兵士と少女 | 梟霊のブログ

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とことん変り者なため・・・
絡み辛いこと必死
静かに、生暖かく見守ってください

兵士と少女



少女は、言った
あの雲より早く
あなたに逢いたいと
少女は言った
あの風より大きく
あなたを抱きしめたいと

わたしには理解できない
この銃口の先で
笑いながら雨空を見上げ
誰かと話し続けている少女を
道を流れる水の色は
泥と血液で酷く嫌な色を浮かべている
例えようがない現実の色を浮かべている
なのにあの少女は
どこを眺め
なにと会話しているのだろうか

あら?こんにちは
兵隊さんどこからきたの?
私は、お父さんとお母さんと弟と兄を
待っているわ
そこ、寒くないかしら?
私の家に入らない?

私には、その意味が理解できない
そこに転がっているものが
其れの筈だ
後ろに砕け散った物が
其れの筈だ
となれば、少女のそれは
すでに失われている
壊れているのか・・・

兵隊さん
どうしたの?
そのままでは濡れてしまうわ?
さぁ、ここに座りましょう
暖かなものでも一緒にいかが?

私は、確信した
この少女は、もはや少女ではない
形ばかりがそれの
人形だ
おそらく何を言っても
返ってくる言葉は
繋がることのないものばかり
少女に向けた銃口を下ろし
私は、ぼろぼろで
傷だらけの彼女の腕を引いた
家族の誰かの腕につまずいて
拍子に
家族の誰かの顔を覗きこんだ
原型のない頭が
冷たく突きつけたものは
理解できた
声にもならない
大粒の涙が
この雨にも負けず
落ちていったからだ

じっとそれを眺めた
力なく預けた腕の重さは
少女のそれとは思えない
ふと、これがわたしの家族ならと
ふと、これがわたしの彼女ならと
考えた時
背中をなぞる視線が
ひどく冷たいものと認識できた
そこから
少女を無理矢理抱きかかえ
その場を
一目散に
離れる選択をした
腕の中の少女
重いのか軽いのか判らないほど
コツコツとしていた・・・

草をかき分ける音
泥水を跳ね上げる音
銃器がぶつかり合う音
遠くの爆発音
今この時を
静かに
わたしに説いている
戦いの心を
戦いの真を
ひどく
とてもひどく
息苦しいものだと
感じていた




by幻想師キケロw