触れてみること
第一章 我儘な小人
その優しさは
本当に、温かいものなのだろうか・・・
その愛は
本当に、温かいものなのだろうか・・・
差し伸べられた掌は
本当に、温かいものなのだろうか・・・
この空間は
幻想ばかりが広がっている
幻影ばかりが蠢いて
私を安堵させる
けれども
その先は
どうなっているか判らない
越えてしまえば
今、眺めている世界は霞のように失われてしまうだろう
けれども
私の肩を叩く人々が語り掛けるのだ
私の殻を叩く人々が語るのだ
あまりにも軽い
あまりにも薄い
あまりにも甘い
言葉をもって
語るのだ
一度でも、あれを見てしまった
一度でも、あれに掴まれてしまった
その恐怖を拭うには
幾千の金があっても足りない
幾万の便利なものでも足りない
この幻を打ち砕けるだけの
人でなければ
立ち上がることは
無いだろう・・・
それでも
時計に繋がれた鳩の虚像のように
なんども
なんども
なんどでも
なんどでも
外に出そうとする
燃え尽きた灰を
飛ばないようにする策もせず
ただただ、この場所から
引き摺りだそうとするんだ
触れてみなければ
解らないと
言葉の最後に決めつけて
第二章 無気力な犬
私は人というものが嫌いだ
私は、人という存在自体が嫌いだ
私は、人として生まれてきたことが嫌いだ
私は、人として生きていることが嫌いだ
私は、人として生きることを定めた神がきらいだ
私は、人としての存在を勝手に憎み滅ぼそうとする悪が嫌いだ
私は、私として、私自身が嫌いだ
嫌い過ぎて
逆に好きというものを探している
愛というものを探している
触れれば壊れる
その手を体に付けたまま
私が、手を差し伸べても
壊れないモノを
無意識に、探しているのだ
ふと我に返れば
部屋に散乱する
ガラクタが
その無意識の証明なのだろう
ただ、其のガラクタの中で
一つだけ気に入っているものが在る
無機質に笑う仮面だ
それを付けていると
不思議と私がそういう人間だということを
隠す事ができるのだ
便利過ぎて
涙を覚えたくらいだよ・・・
第三章 バランスの中で
憎しみも
快楽も
同じ物
殺人も救人も
同じ者
全てはイコール
全ては平等に与えられた天秤の中での出来事
あなたが如何に復讐を果たそうと
あなたが如何に堪え世界を味方につけようと
変わるのはあなたのなかの世界だけ
他の人の世界が変わるほど
大きなものではないのだ
混沌の渦は
大小様々に発生しては
どこかに消える
混沌の嵐は
その中の一つが成長したに過ぎない
戦争も隕石も皆同じ
一見、世界が変わるほどのに見えるが
同じ天秤の中での出来事
傾けるほどの事象ではないのだ
我々にできることは
この天秤の中で
静かに祈り
静かに終えることを
願うことだけだ
第四章 無邪気な正義
私は、人が大好き
私は、世界が好き
私は、この空間が大好き
私は、人々の暗い顔を見るのが嫌いなの
私は、人々が笑ってくれるなら最前線で戦う
行いは確かに悪だけど
私の剣には、人々の笑顔が未来が架かっているの
誰にもこの信念は曲げさせない
誰にもこの正義は汚されない
私が守り
私が救う
信じれば、神様だって力になってくれるから
知ってる?
この世界はみんな、良い人ばかり
悪いのはあなただけ
だから、あなたさえいなくなれば
少なくとも
私の周りで、泣く人はいなくなるわ
第五章 触れてみること
くだらない争いは
くだらない結果を生む
それぞれの糸が
正しく巻かれることは稀で
大抵は、巻き込み、千切れ
絡まっては、投げ出される
それが人だ
あの四人は
人だ
確かにそれぞれの意志
それぞれの答えに
間違いはないだろう
だが、見ているだけでは
嫌悪が拭えることも
相手の中身も判らない
互に触れてみることを前提に
その言葉を選ばなければ
互に理解し
互に知る道を選び
保留という選択をしなければ
道は、限りなくゼロに近づくだろう
簡単な答えほど遠回しだ
滅ぼすことも、利用することも
いつでもできることだろう
ただ、後悔してしまった後では
なにも取り戻せず
なにも進まない
なにも解らない
それを彼らは、理解しているのだろうか・・・
私は、見ている方が面白い
いがみ合う中でもなく
争うほどのものでもないものに
見てみろ
自分の主張だけが答えだと
どんどん顔を歪ませる
滑稽だ
非常に滑稽だ
あいつらは気が付いているのだろうか
これから行うことは
仕方ないという妥協から生まれる
矛盾の清算だ
自分の主張と正反対のことをし始めるぞ
さぁ、問題だ
あの四人を止める方法考えようか
私たちは、彼らに触れることはできない
私たちは、彼らに語り掛けることはできない
私たちは、ものを動かすことも伝えることも出来ない
私たちは、その世界では信仰の対象であり実像ではない
この条件の中で
あの四人を
それぞれ、並行に生きていける世界を
考えてくれ
なに?
無理?
馬鹿を言うな
お前たちもいつもやっているだろう
神様というものにな
出来るはずだぞ?
by幻想師キケロw
一番歯がゆい思いをしているのは、私たちでなく神様と呼ばれる方々なのかもしれません。
という発想から創りました。