表裏
雨の中を泣いていた
どこかのドラマの真似をしたわけじゃない
ただ、そうでもしなければ
言い訳できないと
強がってみた結果だ・・・
雨の中を進んでくる
影が在る
ゆらりゆらりと
揺れる影が在る
慌てて、声を押し殺し
走りだした
擦違う瞬間に
おかしなことが起こる
雨粒がゆっくりと落ちていく
時間が止まったのだろうか
私もまた
動けない
その影だけが
当たり前のように
動き
去り際に
私の頭をそっと撫でた
姿を目の当たりにして
悲しいことも
悔しいこともすべて
吹き飛んで
驚きと懐かしさが懐(ふところ)に抱き付いてきた
骸の表にうっすらと透けたあなたの顔
銀の翅を揺らし
寂しそうで
暖かな眼差しを向けてくる
物々しいローブなんて着てるから
判らなかった
でも
でも、嬉しかった・・・
雨粒があの頃の花びらのように
美しく光を反射して
別の涙を運んできてくれた
感謝する涙を
擦違ってしまった時
全ては元通り
あの人の影も形もない
撫でてもらった感触と
暖かな涙だけが
じんわりとこの身体
この心に残されている
ただ、あの裏側にある
骸の姿が
どうしても受け入れがたかった
今、この時の現実であると
教えてくれているようで
複雑な笑みが零れてしまう
あぁ、この世界
憎いのか素晴らしいのか
解らないよ
悪戯な神様の演出に
呆れる私が、この世界に
がっちりと立っていた
by銀翼のキケロ