの一言が
夜に溶けずに
しみじみと白く残り続ける
少し離れた場所にある
エンジンが掛かったままの
小さな車が
不機嫌そうにワイパーを揺らしていた
次は、どこへ行きますか?
不意に、投げかけられた問いに
僕は、うっすら笑って
ゆっくりと笑って
僕らの家まで
よろしくお願いしますって
考えながら
途切れ途切れで
応えたんだ・・・
歯痒かったけど
夢の中のような心地よさ
背中を押されるがまま
助手席に乗り込んで
君がハンドルを握るまで
嬉しそうなその顔を
眺めていた・・・
by幻想師キケロw